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■6月末で定期運転を終了
JR東海は、1989年から活躍してきた特急型気動車キハ85系の定期運転を6月末で終了し、7月1日から後継となるハイブリッド特急車両のHC85系に統一します。これに伴って「ありがとうキハ85系南記号」「さよならキハ85系号」を運行します。
「ありがとうキハ85系南紀号」は6月24日(土)、25日(日)に名古屋〜新宮間で運行します。この列車は前後にグリーン車を連結した6両編成で運転。
このうちグリーン車の1・6号車と普通車の2号車はJR東海ツアーズのツアー商品として販売し、3〜5号車の普通車は乗車日1ヵ月前の10時から全国のJRの主な駅で発売します。
JR東海ツアーズのツアー商品は、展望席プラン(グリーン車の運転台すぐ後ろの席確約プラン)を5月12日〜14日まで抽選申込受付。そのほかの席(グリーン車・普通車窓側・普通車基本プラン)は5月17日の15時から先着順で発売します。
JR東海ツアーズの「ありがとうキハ85系南紀号」HPはコチラ。
●ラストランは10両編成でも運行
ラストランとなる「さよならキハ85系号」は、7月8日(土)、9日(日)の午前中に名古屋→高山間を5両編成で、7月9日(日)の午後に高山→名古屋間を10両編成で運行します。
「さよならキハ85系号」は、団体専用列車としてJR東海ツアーズから発売。
抽選申込(5月24日〜27日受付)のプランは、7月8日〜9日の往復グリーン車展望席を利用するプラチナプランと、7月9日の往路にグリーン車展望席、復路は普通車を利用する展望席日帰りプランです。
6月2日から先着順で発売するプランは、宿泊付きグリーン車プラン、宿泊付き普通車プラン、日帰りプラン(グリーン車・普通車)を設定します。
JR東海ツアーズ「さよならキハ85系号」のHPはコチラ。
●キハ85系ってどんな気動車だったのか?
キハ85系はJR東海が国鉄特急形気動車キハ80系を置き換えるために開発し、1988〜1992年、1997年に製造しました。
車体は軽量化とメンテナンスフリー化を図るため、軽量ステンレスを採用。先頭部は修復を容易にするため、普通鋼製として白く塗装しました。側窓は縦寸法を950mmに拡大。また、車内も座席部分の床を200mm高くして眺望を良くしています。
先頭車は流線型フォルムの非貫通タイプと、柔軟な増結に対応した貫通タイプを用意。運転室背後の座席は運転室越しに前方、または後方展望を楽しめるのもキハ85系の魅力でした。
キハ85系最大の特徴は、その動力性能の高さにあります。1980年代までの日本の鉄道用ディーゼルエンジンは世界的に遅れていて、1980年代後半にようやく小型化と高出力化を両立可能な直列6気筒直噴ディーゼルターボエンジンが登場したばかりでした。
JR東海は、小型軽量高出力エンジンで定評がある米・カミンズ社の直列6気筒14L直噴ディーゼルターボエンジンC-DMF14HZを採用。このエンジンは、当時の鉄道用6気筒エンジンでは最強の350psを発揮しました。
キハ85系はC-DMF14HZを1両あたり2台搭載して、700psを発揮。それまでJR東海管内で運用していたキハ80系の180ps、360psを大きく上回るのはもちろん、同時期に登場したJR北海道キハ183系550番代の660psをも上回っていました。
エンジンと組み合わされる液体変速器は、トルクコンバーターによる変速1段と自動MTによる直結2段の3段変速としました。これにより、キハ85系は勾配区間での高い登坂性能と、平坦区間での最高速度120km/h運転を実現しました。
キハ85系は名古屋を発着する高山本線の特急「ひだ」、および紀勢本線の特急「南紀」で活躍しています。また、鈴鹿サーキットでF1日本GPが開催される期間は、名古屋〜鈴鹿サーキット稲生間に運行する臨時特急「鈴鹿グランプリ号」にも使用されました。
JR東海の非電化区間のスピードアップに貢献したキハ85系が見られるのもあと僅か、ラストランに乗車できるチャンスはまだあるので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。
(ぬまっち)
【関連リンク】
JR東海ツアーズの「ありがとうキハ85系南紀号」
https://www.jrtours.co.jp/plan/tokushu/tetsudo/arigatou_nanki85/
JR東海ツアーズ「さよならキハ85系号」
https://www.jrtours.co.jp/plan/tokushu/tetsudo/sayonara_kiha85/