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■新型クラウン・シリーズの本命!?「プロサングエみたい」なクラウンスポーツに清水和夫が乗ってみた
全長4710mm/全幅1880mm/全高1560mm/ホイールベース2770mm、HEVとPHEVの2本立てで今秋以降に発売されるクラウンスポーツ(CROWN”SPORT”)をドシャ降りの中、富士スピードウェイ・ショートサーキットで試走した、国際モータージャーナリスト・清水和夫さん。
動画後半には、MSデザイン部 第2デザイン室 プロジェクトチーフデザイナー 室長 宮﨑満則さんへのインタビューも決行! プリウスとクラウン、この2車種のデザイン改革はどうして起こったのか? 突っ込んで聞いてみました。
●お手頃なサイズ感もマル!
今日はこの大雨の中で、新型クラウンスポーツのSUVです。すでにクロスオーバーは出てますけど、今回のは本格的なSUV。
デザインも結構イケてるよね! コレに赤があるんだけど、赤はマツダのソウルレッドみたいな感じ? また、フェラーリのSUV、プロサングエの試乗会に行ったジャーナリストに聞くと、クラウンスポーツをパッと見た時、プロサングエみたいだって。
全長は4.7mくらいでちょっと短くしています、ホイールベースを短くしたから。意外とサイズ的には使いやすいSUVです。
パワートレーンとプラットフォームは、すでに出ているハリアーやRAV4と同じ。エンジンはTHSのプラグインハイブリッドです。ってことで、2.5Lの直噴4気筒エンジンのTHS。それに、RAV4のPHEVと同じくらいのバッテリーを持っていますから、EV走行もできると。
あ~静かでいいなぁ。
タイヤが21インチの235/45R21かな、だから幅も広めていますよね。ミシュランのE·PRIMACY(イープライマシー)なんだけど、ちょ~っとウエットμが少ないかな~みたいな感じはあるんだけど。
●EVモードは超静か。ひとたび回せば気持ちイイ2.5L HEV
EVモードは静かだよね。やっぱりね、PHEVでEVを味わっちゃうと、EVの虜になっちゃう。これで、スイッチでモードを切り替えてHEVモードにすると…ほぉ~パワーあるな! これはEVとは全然違うわ!
旋回ブレーキどーだ!? おぉ~いいねぇ♪
エンジン、やっぱりいいなぁコレ。
HEVにすると2.5Lエンジンのパワーでかなりパフォーマンス高いし、EVモードだと静かでトルキー。でも、EVモードだとそんなに上の出力は出てないですよね。
これは売れそうな感じがしました。
●デザインポイントを担当者に聞いてみた
清水:新型クラウンの2作目、SUVのスポーツが出ました。まだプロトタイプなのでスペックはまだアンヴェールされてませんけど、デザインはものの見事にちょっとセクシー♪なSUVです。トヨタのデザインチーム、MSデザイン部 第2デザイン室 プロジェクトチーフデザイナー 室長 宮﨑満則さんです。
宮﨑:よろしくお願いいたします。
清水:宮﨑さんはクラウンシリーズは全部やってる?
宮﨑:はい。
清水:最初のクロスオーバーとコレをふたつ、ずっと頭に描いて、どういう差別化みたいな?
宮﨑:クロスオーバーを一番最初にデザインしまして、当時の社長(豊田章男氏)から中嶋裕樹プレジデントのほうにセダンを!っていう、例のワールドプレミアの時に話があって、その後で、このクルマはデザインを始めると。このクルマとエステートはその後に始めた。基本はクロスオーバーだけをやるつもりだったんですけど、クロスオーバーでクラウンを変えたいと。
清水:結果的に今回からホイールベースをちょっと短くして車高を上げたので、なんかこうペタッとした感じがギュッとこう前後に圧縮されて上に伸びて、なんか塊感みたいな印象があります。
宮﨑:基本的にTNGAでタイヤがある程度、大径になって、四隅にタイヤがあるものですから、それを中心に凝縮して作るということは、SUVである限り、ある程度のバランスみたいなものが保証されてたんですけど、それをより伸びやかさと凝縮感を併せ持つというところを大分苦労して。特にリヤフェンダーの膨らみは相当にこだわって!
清水:速く走るチーターとかライオンみたいな。四駆だからリヤからも駆動力出すので、リヤもグッとアスリートみたいな。
宮﨑:FRから四駆に変わったというところで、4輪をしっかり意識してデザインしないと、動力性能とかそういうところもいいのはまぁいろいろ聞いていたものですから、その中で意匠にちゃんと取り込みたいという思いはありました。
清水:それにしてもプリウスといい、このクラウンといい、多分プリウスも中嶋さんのチームで最初やっていたんだと思うんだけど、このふたつを思いっきりデザイン変えたっていうのは、もう逆転満塁ホームラン!
宮﨑:サイモン(Simon Humphries/サイモン・ハンフリーズ)さんがいて、中嶋さんはクルマ全体を見ているんですけど、やっぱりサイモンさんのデザインも変えなきゃという思いと、それを許して、ある方向で中嶋さんや当時の社長も含めて、もうどんどん、どんどん、変えることに対して何も抵抗なしにやらせてもらえました。
●トヨタの社内基準はどうブッ壊したの?
清水:ちょっとイヤラシイ質問をすると、トヨタって良くも悪くも社内基準っていうのがあって、それがハードもデザインも新しいものが生み出せない。しかし、均一に同じものをたくさん作るのには長けていたんだけど、そこから飛び出すというのが苦手な企業だったと思うんですけど、その社内基準のどの辺の壁を壊したんでしょうか?
宮﨑:壁を壊したというか、仕事のやり方が変わっているのは確かだと思うんですよ、今までは、たとえばデザインの中の話でいっても、キャラクターの強いデザイナーがひとりでモノを作るっていう作り方、スターデザイナーみたいな、海外でもいると思うんですけど、ジウジアーロみたいな。だけど、そういうことをやっているととても立ち行かなくて、キャルティ(Calty Design Research Incorporated)とかEDスクエア(TEDD)とか、海外のいろんなデザインをサイモンが全体を見ながらやるということで、その突破力はある意味、スピード感も含めて、今までは内にこもる、実験・設計など含めてみんながセクショナリズムで動いていたのが、今はチームで、それはカンパニー制だと思うんですけど、ひとつになっているので、今はもうワンチームでやろうよ!って。
清水:社内の壁っていうか、やっぱり取り組み方、仕組みを変えたんですね。カリフォルニアのキャルティなんかのデザインエッセンスっていうのもかなり入っている?
宮﨑:クロスオーバーに関しては正直言ってあります。そういうところも一緒に俯瞰して見ているサイモンと相談しながら、自分たちだけでなんとかやるんじゃなくて、みんなでなんとかしようよ、という気概はありますね。
清水:サイモンさんはイギリス人。ヨーロッパの風味も?
宮﨑:ただ、サイモンは日本人ですね! ヨーロッパ人なんですけど、もう普通に日本語も喋りますし、日本人的な心も、場の雰囲気をちゃんと見ながら喋るとか、そういうところはサイモンさんは長けていると思います。
清水:プリウスの発表の時、サイモンさんがプレゼンテーターとして出てきて『Carbon Neutrality(カーボンニュートラリティ)』って言ってたので、正しい英語はニュートラリティでした!なんてね。
プリウス、クラウン、この2車種、トヨタで言えばフォワード2トップですよね、これが見事にデザインが変わり、中身も変わりっていうことで、非常に楽しみですね! このクルマ、私にとってはかなりヤバいです! ショッピングリストに入れちゃいそうな気がします。
プロトタイプなのでスペックなどはまだ分かりませんが、デザインがカッコイイ♪ということは十分伝わったかと(個人の好みもあるけど、ね!)。すべてのインプレッション&インタビューは動画でどうぞ~!
(試乗インプレッション:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの)
【関連リンク】
StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX
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