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■渋滞は追い越し車線から起こることが多い?
コロナ禍以前の日常に戻りつつある2023年のゴールデンウイークの高速道路は、例年以上に渋滞する傾向になりそうです。
そんな高速道路の渋滞で迷うのが「追い越し車線」と「走行車線」のどちらを走る方が早いのか? 実は渋滞中は、あまり車線変更をしないのほうが正解。というのも、特により速く進むだろうと走行車線から追い越し車線に移動する行為が、結果的に渋滞を悪化させる原因になっているのです。
これは実際にはどういうことなのでしょうか? ちょっとご紹介してみましょう。
●渋滞の原因は交通集中が第1位
NEXCO東日本によると、2018年の1年間で発生した渋滞の原因で最も多かったのが「交通集中」。全体の73%にも及んでいます。休日の行楽や帰省などで、多くの人がクルマを利用するために渋滞が発生する割合が多いことが分かります。
また、同じくNEXCO東日本が2017年10月〜11月の休日に東北自動車道などで行った渋滞対策実験によると、高速道路の交通混雑は実は追い越し車線から発生しやすいことも分かっています。
実験内容は、渋滞が多い区間にLED標識を設置し、走行車線を走るクルマには「左車線キープ」を、追い越し車線側のクルマには「左車線の利用」を、いずれも「渋滞緩和」のために協力してもらうように呼びかけるというもの。
この実験により、追い越し車線の利用は、実験していないときの44%から、実験日では38%と6%も減少。
東北道の佐野藤岡IC〜館林IC間(上り)で2017年10月8日に行った実験では、渋滞時間は実験しなかったときの7時間に対し、実験日は5.5時間に減り、最大渋滞長も22kmから10kmと約半分になったそうです。
●追い越し車線の渋滞発生はなぜ起こる?
NEXCO東日本では、追い越し車線から渋滞が発生する仕組みについて以下の様な事例を挙げています。
1. 走行車線をゆっくり走行するクルマがいた場合、後続車が遅いクルマを避けて追い越し車線へ移動
2. 追い越し車線にクルマが集中し、車間が詰まったクルマ群が形成される
3. 追い越し車線のクルマ群で、なにかの拍子で1台がブレーキをかけると後続車も次々とブレーキを踏み、流れが停滞
4. 走行車線でも後続車が次々と車速を落とし、流れが停滞し(全車線で)渋滞が発生する
つまり、本線上が混雑してくると、速く走りたいなどの理由から追い越し車線へ移動するクルマが増え、結果的に追い越し車線で渋滞が起きやすくなり、それが走行車線にも伝播するということです。
NEXCO東日本では、前述の実験は「車線が均等に使われるようになり、追い越し車線への利用が減った」ことが、渋滞軽減効果に繫がったといいます。
高速道路で渋滞にハマると、ついつい追い越し車線に行きがち(筆者もたまにやってしまいます)。ですが、実はその行為がさらに渋滞を生んでいたことが、これでよくお分かりになったかと思います。
また、なかなか前が進まないことにイライラして、走行車線と追い越し車線を行ったり来たりする人もいますが、渋滞中にかかわらず、急な車線変更などは追突事故などの原因にもなります。もし、高速道路で混雑してきたら、焦らず「車線キープ」が一番ということですね。
(文:平塚 直樹 ※写真は全てイメージです)
※2020年10月27日の記事を2023年4月29日に追記・再編集しました。
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【関連リンク】
参考サイト:NEXCO東日本「走行車線の利用促進による渋滞対策実験の実施」
https://www.e-nexco.co.jp/road_info/important_info/h29/lane_availability_leveling/