メルセデス・ベンツ新型「GLC」ディーゼルに乗った清水和夫が超ビックリ!「静かで乗り心地よくてトルクフル♪ マジ驚いた!」

■メルセデス・ベンツGLC 220d 4MATICに清水和夫が試乗

●きめ細かいクルマの進化具合。ロールス・ロイス「ゴースト」に乗ってる気分!

Mercedes Benz GLC 220d 4MATICに清水和夫が乗ったら「凄すぎてビックリ!」
Mercedes Benz GLC 220d 4MATICに清水和夫が乗ったら「凄すぎてビックリ!」

メルセデス・ベンツのCクラスSUV「GLC」が登場! 早速、国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが試乗です。

新型GLCは、ディーゼルエンジンの「GLC 220d 4MATIC」のみのラインアップ。メルセデスのSUVのディーゼル…清水さん好みの香りが漂っています(笑)。

では早速、動画をチェックしていきましょう!(永光)


●EQブーストでアイドルストップからの復帰がしなやか

さて、メルセデス・ベンツ GLC 220d 4MATICの清水和夫評価はどうだ?
さて、メルセデス・ベンツ GLC 220d 4MATICの清水和夫評価はどうだ?

さぁ、メルセデス・ベンツ新型GLCです。2年ほど前の日本カー・オブ・ザ・イヤーでは、Cクラスのディーゼルに圧倒されて10点入れた記憶があります。そのCクラスベースのSUV、GLCが上陸しました。

セダンとこのSUVの間に、Cのオールテレインっていうステーションワゴンがあり、ちょっと車高が上がったヤツ。それも凄くイイんだよね。

メルセデス・ベンツGLCは、ディーゼルエンジン220dの四駆、4MATICのみを設定
メルセデス・ベンツGLCは、ディーゼルエンジン220dの四駆、4MATICのみを設定

今乗っているのは、2Lのディーゼルエンジン。EQブーストといって、48Vの電動化を使ったタイプ。17kW/23psくらいのモータージェネレーターが付いていますから、アイドルストップからの復帰がしなやか。こういうミクロな電動化の電動技術の使い方っていうのも、ヨーロッパでは今、かなり主流になってきています。

バッテリーEVっていうのが話題になるんだけど、日本ではフルハイブリッドが話題。こういうマイルドハイブリッドの使い方で、今あるエンジン車をなんとか魅力的なものにしようという努力も怠っていないです。そこが、クルマ作りの名手たちだなっていう気がします。

メルセデス・ベンツ GLC 220d 4MATICのコクピット
メルセデス・ベンツ GLC 220d 4MATICのコクピット

このGLC、乗って驚いたのは、とにかく乗り心地がべらぼうにイイですね! セダンも良かったけど、本当にイイ。Cクラスの時はガソリンで19インチくらいのタイヤを履いたAMGパッケージは乗り心地がちょっと硬かったんだけど、やっぱりSUVになるとおっとりした感じがあっていいですよね。

この乗り心地の良さだけでなく、実はダイナミック性能も悪くなくて、路面が悪いところも上手~くいなしながら走っています。

●静電気で認識する、高度なレベル2の運転支援技術

手放しはNG! でもハンドルを触っていれば静電気で認識、高度安全運転支援レベル2がアシストします
手放しはNG! でもハンドルを触っていれば静電気で認識、高度安全運転支援レベル2がアシストします

はい、設定、規制速度50km/h。ACC、LKASですね。このドライバーアシストシステム、運転支援もレベル2ですけど、かなり使いやすくなっています。今、カメラで白線を見て車線の真ん中をガイドしています。

ハンズオンが基本なんだけど、万が一手を離したときに、従来はステアリングコラム、シャフトのトルクで見ていたので、クイクイ動かしていれば、ドライバーがハンドルを握っているって認識していたんだけど、今回からは静電気になったので、触れているだけでいいんです。ハンズオンなんだけど、グリップしなくても、握るくらいで、システムはドライバーがハンドルに手を添えている、というように判断します。

タイヤサイズは前後とも235/60R18
タイヤサイズは前後とも235/60R18

今、電動パワステが自動でステアリングを切り込んでいきます。これは、ハンズオンの状態での、合法的な措置です。

このくらいのRだとちょっと難しいのかな? だから、こういったところでの機能の限界がどこにあるのか?が、ちょっと分かりにくいんですけど。カメラで認識して、自動ステアリングが機能し始めると、ハンドルの手応えがグググッてなりますから、手のひらの触覚で機能の限界が分かります。

●ナトリウム封入ピストンでエンジンの高温対策も

Mercedes Benz GLC 220d 4MATIC×清水和夫
Mercedes Benz GLC 220d 4MATIC×清水和夫

このエンジン、ピストンの中にナトリウムを封入しています。バルブにナトリウム封入っていうのは昔からあるんだけど、燃焼温度が上がり過ぎた時に、バルブの中のナトリウムが熱を受けて、バルブ全体に熱を分散させる、のかな。

これもピストンのトップの内側にナトリウムが封入されている部屋があって、燃焼室の高温にさらされたピストントップの熱がナトリウムに伝わり、さらにそのナトリウムがピストンの側壁に熱を上手く分散して、それがシリンダーの壁のほうにピストンリングを介して熱を分散させていく。

ということで、熱が1点に集中しないので、シリンダー、エンジン全体に熱が上手く分散される、という意味で、ナトリウム封入式ピストンなのかな、と思います。これはメルセデス独自の技術です。

●日産・Zにも使われるメルセデスの技術

GLCは荷室の広さも十分確保
GLCは荷室の広さも十分確保

このGLCにはないですけど、A&Bクラスには1.3Lのガソリンエンジンがあるんですけど、これはルノーとの包括的提携でもらうルノー側の技術も今、かなり入っていますね。メルセデス、ルノー、日産、三菱の包括的提携が活きていますから、本当は日産も三菱も、もっとメルセデスの技術が使えるんです。

最近のフェアレディZのジヤトコ(Jatco)が作ったトランスミッションは、メルセデスの9Gトロニック(JR913E)のシステムをそのままジヤトコに作らせたんです。だからZのトルコンATってメチャクチャいいですね。まさにコレ(GLC)と同じものが付いているわけです。

●細かなアップデートも抜かりなく! GLCは最強アスリート、陸上10種目選手のゴールドメダリストだな!

紛れもなく今回のGLCはフルモデルチェンジなので、Cクラスのフルモデルチェンジに沿って、2年遅れでSUVのGLCが登場したわけです。

絶対、おススメはこの2Lディーゼル!

安全性も抜かし無し、だ
安全性も抜かし無し、だ

運転支援機能も、かなり細かく白線の認識とかしているし、LEDを使ったオートヘッドライトとか、かなり細かくアップデートしています。

あと、衝突安全とかプリクラッシュもかなり進んでいます。横からクルマが近づいてくると、ミリ波かカメラで認識して、側突する前に運転席のシートの右側(コレは右ハンドルなので)の腰から胸にかけたところのシートがポンッと膨らんで、ドライバーを左側=中央に寄せます。それで、ドアとドライバーとの間の空間を確保して、『生存空間確保』という考え方によって、側突における乗員の保護性能を上げる。

これは前にSクラスから始まった技術なんですけど、ついにこのGLCにも搭載されています。多分、こういう技術はユーロ NCAP(European New Car Assessment Programme)などのアセスメントで明らかになっていると思いますけど。日本にもJNCAPがありますから、このメルセデス・ベンツを国が国の事業で買い上げてぶつけるかどうか? まぁ、プレミアムブランドをぶつけるのはもったいないな!と思いますけどね。一発でクルマ全損ですから。

GLCは高速安定性も素晴らしいです!
GLCは高速安定性も素晴らしいです!

まぁ~何度も言うけど、とにかく乗り心地がイイ! 今ここは路面舗装されていない、昔のままの路面なんですけど、ロードノイズが静か! 音、振動、NVH(Noise/Vibration/Harshness)、コンフォート、もう完璧ですね! それでフニャフニャしていなくて、高速道路を走っても、第2東名120km/hくらいのハイスピードでも、しっかりした安定性を持っています。

まぁ、バッテリーEVのBEV、BEV!って言っていますけど、こういうクルマ全体の作りは、やっぱりメルセデス・ベンツは王者だな!って感じがします。全方位できめ細かいクルマの進化が見られます。一点突破ではなくてね。

オリンピックで言うと、陸上の10種目選手、それがスーパーアスリートらしいんですけど、まさにその10種目選手のゴールドメダリスト!という感じがしました。

このクルマで長距離行ってみたいな~。

●GLCに乗っての総括! メルセデス・ベンツのクルマ作りの凄味

いや~今回ね、GLCディーゼル、220dに乗って驚いたのは、このクルマはなんだろ、もうロールス・ロイスに匹敵するくらいの快適な乗り心地ですね。

何度も言うけど、この乗り心地の良さはRRゴースト並みだよ
何度も言うけど、この乗り心地の良さはRRゴースト並みだよ

このモデルはベースが800万円くらいなんだけど、オプション付けて1000万円! このくらい出すと凄いメルセデス・ベンツが買えるんです。今回、CクラスベースでSUVになったことで、サスペンションのストロークもあって、本当~~~に気持ちがイイ。冗談抜きで、ロールス・ロイスのゴーストとどっちがいいんだろ?というくらいです。

4輪操舵、分かるかな?
4輪操舵、分かるかな?

トピックスは4輪操舵が付いていること。これは、最大4.5度、60km/h以下の低速モードではリヤが逆位相に切るから、最小回転半径がなんと、5.1m。60km/h以上のハイスピードになると、今度は同位相で4.5度です。だから、200km/hくらいで走るときのスタビリティがメチャクチャいいですね。

高速安定性良し、乗り心地良し、小回り性能が効く、ディーゼルなんだけどEVみたいに静かでトルキー。

ココは箱根ターンパイク。桜の季節の試乗でした!
ココは箱根ターンパイク。桜の季節の試乗でした!

2Lディーゼルですけど、ISG(Integrated Starter Generator)、これは9速トルコンATの中に、トルクコンバーターの代わりに17kWのモーターを入れました。

元々、Sクラスから登場したISGという技術がCクラス、つまりこのシリーズにまで降りてきたので、特にディーゼルと組み合わせると、交差点で停まると自然にエンジンがアイドルストップして、タイヤを1~2回転くらいモーターでコロンと回してエンジンがかかる。だからアイドルストップからの復帰もスムーズ。こんなにきめ細かくクルマが進化しちゃって、ちょっと驚きましたね。

バッテリーEVの時代とか、ハイブリッドの時代とかって言われていますけど、こうした基本となるエンジン車の気持ち良さをもっと高めていくような、こういうISG、48V技術のEQブースト。こういったところにも1mmの手も抜かずに、しっかり進化させているところが、やっぱりメルセデス・ベンツのクルマ作りの凄味ですね。

ちょっとこのクルマ、マジで驚きました!


以前、EQAの助手席に乗る機会があったんですけど、もちろんBEVなので静かっちゃ~静かでしたけど、タイヤノイズがうるさかった記憶があります。GLCはアレよりもディーゼルなのに静かってことのようですよ。

清水さんベタ押しの、このメルセデス・ベンツGLC 220d 4MATIC試乗、全てのインプレッションは↓ ↓ ↓の動画で!

(試乗:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

Mercedes Benz GLC 220d 4MATICの主なスペック
Mercedes Benz GLC 220d 4MATICの主なスペック

【SPECIFICATIONS 】
車名:Mercedes Benz GLC 220d 4MATIC
全長×全幅×全高:4720×1890×1640 mm
ホイールベース:2890mm
トレッド(前/後):1625/1640mm
車両重量:1930kg
最小回転半径:5.5m
乗車定員:7名
エンジン型式/種類:OM654M/直列4気筒DOHC
内径×行程:82.0×94.3mm
総排気量:1992cc
エンジン最高出力:145kW(197ps)/3600rpm
エンジン最大トルク:440Nm/1800-2800rpm
燃料タンク容量:62L(軽油)
モーター型式:EM0023(交流同期電動機)
モーター最大出力:17kW
モーター最大トルク:205Nm
駆動方式:四輪駆動
サスペンション形式(前/後):4リンク/マルチリンク
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(前/後共):235/60R18
ハイブリッド燃料消費率WLTCモード:18.1km/L
車両本体価格(税込):8,200,000円

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

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この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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