緊急車両に道を譲らないと緊急車妨害等違反！パトカー・救急車・消防車以外にどんなクルマがあるか調べてみた

■道を譲らないといけない緊急車両とは？

何気なく街中を運転していたら、突然「ピーポーピーポー」というサイレンが鳴り響き、どこから救急車が来るのか、どちらにクルマを寄せればいいのか、一瞬焦ってパニックになってしまった経験があるドライバーは少なくないでしょう。

見かけることの多い緊急車両といえば、救急車やパトカー、消防車をイメージする人が一般的だと思いますが、調べてみると他にも多くの緊急車両があることがわかりました。

緊急車両とは「緊急自動車」とも呼ばれ、人命救助や火災、事故への対応など、緊急を要する業務を行うクルマのことです。

緊急車両は、道路交通法第13条で定められており、公共のクルマと民間のクルマに区別することができます。

まず、公共の緊急車両としては、救急車やパトカー、消防車のほかに、皇宮警察車両や自衛隊の警務車両、化学防護車両、高速道路の道路パトロール車両、自治体の救援車活動車両、災害対策本部車両、爆発物処理筒車両などがあります。

また、民間の緊急車両としては、電力会社・ガス会社・水道会社の緊急作業車両、ドクターカー、赤十字血液センターや製薬会社の輸血や臓器の搬送車両、JAFなどのレッカー車両、JRなど鉄道会社の車両などが該当します。

電気会社やガス会社などは民間企業ですが、漏電や停電、ガス漏れなどの公益事業の復旧対応に向かうクルマは緊急車両として認められています。

そのほか、ドクターカーおよび赤十字血液センターや製薬会社の輸血や臓器の搬送車両も、人の命を救うために優先させなければいけないクルマのため、緊急車両のひとつとなっています。

しかし、警光灯を点灯せず、サイレンを鳴らしていない、停車中の場合は緊急車両とみなしません（ただし、パトカーがスピード違反を取り締まるなど、特に必要があると認めるときは、サイレンを鳴らすことを必要としません）。

気をつけたいのは、緊急を要する対応を遂行するために赤色の警光灯をつけ、サイレンを鳴らして運転中であることが緊急車両の条件となっていることです。

緊急車両が近づいてきたら、基本的に左側に寄って緊急車両に道を譲る必要がありますが、状況によってはこの対応が難しいケースも考えられます。

交差点付近にいるときは、交差点を避け、かつ道路の左側に寄って一時停止しなければいけません。ただし、一方通行となっている道路において左側に寄ることが緊急車両の通行の妨げとなる場合は、道路の右側に寄ります。

もし、緊急車両の進行を妨げたら、「緊急車妨害等違反」や「本線車道緊急車妨害違反」に該当し、いずれも普通車の場合は反則金5000円と違反点数1点が科されます。

気をつけなければいけないのが、緊急車両には法令上の特例規制があるということです。たとえば「右側通行の特例」があり、一般車両はすべて左側通行ですが、緊急車両は追い越しをするためやむを得ない必要があるときは、道路の右側部分に全部または一部をはみ出して通行することができます。

また、「停止義務免除の特例」があり、安全運転義務はあるものの、赤信号や一時停止ラインなど、通常は停止する場面においても、停止する必要がないとされています。

ほかには、「横断歩道接近時の減速義務免除の特例」「歩行者の側方通過時の安全間隔保持、徐行義務の免除の特例」「シートベルトの着用義務の免除の特例」「緊急走行時の最高速度の緩和」があります。

つまり、緊急車両は通常のクルマと違った運転の仕方が認められているため、その点に気をつけて道を譲る必要があるわけです。

緊急車両が近づいてきても焦らず落ち着いて対応すれば問題ありません。進行を妨げなければよいため、基本的には速やかに左側に寄りましょう。

しかし、緊急車両は、よく目にする救急車やパトカー、消防車だけではありません。人の命を救うためのクルマや公益事業の復旧対応に向かうクルマは、同じく緊急性があるため、速やかに道を譲ってください。

（鈴木遼太［ピーコックブルー］）

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