歩くように歩道を安全に移動できる、トヨタの「C+walk S(シーウォークエス)」が発売開始

■立ち乗りタイプの「C+walk T」、2人乗り超小型EVの「C+pod」が一部改良

トヨタは、2023年3月20日に「C+walk S(シーウォークエス)」をトヨタの販売店で発売しました。レンタリース店での取り扱いもスタートしています。

「C+walk S“Safety support”」の外観
「C+walk S“Safety support”」の外観

同時に、立ち乗りタイプの「C+walk T」「C+pod」が一部改良を受けています。「C+walk T」は、4月に予定されている改正道路交通法に適合した歩道(公道)で移動可能なモデルとして5月に発売される予定です。

一部改良を受けた「C+pod G」
一部改良を受けた「C+pod G」

2人乗り超小型EVの「C+pod」は、3月20日にリース契約での取り扱いをスタート。「C+walk T」は、歩道(公道)で移動可能な「移動用小型車」の車両要件に適合させるため、車両サイズや最高速度の見直しを実施。また「C+pod」では、法規対応に加えて、ペダル踏み込み時のブレーキフィーリングの見直しなどを受けています。

●「C+walk S」は、道路交通法上、電動車いすに該当

「C+walk T(コンセプトモデル)」
「C+walk T(コンセプトモデル)」

このほど、発売された「C+walk S」は、自力で歩けるものの、日常生活の中で長距離、長時間の歩行に困難を感じている方々をサポートするため生まれたモビリティ。道路交通法上、電動車いすに該当し、歩行者として扱われるため、歩道の走行が可能で、前方の路面状況を把握しやすい3輪タイプです。

「C+walk S“Safety support”」のサイドビュー
「C+walk S“Safety support”」のサイドビュー

「C+walk」シリーズ共通の周囲の人や街になじむフォルムを備え、人の「歩く」速さで移動することで、周囲の歩行者と並んで会話ができるなど歩行空間での高い親和性が追求されています。

なお、人混みなどで止まって通行できなくなるため、ブレーキ機能は付いていません。また、天候や道路環境によっては、必要な性能が出ないこともあります。

走行時に前方の人や障害物との衝突回避に寄与する障害物検知機能などの安心装備も搭載され、歩行者との共存が図られています。自動車メーカー製らしい高い安全性も特徴になっています。

「C+walk S“Safety support”」のフロントビュー
「C+walk S“Safety support”」のフロントビュー

「C+walk S」は人が集まるところで使用可能なモビリティで、「C+walk」シリーズ共通の周辺への圧迫感が少ないスリムなフォルムが与えられています。ステップ高は130mmと低く、広いステップや立ち座りしやすいシートポジション、跳ね上げ可能なアームサポートなど、乗降に配慮されたユニバーサルなパッケージも特徴です。

カラーパネル(販売店装着オプション)の装着イメージ
カラーパネル(販売店装着オプション)の装着イメージ

また、走行時、運転者から前方の路面が見やすい前1輪、後2輪という3輪構成になっています。ハンドルステム部(フロントフォーク上端とハンドル下端部中央とをつなぐ部分)からシームレスにつながる樹脂ボディには、ワンタッチで脱着可能な取換式バッテリーが内包されています。シート下には、大容量の収納スペースを確保。

シート/シートバックカバー
シート/シートバックカバー

買い物カゴがそのまま収まり、高い利便性も美点です。ボディカラーは、ブラックを基調とし、スタイリッシュな「ウォームグレー」「グレーメタリック」「カッパーマイカメタリック」のカラーパネルも販売店装着オプションとして設定されています。

さらに「C+walk S」は、「C+walk」シリーズ共通の人にやさしいシンプルな操作系も特徴。ハンドル左右にあるアクセルレバーの操作だけで発進、加速、減速、停止までコントロールできます。

フロントタイヤ周辺
フロントタイヤ周辺

押すと進み、離すと止まる、簡単な操作方法により、誰でも直感的に操作できるように配慮されています。さらに、必要に応じて左右両手で操作可能なブレーキレバーを握ることでより減速をサポート。ほかの操作系から独立されたバックボタンを押すことで、後進も可能です。

そのほか、バッテリー残量や速度がひと目で分かる状態表示パネルも備わります。

操作イメージ
操作イメージ

バッテリー電源スイッチをオンの上、専用キーを認証エリアにかざすことでシステムが起動します。また、2.5kgと軽量な脱着式リチウムイオンバッテリーを付属の専用充電器(AC100V)に接続し、およそ2.5時間で充電が可能。

自宅に持ち帰り、電動アシスト自転車のように簡単に充電が完了する扱いやすさも特色となっています。

●リヤホイールにインホイールモーターを採用

充電イメージ
充電イメージ

走行性能を支えるメカニズム面では、インホイールモーター方式が採用されているのがトピックス。

リヤホイール内にブラシレスDCモーターがそれぞれ配置され、段差を乗り越える際や坂道でもゆとりをもって走行できます。最高速度6km/hの人が歩く速度域で移動。1回の満充電での連続走行距離約12kmを達成。最小回転半径は0.95mと小さく、狭い道などでもスムーズな取り回しを可能にしています。

システム起動時のイメージ
システム起動時のイメージ

先述したように、安全性への配慮も随所に施されています。

走行時前方の人や障害物との衝突回避に寄与する障害物検知機能を設定。ボディ前面の周辺検知センサーが検知すると、警告音とパネル表示で警告し約2km/hまで自動的に減速がサポートされます。

高い小回り性能を実現
高い小回り性能を実現

さらに、ハンドルを操作し、回避するゆとりを生み出し、利用者の安全な走行を支援する制御も盛り込まれています。旋回速度抑制機能、急斜面検知機能が標準化され、カーブなどでのハンドル操作時、操舵角を検知し、その大きさに応じて減速がサポートされます。

傾斜地での走行でも急斜面侵入を通知し、降坂時の速度によっては減速をサポートするなど高い安心感が得られるそう。

電磁ブレーキ解除レバーを備える
電磁ブレーキ解除レバーを備える

また、ちょっとした移動の際に便利な「手押しモード」も用意されています。後輪の電磁ブレーキを解除し、手で押して移動させることが可能。

パンクの心配がないノーパンクタイヤ(10インチ)が全輪に採用されています。

■「C+walk S」のスペック
●全長×全幅×全高:1185×650×1030mm
●最高速度設定:1、2、3、4、5、6km(切替可)
●連続走行距離:約2.5時間(満充電)
●「C+walk S」価格
「C+walk S」:49万8000円
「C+walk S “Safety support”」:50万5000円

■「C+pod」参考価格
「X」:166万5000円
「G」:173万1000円
※「C+pod」は、リース契約での取り扱いのみ。料金プランは、取扱店によって異なります。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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