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■世界の飲酒運転罰則模様を調べてみた
「飲んだら乗るな!」と言うように、飲酒運転はドライバーが絶対にしてはならない行為のひとつです。もちろん、世界中のほとんどの国で、飲酒運転は重大な法令違反となります。一方、その罰則内容は国によって大きく異なります。なかには日本に比べてかなり厳しい処分が科される国もあるようです。
●日本における飲酒運転の罰則
日本における飲酒運転は「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2つに分けることができます。
酒気帯び運転は、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上検出された状態で運転をすることをいい、一方の酒酔い運転は、まっすぐに歩けないなど客観的に見て明らかに酔っている状態で運転をすることをいいます。
酒気帯び運転の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科され、酒酔い運転の場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。
それに加え、免許停止や免許取り消しなどの行政処分を受けることになります。また、運転手が飲酒していることを知りながらクルマを提供したり同乗していたりした場合、あるいは、その後クルマを運転することを知りながら酒類を提供した場合、運転手以外の人が罰則を受ける可能性があります。
このように、飲酒運転には非常に重い刑事罰および行政処分となっていることがわかります。
●世界の飲酒運転の罰則
では、世界各国の飲酒運転における罰則はどのようになっているのでしょうか?
・アメリカの飲酒運転罰則
アメリカでは、州によって罰則が変わります。ハワイ州では90日の免許停止に加え、150〜1000ドル(約2万円から約13万5000円)の罰金、あるいは2〜5日の禁固刑または3日間の労働奉仕が科せられます。日本では労働奉仕という考え方が浸透していませんが、アメリカをはじめイギリスやフランス、ドイツ、韓国などでは一般的な罰則のひとつです。
また、アメリカでは罰則に加え、最低3ヵ月以上の飲酒運転リハビリプログラムの受講を命ずるといったように、再犯防止にも力を入れています。
・中国の飲酒運転罰則
中国では、日本と同様に酒気帯び運転と酒酔い運転を分けて考えています。酒気帯び運転の場合、6ヵ月の免許停止かつ1000元(約1万9000円)以上2000元(約3万9000円)以下の罰金が科され、再犯の場合は10日以下の行政拘留に加えて、同じく1000元以上2000元以下の罰金と運転免許取消が科せられます。
酒酔い運転の場合は、運転免許取消、刑事責任の追及(1ヵ月以上6ヵ月以下の拘留かつ過料)、5年以内の免許再取得の禁止となります。
中国では、2011年に改定された道路交通安全法により、日本と同等の重い処分となりました。その背景には、飲酒運転による交通事故が増えたことで、厳しい罰則を与える声が多くなったことがあるようです。
・デンマークの飲酒運転罰則
少し興味深い罰則を設けているのがデンマークです。飲酒運転を行ったものには、違反者の最低給与1ヵ月分の罰金と、運転免許の剥奪、さらには乗っていたクルマが没収され、オークションにかけられた上でその売上金が国費となるようです。ある意味で、罰金よりも厳しい処分と言えるかもしれません。
・ノルウェーの飲酒運転罰則
同じく北欧のノルウェーでは、一定の罰金額が決められておらず、違反者の1ヵ月の税込み給与の半分を支払うこととされています。そのため、高収入の人であればあるほど大きな額の罰金が科されることになり、過去にはおよそ1000万円の罰金を命じられたこともあったようです。
また、飲酒運転で検挙されてから5年以内に再び飲酒運転で検挙された場合、生涯運転免許を取得できなくなるなど、再犯には厳しい姿勢をとっています。
・アラブ首長国連邦(UAE)の飲酒運転罰則
少し毛色が違う国として、アラブ首長国連邦があります。
そもそも、イスラム圏では戒律により飲酒自体がNGとなっています。一方、イスラム教でない人が飲酒をすることはあるため、アラブ首長国連邦の最大都市であるドバイでは、飲酒運転に対する罰則を設けています。
飲酒運転をして事故を起こすと5万ディルハム(約184万円)の罰金と3ヵ月以下の懲役に加え、免許停止もしくは免許の剥奪が行われます。さらに、法律に基づき仕事も解雇されることがあるため、こちらも日本よりも厳しい罰則だといえます。
●飲んだら乗るな!乗るなら飲むな!
このように、世界全体でみると、日本の飲酒運転の罰則はさほど厳しくないような気もします。もちろん、だからといって飲酒運転は絶対にしてはいけません。
「飲んだら乗るな! 乗るなら飲むな!」は、ハンドルを握るドライバーはもちろん、それ以外の人も常に肝に銘じておきましょう。
(鈴木 僚太[ピーコックブルー])
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