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■PHEVを支えてくれたファンへ。10年ぶんの感謝を込めたスペシャルイベントに応募が殺到
2013年1月に、世界初のSUVタイプのプラグインハイブリッド車としてデビューした、初代三菱アウトランダーPHEV。あれから10年の時が過ぎました。
振り返ればあっという間の10年かもしれませんが、その間、三菱のPHEVはじっくりと熟成を重ねてきました。
2020年12月からはアウトランダーだけでなく、エクリプスクロスにもPHEVを横展開。さらなるファンを開拓しています。
そんな三菱PHEVの魅力を支え、ともに歩んでくれたユーザーに感謝の念を込め、記念すべきアニバーサリーイヤーに大規模なイベントが開催されました。
その名も【三菱自動車「PHEVオーナーズミーティング」】です。
同社岡崎製作所を会場とする、メーカー公式イベントに参加できるのは、抽選で選ばれた100組のみ。応募総数は500組にもおよび、そこから約100組・291名が選ばれました。ちなみに、これまでのPHEV国内累計販売台数は9万台超。その数字からしても、100組はかなりの狭き門です。
オーナー感謝祭的な意味合いがメインのため、新旧アウトランダーPHEVオーナー、そしてエクリプスクロスPHEVオーナーが9割近くを占めていますが、そのほかに「PHEVに興味がある」という未来の三菱オーナー予備軍の方も含まれています。
●アウトランダーPHEVオーナーのテリー伊藤さんが会場を沸かす
まずは、三菱自動車 国内営業本部 本部長の石川善太さんによる開会の挨拶から始まりました。アウトランダー、エクリプスクロスの両PHEV、そして「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞したeKクロスEVを含め、電動車で未来を切り拓いていきたい、とのメッセージを来場者へ伝えていました。
ステージ上では開発スタッフが順繰りに登場し、テーマを変えつつ計4幕のトークショーが催されていきます。
なかでもギャラリーがお待ちかねだったのが、テリー伊藤さんをスペシャルゲストに招いてのトークショーです。じつはテリーさん、現行GN型アウトランダーPHEVのオーナーでもあるのです。始まる前から本音トークが炸裂する予感に満ちています。
開発陣として参加した面々は、C&Dセグメント・チーフ・ヴィークル・エンジニアの本多謙太郎さん。チーフ・プロダクト・スペシャリストの五味淳史さん。プログラム・デザイン・ダイレクターの秋田直輝さんの3名です。
開口一番、「いや~、売れてよかったね~!!」と、開発陣をねぎらうコメントで沸かせるテリーさん。ランエボやパジェロミニなど、これまで10数台の三菱車を所有したことのあるテリーさんだからこその染みるひとことです。会社としても辛かった時期を乗り越え、つかんだ成功の喜びを共有しているのでしょう。
続いてテリーさんは、「現行GN型アウトランダーPHEVが登場してからというもの、高感度の輸入SUVオーナーが興味を示し三菱自動車販売店を訪れることで、ずいぶん客層に変化があった」と実体験をベースに語ってくれました。
「なかなか来なかったよ!」と首を長くして待った8ヵ月の納期を、笑いを交えてチクリとツッコむ一幕も。日常に使っているからこそわかる、華やかだけどシンプルな内装の良さや、7つの走りが楽しめるドライブモードセレクターも絶賛していました。
特に印象に残ったのは、甥っ子が「ランドローバー イヴォーク コンバーチブル」を買ったというテリーさんのエピソード。それに刺激されたようで、「ボクはクルマに対してはとても破天荒。過去にパジェロJトップがあったんだから、三菱さんもアウトランダーでオープンカー作ってくださいよ!」と大胆にも提案。すると本多さんが「約束はできませんが(笑)、社内に持ち帰って検討します」と返し、会場の笑いを誘っていました。
●未来の三菱車が検討される「岡崎製作所」、最先端が詰まったこれぞ開発中枢
開催されるトークショーの合間をぬうようにして皆さん参加していたのが、普段は入ることのできない岡崎製作所敷地内の施設の見学です。ちなみに、見学は各回、参加できる人数に上限が定められていました。
人気を二分していたのは「デザイン棟」と「生産工場」、ふたつの見学ツアーです。ここはまさしく、社員の皆さんでも限られた人しか入ることが許されない“奥の院”。デザイン棟に入れるだけでもドキドキの体験です。
中に入ると、アウトランダーPHEVをモチーフにしたスケッチのデモンストレーションが行われています。デザイナーであるクリスさんがPhotoshopを駆使し、線画に次つぎと立体的な陰影を描きこんでいきます。開発の初期には、こういったスケッチを気の遠くなるような枚数分、描いていくそうです。
続いて、だんだんと量産できるかどうかを検討する段階に入ると、3Dによる立体化のプロセスに入ります。超大型スクリーンに、実際に街中へ置いたらどのように見えるのか、アウトドアではどう映えるのか、などを投影しながら検討していきます。
そして最終段階に入っていくと、実車さながらの原寸大モデルが作られます。
この写真はNC工作機で作られた実際のモデルなのですが、その精度や質感はほとんど実車そのものです。
最近では、デザイン評価はヘッドセットを装着したVRの環境で行われることも多いそうです。実際の着座と同じアイポイントからのピラー越しの視界や、後席乗員からの見え方など、リアルに近い評価を行うことができます。
●愛車が誕生したファクトリーを、親のような心境で訪ね見学
工場見学では、自身の愛車の生まれた生産ラインを、50分にわたって順を追って見学できました。コイル状に巻かれた鉄板が、プレスされ、塗装され、徐々にクルマになっていく様には、やはり日本の誇りを感じます。
駆動用電池パックの取り付け工程では、約200kgという重量があることから、無人搬送車や助力装置が多用され、作業者の負担を減らす工夫がなされていました。環境にやさしいPHEVは、作る人にもやさしかったのです。
この工場は最大8車種に対応した多品種生産ラインであり、約65秒に1台が完成し、1日あたりおよそ1000台が生産できるそうです。1台を作るのに要する時間は約14時間で、その半分は塗装工程が占めるそうです。
●100年以上にわたる三菱自動車の歴史をダイジェストで振り返る
2輪から3輪、4輪と発展していった三菱自動車のアーカイブを、ギュッと凝縮した「オートギャラリー」見学も眼福でした。日本初の量産乗用車は、三菱から生まれていたのです(三菱A型。1917年夏に試作を開始、1918年11月に完成、1921年までに計22台が生産された)。
企画展示「時代を駆け抜けた車たち」は、東京モーターショーで人気を集めた連作のコンセプトカー、HSRも展示されていました。ジープJ52をベースとしたパジェロの始祖など、その時代をリアルに知らない方も興味をかき立てられる、見どころいっぱいの展示です。
●アウトランダーPHEVの走りの奥深さをテストコースで体験
さらに、テストコースの一部では、アウトランダーPHEVの進化を体感できる試乗イベントも実施されていました。午前・午後それぞれ1時間半、計3時間にもわたって開発の聖地が開放されていたのです。
開発ドライバーの運転による同乗試乗は、パワーモードにした際の元気のいい加速体験や、S-AWCの安定性が感じられるスラローム走行、三菱らしい砂利道での走破性など、さまざまなシチュエーションを体験させてくれました。販売店試乗では決してできない、五感で最新PHEVの凄さを感じられる貴重なコンテンツでした。
●当日だけの特別な計らいで、駐車場がミーティング会場に変身
岡崎製作所の広大な駐車場には、さすがは国内PHEVシェア59%のリーディングメーカーらしく、数多くの充電器が並んでいます。この日、全国各地から参加したオーナーの皆さんが自由に使えるのはもちろん、特別に交流スペースとして解放されました。
PHEVらしく外部供給電源をフル活用し、お湯をわかしてティータイムを楽しんだり、ホットプレートで焼きそばをつくったりと、愛車の生まれ故郷でアウトドアを楽しむという特別な時間を味わっていました。
この駐車エリアでは、自分の気に入った1台を選ぶ「PHEV いいね! コンテスト」も併催されていました。入場時に、愛車のアピールポイントを大きくプリントした用紙が配られ、各車それをフロントガラス内側など目立つところに置きアピールしていました。
来場者の視線をとりわけ惹きつけていたのは、自作カスタマイズパーツを織り交ぜ新しい魅せ方を提案していた車両。自分らしさを上手に表現していたユーザーの方が受賞し、見事、折りたたみチェアセットや特製タンブラーをゲットしていました。
●三菱らしいカスタマイズモデルと、歴戦で活躍した電動車の展示
会場のかたわらには、好評の特別仕様車「Black Edition Premium」に、ルーフレール、サイドガーニッシュなど、魅力ある用品が装着された参考出品車が並んでいました。
これからどんどんアピールしていく新生ラリーアートのアクセサリー装着車も、アーバンとマッドをミックスした新らしい魅力を放っていました。
さらに、増岡浩さんが駆ったパイクスピーク参戦車両や、アジアクロスカントリーラリーを闘ったアウトランダーPHEVなど、リアル参戦車も武闘派オーラでギャラリーを惹きつけていました。
「熱血を忘れていないか」のキャッチコピーを地で行く、三菱社内有志によるラリー参戦車も応援したくなります。
●PHEVが“料理も作る”。電源供給機能をホスピタリティに活用
多彩なイベントの合間には、フードパークで休憩です。参加者にはフードチケットが配布されていました。なお、パンやカフェ、ハンバーガーやぜんざいなど、さまざまなジャンルのキッチンカーが集結していましたが、これらの電源はすべてかたわらのPHEV車両から供給されています。
なんと、ぽかぽかと暖かいこたつに入れるエリアも用意されています。そう、こちらももちろん、電源供給はPHEVからです。同じく、PHEVからの電気を使ったハンダによるレザークラフト体験のワークショップも開催されていました。
SNSへの投稿喚起プレゼントとして、アウトランダーPHEVのミニカーがプレゼントされたほか、参加者には、三菱ロゴ入りの特製SWANSスポーツグラスと、刻印の入ったオリジナルレザーキーホルダーが配布され、うれしい記念となりました。
当日は気持ちのいい晴天。ただときおり、強風がいたずらしていました。これもきっと、また新たなPHEVの旋風で我われを驚かせてくれることの予告なのでしょう。
(文:畑澤 清志/写真:澤田 優樹)
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