ホンダがモーターサイクルショーで、大型ツアラー「XL750トランザルプ」や電動スクーター「EM1 e:」など新型車を国内初公開

■新型スクランブラー「CL」シリーズも登場

新型モデルや人気機種などが一堂に展示されることで、今や国内屈指の2輪イベントとなっているのが、春のモーターサイクルショー。

ホンダ・CL500(写真は欧州仕様)
ホンダ・CL500(写真は欧州仕様)

2023年も、3月に「第39回 大阪モーターサイクルショー2023」や「第50回 東京モーターサイクルショー」、4月には「第2回 名古屋モーターサイクルショー」が開催される予定で、バイクファンなどから大きな注目を集めています。

そんな中、ホンダでは、これら3つのショーに国内初公開となる2機種を含む合計38台(予定)ものバイクを出展することを発表しました。

注目は、2022年11月にイタリアで開催されたEICMA2022(通称:ミラノショー)で、世界初公開した新型の大型ツアラー「XL750トランザルプ(XL750 TRANSALP)」。

また、同じくミラノショーで発表した電動スクーター「EM1 e:」や、スクランブラーモデルの「CL500」なども国内初披露。さらに、CL500の250cc版である「CL250」も展示するなど、注目の2023年ニューモデルが勢揃いします。

●往年の冒険バイクを復刻したXL750トランザルプ

ホンダのトランザルプといえば、オンロードからオフロードまで幅広い道を走破できるアドベンチャーモデルとして、1980年代後半から1990年代に一斉を風靡したモデルです。

ホンダ・XL750トランザルプ
ホンダ・XL750トランザルプ

その後継といえるのが、今回展示されるXL750トランザルプ。市街地から高速道路、峠道から未舗装路までオールラウンドで、雄大なスケールのロングツーリングを快適に楽しめるモデルとして開発されたモデルです。

完全新設計の755cc・270度クランク直列2気筒エンジンを、軽量なスチール製ダイヤモンドフレームに搭載。欧州仕様では最高出力67.5kW(91.8ps)・最大トルク75Nm(7.64kgf-m)を発揮し、常用域で扱いやすく、高回転域ではパワフルな特性を両立していることが特徴です。

1987年に発売されたトランザルプ600V
1987年に発売されたトランザルプ600V

また、車体左右に配置した新採用の渦ダクト(Vortex Air Flow Duct)により、低中速領域の吸入効率を向上させ、力強いトルクフィーリングを実現しています。

サスペンションには、フロントにショーワ(日立Astemo)製の43mmSFF-CA倒立フロントフォーク、リヤにはプロリンクサスペンションとハイブリッド構造のアルミスイングアームを装備。

21インチのフロントホイールと18インチのリヤホイールの組み合わせにより、オンロードでの快適な走りと、オフロードでの安定性なども追求しています。

ほかにも、スロットルバイワイヤシステム(TBW)の採用により、5タイプから選べるライディングモードも装備。パワー、Hondaセレクタブルトルクコントロール(HSTC)、ABS、エンジンブレーキの各レベルを、路面状況や好みなどで切り替えることが可能で、幅広いシーンで心地よい走りを楽しめます。

●レトロでモダンな「CL500」と「CL250」

一方、国内市販予定のスクランブラーモデル2機種、500ccモデル「CL500」と250cc版の「CL250」も登場予定です。

ホンダ・CL500(写真は欧州仕様)
ホンダ・CL500(写真は欧州仕様)

ホンダの「CL」といえば、1960年代や1970年代に、大きな人気を博したオン・オフ両用のスクランブラーモデル。1962年に登場した「ドリームCL72スクランブラー」をはじめ、450ccや250cc、125ccや50ccなど、さまざまな排気量のモデルが人気を博しました。

その伝統の名称を受け継いだ新型2機種は、レトロな雰囲気と現代風なテイストを融合したネオレトロと呼ばれるジャンルに属します。

ちなみに、スクランブラーとは、1960年代などに登場したオンロードモデルをベースにダートなどでの走破性も両立したモデルのこと。マフラーをアップタイプにしたり、サスペンションのストローク量を増やすなどで、悪路でも軽快で安定した走りを実現したことが特徴です。

ホンダ・ドリームCL72スクランブラー
ホンダ・ドリームCL72スクランブラー

ミラノショーで発表されたCL500は、クルーザーモデル「レブル500」と同様の471cc・直列2気筒エンジンを搭載。欧州仕様では、最高出力34.3kW(46.6ps)、最大トル43.4Nm(4.42kgf-m)を発揮します。

また、シンプルで力強いパイプワークとループ形状の後端を採用したフレームにより、力強いスタイリングを表現。フロント19インチ、リヤ17インチのブロックパターンイメージのタイヤが、ワイルドなスタイルと、オフロードでの走破性の高さに貢献します。

ホンダ・CL500のリヤビュー(写真は欧州仕様)
ホンダ・CL500のリヤビュー(写真は欧州仕様)

一方、CL500の兄弟車となるCL250については、まだ詳細は発表されていませんが、スタイリングなどは、CL500を踏襲。アップタイプのマフラーを装備する、ワイルドなスクランブラースタイルとなっています。

エンジンやフレームなどは、250ccのクルーザーモデル「レブル250」をベースにしているといわれており、街中などでの取り回しや足着き性が良好など、初心者ライダーにも乗りやすい特性を持つことが伺えます。

●電動スクーター「EM1 e:」は原付一種で国内導入

2025年までに、全世界で10車種以上の電動2輪車を投入することを発表したホンダが、初めて欧州に投入するのが電動スクーターの「EM1 e:」。日本では、原付一種モデルとして発売される予定です。

EM1 e:は原付一種の電動スクーターとして登場
EM1 e:は原付一種の電動スクーターとして登場

若者向けスクーターとして開発されたこのモデルは、通学・通勤や買い物などの普段使いなど、主に街中での走行を効率よく、静かで、クリーンに走る電動スクーターです。

バッテリーには、交換式の「ホンダ モバイルパワーパックe:(Honda Mobile Power Pack e:)」を1個搭載し、充電済みのものと交換することで、充電されるのを待つことなく走行が可能。

欧州仕様では、最高速度45km/h、1回の充電で40km以上の航続距離(WMTCモード、ホンダ調べ)を実現。フラットフロアを採用したコンパクトで滑らかなデザインにより、個性的なスタイルを実現しています。

●ブースでは疑似走行も体験できる

今回の3つのショーでは、ほかにもホンダが2023年2月に発売した新型の大型ツアラー「レブル1100T」と「レブル1100T Dual Clutch Transmission」も展示するなど、注目の新型車もずらりと並ぶ予定です。

ホンダ・レブル1100T Dual Clutch Transmission
ホンダ・レブル1100T Dual Clutch Transmission

なお、各ショーのブースでは、「HondaGO BIKE LAND」をテーマに、ホンダが展開するスマートフォンアプリ「HondaGO」の各種サービスを紹介。

ブース中央には、円形状に回転するバイクにまたがることで、疑似走行を体験できる「ホンダゴーラウンド」も設置し、アミューズメントパーク的な楽しみ方ができることも注目です。

ほかにも、人気モデルの実車にまたがり、橫にある鏡で自分のフォームを確認できたり、アクセル操作を行うと録音された排気音を楽しめるなど、さまざまな趣向を凝らしているといいます。

なお、これら注目モデルの画像などは、Hondaモーターサイクルショー2023 特設サイトで見ることが可能です(当記事最後のリンクを参照下さい)。

【春のモーターサイクルショー2023スケジュール】

「第39回 大阪モーターサイクルショー2023」
期間:2023年3月17日(金)〜3月19日(日)
場所:インテックス大阪

「第50回 東京モーターサイクルショー」
期間:2023年3月24日(金)〜3月26日(日)
場所:東京ビッグサイト

「第2回 名古屋モーターサイクルショー」
期間:2023年4月7日(金)〜4月9日(日)
場所:Aichi Sky Expo

(文:平塚直樹

【関連リンク】

Hondaモーターサイクルショー2023 特設サイト
https://hondago-bikerental.jp/bike-lab/mcs2023/

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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