新型トヨタ「プリウス」を清水和夫が公道試乗。運転を補助し、人とクルマが共感する「プロアクティブドライビングアシスト」も実体験!

■トヨタ新型「プリウス」はカローラとの棲み分けができ、スペシャリティカーへとステップアップした!

●やっぱ真の評価は公道で乗らないとな!by清水和夫

新型プリウスを清水和夫が公道試乗!
新型プリウスを清水和夫が公道試乗!

国際モータージャーナリスト・清水和夫さんのYouTubeチャンネル「StartYourEnginesX」より、新型プリウス試乗を今まで2度、紹介しました。最初はプロトタイプのサーキット試乗(富士スピードウェイ)で、次がプリウスPHEVのプロトタイプ試乗(袖ケ浦フォレストレースウェイ)。

そして今回は、プリウス2.0Zを公道で試乗した動画を紹介します。

プリウスは、公道で乗ってこそ真の実力が分かる!
プリウスは、公道で乗ってこそ真の実力が分かる!

「このテのクルマは公道で乗ってナンボ!」(清水)

また今回の動画の目玉のひとつ、トヨタの自動運転技術部開発の方にコ・ドライバーになって解説していただきながら、新技術である運転「補助」(運転「支援」じゃない)を実体験。へぇ~!な賢いシステム解説にこうご期待!(永光)


●2Lだからパフォーマンスもあるし、ステアリングも正確!

はい、新型プリウス、ついに公道で試乗です!

清水和夫による、新型プリウス公道試乗
清水和夫による、新型プリウス公道試乗

今乗っているのは、2LのE-Four。1.8Lの17インチは廉価版ということで、今回、一番スペシャルなプリウスに乗っています。タイヤも外径がでっかい19インチ。

加速したときのエンジン音、遮音がかなり進んだから(回転が)上のほうでうるさくないよね。ロールも少なめだし、結構スポーティ。

ボディ剛性は重点課題なんだけど、特にハンドリング時のフロントのサブフレームの左右の首振り、これを抑えるために補強したっていう話がありました。ですから、このステアリングに対して舵が正確に動く。ここはいいですね。

新型プリウスのフロントビュー
新型プリウスのフロントビュー
新型プリウスのリヤビュー
新型プリウスのリヤビュー

パワートレーンも2Lなので、しっかりとパフォーマンスあるし、何よりも乗り心地が良いな。柔らかい感じじゃなくて、どっちかって言ったらトヨタにしては固め。だけどダンピングはいい。本当にちょっとビックリするくらい進化してます。

最近はシビックのe:HEVが走りの面で良いなと思ったんだけど、このプリウスも負けてないなって感じ。

●ペダルがオルガン式になった~♪

オルガン式になったフットペダル
オルガン式になったフットペダル

ペダルもついにオルガン式になったし、ペダルレイアウトも悪くない。このシフトレバーも改善されたので、この辺はガラッと変えてます。TNGAもより洗練されてきましたね。

(全体的に)非常にスポーティになったけど、ヘッドクリアランスとかはちょっとね。ファミリーカーとして使うには、キャビンは天地で狭いかな?というのはあるけど、まぁそれがイヤだったらカローラに乗ればいい。その辺、カローラとプリウスが、上手く棲み分けたというところがいいよね。

ハンドリングはどうかな? おぉ~悪くない。

やるな! プリウス!!

今までプリウスなんて欲しいと思ったことは一回も無いし、レンタカーくらいしか乗たことないけど、コレはいいな。だから、欲が出ちゃう。もうちょっとパワーが欲しい!とかね。

これは売れるね。走り、悪くないもん。こういうのが出てきちゃうと、ゴルフとかその辺の存在感が薄れちゃう。

●プリウスは5代目でロングツーリングのお供になった

サイド前方の三角窓のお陰で、視界性能もマル!
サイド前方の三角窓のお陰で、視界性能もマル!

視界がちょっとどうかな?と思ったけど、意外にこの三角窓があるから悪くない。

風切り音、ロードノイズ…静かだなぁ。これ、長距離ドライブにいいね。だからグランドツアラーとしていけそう。スペシャリティカーというよりも、ハイブリッドのGTカー=グランドツーリング。そんなイメージだね。それに今乗っているのは四駆のE-Fourだから、オールシーズンタイヤ履いていればちょっとした雪でもいけちゃうし。

長い時間かかったなぁ、このサスペンションができるまで…(←しみじみと)。

●運転“支援”じゃなくて「補助」! プロアクティブドライビングアシストを試してみた

トヨタ 自動運転技術部開発 第2開発室 主幹 菅本周作さんとドライブ!?
トヨタ 自動運転技術部開発 第2開発室 主幹 菅本周作さんとドライブ!?

清水:トヨタの自動運転技術部開発 第2開発室 主幹 菅本周作さんです。菅本さんはこの高度運転支援の開発担当ですね。なんか凄い“マル秘”の技術が搭載されたということで! ソレってなんていう名前ですか?

菅本:プロアクティブドライビングアシストといいます。

清水:あぁ~、レクサスNXやクラウンに付いているヤツね。まず、走り出しはセッティングとか要らないんですね。

菅本:走りながらでもON/OFFが出来ます。

プロアクティブドライビングアシスト解説
プロアクティブドライビングアシスト解説

清水:運転支援といっても、専門的に言えばレベル2でいろんなものがありますよね、ACC(アダプティブクルーズコントロール/車間距離制御装置)、LKA(レーンキーピングアシスト/車線維持補助)。だけど、電動でシステムが自動でハンドルを動かしたり支援するのと、今回のプロアクティブドライビングアシストとは、ちょっと違うんですよね?

菅本:今回のプロアクティブドライビングアシスト、このプリウスでトヨタ初となるものは、動かすのではなくて、ドライバー自身で運転されているときに、その道の形に合ったようにステアリングの重みを調節するという。

清水:なるほど。コーナーのRに合わせてっていうことは、高速道路よりも、ハンドルをいっぱい切る一般道のほうがご利益あるんですね?

菅本:はい。おっしゃるとおりです。一般道でお使いいただけるものです。

清水:今、一般道だけど…もう動いてる?

菅本:はい、動いております。

清水:オレ、鈍感だから分かんないな…。

プロアクティブドライビングアシストは3段階の調整が可能
プロアクティブドライビングアシストは3段階の調整が可能

菅本:感度を3段階、強・中・弱に調整することが出来ます。

清水:右カーブだと、右カーブを…ハンドルを切りやすく…支援しているわけね。あ、支援じゃね~な。

菅本補助、でございます♪ 右側の反力を少し軽めにして、(ハンドルを)切りやすいようにしていると。

清水:右が左よりもちょっと…。あ、確かに! 確かにそうだな。手のひらをそえるくらいで切ってみないと分からないね。ギュッと握っちゃうと分かんない。手のひらをハンドルに当てて切ると、確かに曲がる方向に少し軽めになっていますね。

菅本:今は一番弱いバージョンです。この画面で切り替えることが出来ます。

清水:じゃ、今度は一番強いので。今度は左カーブ。強いってことは、強く弱めているってこと?(笑)

菅本:そうです。強いってことは大きく弱めている。逆に、直進の時はよりドッシリするようにしています。

清水:これ、カーブかどうかっていうのはカメラで見ているんですか?

菅本:はい。

プロアクティブドライビングアシストを体感してみる
プロアクティブドライビングアシストを体感してみる

清水:右…確かに。こうやって手のひらをそえるくらいで切って、分かるか分かんないかなんだけど、普通の人は意識しないで乗れるわけですよね。そうすると、長時間乗って、なんか心理的に、あるいはフィジカルの状態でストレスないとか、そういう研究成果ってあるんですか?

菅本:これ、実は(ドライバーが)気付いていなくても操作のブレみたいなものが減って、疲れにくくなるというところが分かっています。

清水:柔らかいっていうか、マイルドだな。これは標準装備なので、エンジンかけたら、弱いか真ん中か強いかはさておき、常時機能しているわけですね。

菅本:ONしていただけたら、それを憶えていますので。また、切ることも出来ます。

清水:最初にこのプロアクティブが入ったのは確かNXだったんだけど、NXはこのハンドル補助が無くて、前後の加速減速のカメラで前のクルマとの距離を見ているから、特にハイブリッドでバッテリーがあるから、回生使って車間距離を維持するような技術がありましたよね。

菅本:はい。減速をサポートするような。

清水:たしかクラウンもソコ、持っているんですよね。レクサスのRXからこのハンドル補助が入ってきた。

菅本:はい、その通りです。

プロアクティブドライビングアシストを試す
プロアクティブドライビングアシストを試す

清水カーブにバンクが付いているような感じだね。内側にスーッと入るような感じ。

菅本:運転が少し不慣れな方とかでも、ちょっとリラックスして運転いただけるような、そういった“寄り添うような技術”ということで作って参りました。

清水:支援じゃなくて、補助。

菅本:人の運転をなにか強制するとか、そういうところは極力無いように。あくまで人がやりたいように自由なんだけど、それをやろうとすることをちょっと支えている、そういったイメージです。

●FFバージョンはどうかな?

今乗っているコレは2L 19インチのFFです。まぁ今日は路面がドライだから四駆もFFも関係ね~かな?と思ったら、そうじゃなくて、四駆とFFは味付けを変えているって言うんでね。それをチェックしたいと思います。

FFを試してみる。あ、パノラマルーフですね! 車両重量で20kg増加します
FFを試してみる。あ、パノラマルーフですね! 車両重量で20kg増加します

なるほど! 四駆と違って軽快感、出していますね。四駆はね、もうちょっとリヤのトルクを上げればいいんだけどな。

ン~、軽いけど、悪くない。カーブ見て、エンジンブレーキがスーッとちょっと強まりますね、ハンドル切っていくと。落ち着いて走れます。これでもうちょっとハンドルが重いと、なんかしっとりするかなぁ。ちょっとセンターもヒールもグラグラしている感じがしなくも無いけど。

でも、確かに加速は車重が軽いせいか、スピードの上がり方がシャープですね。

●5代目プリウスを公道に連れ出して分かったこと

今回は、いよいよ待ちに待った、新型5代目プリウスの一般公道の試乗会。今は袖ケ浦フォレストレースウェイだけど、ココでは走らずに、周辺と高速道路を走ってきました。

プリウスを公道で乗ってみて、あらためて分かったこと
プリウスを公道で乗ってみて、あらためて分かったこと

どんな印象か?というと、今回5代目ということで、今までのプリウスの、エコカーの延長線上にあるのではなくて、そこは一回、4代目で断ち切って、新たなるシーズン2としてプリウス5代目が登場した。

どういうコンセプトかというと、今までこのCセグメントはカローラという大物がいましたから、なんかこうカローラとプリウスの棲み分けが非常に難しくて。プリウスはプリウスチームが先代のプリウスを良くしようということで当然、開発するわけです。またカローラチームも、カローラを先代よりも良くしようと開発するんです。

しかしある時に、両方全体を見ると、このCセグメントの中で、同じパワートレーンを使うハイブリッドとして、名前が違うだけで、お互いに役割分担が明確でないところも出てきたのかな、と思います。

エンジンが2Lになってパワフルに!
エンジンが2Lになってパワフルに!

ということで、今回プリウスは、カローラシリーズの中から枠をはみ出て、よりスポーティに、スペシャルなクルマにしようということで、こういうデザインになったんです。ですから当然、このAピラーの寝ている角度とか、後席のヘッドクリアランスを考えるとルーミーではないんです。が、それはカローラにお任せして、コッチはスペシャリティカー。そういう部分で棲み分けが出来た。

TNGAで言うと、2巡目に相当するんですけど、このプリウスがいわゆるトップバッターとして今、出てきているんです。ですから、プリウスで行った様々な技術開発が、この後はカローラのほうにも入ってくるのかな?と思うんです。

2Lプリウスは195/50R19のタイヤを履く
2Lプリウスは195/50R19のタイヤを履く

そういう意味で、今回のプリウス。パワートレーンも2Lで19インチのタイヤを履いて、非常にハンドリングも乗り心地も良くて、いろんな先端技術を持っているんです。

また、プロアクティブドライビングアシストみたいな技術は、敢えて運転支援ではない、その1コ手前のところの「運転補助」みたいな技術。カメラで一般道のコーナーの線形を見て、右カーブだったら当然ハンドルは右に切るわけですから、右の方向にハンドルの手ごたえを柔らかく、軽くして、逆に切ろうとすると重くする、みたいな。重くするというよりも切るべき方向に軽く切りやすくしているというような技術が入っているので、それは設定をしておけばいつでも3段階に強さを分けることができる。

このプロアクティブは前後の加速も同じで、ACCを使わなくてもセンサーで前のクルマを見ていますから、ちょっと車間距離が近づいたら、ハイブリッドなので回生ブレーキを使って距離を保つとか。

新型プリウスのコクピット
新型プリウスのコクピット

そういう意味で、クルマのなんだろ、人間とクルマとの関係のもっと内面的なところが、人とクルマが共感して、もう少し折り重なっているようなところがあるんですよね。システムに運転させるか、人間か、あるいは支援か…という話ではなくて、もうちょっと人間寄りのところに、このクルマが近づいたのかな、と思っています。

そういうところは、これからのクルマ作りの、ある意味、本質論ではないかなという気がするんです。乗り心地とか走りとかハンドリングとか、そんな内面の話とか。様々な領域で、単なるエコカーではないスペシャリティなクルマとして、プリウス5代目が登場したと思います。

●1.8Lのプリウスとカローラの差別化。1.8Lと2.0Lのプリウスの差別化も出来てるね!

1.8Lと2L、プリウスとカローラ。棲み分けがキッチリできました
1.8Lと2L、プリウスとカローラ。棲み分けがキッチリできました

今回、プリウスのハイブリッド1.8Lに関してはKINTO。で、カローラの1.8LのKINTOはない。なんか今まで、同じ1.8L同士でプリウスとカローラが競い合っているようなところがあったんだけどね。カローラの1.8Lはけっこう安めの値段に設定されていますから、そういう意味で、プリウスとカローラの1.8Lの差別化も出来ている。

KINTOバージョンの1.8Lは17インチのタイヤ&ホイール
KINTOバージョンの1.8Lは17インチのタイヤ&ホイール

プリウスで言えば、1.8Lはタイヤも17インチで乗り味も少しマイルドになっていますから、19インチの2Lとの差別化も出来ている。

そういう意味では今回、本当に差別化が上手くいって、お客さんであるユーザーは選ぶのがあまり迷わないで済むのかなと思います。(清水和夫)


さりげな~くドライバーを「補助」する機能を持った、プロアクティブドライビングアシスト、これみよがしではない優しい機能ですね。

そして、1.8Lと2L、プリウスとカローラが上手く棲み分けたことで、2車は独自の道を進み始めたといいます。

全てのインプレッション、解説は動画 ↓ ↓ ↓ でドーゾ!(永光)

(試乗インプレッション:清水 和夫/動画:StartYourEnginesX/アシスト:永光 やすの

新型プリウスの主なスペック
新型プリウスの主なスペック

【SPECIFICATIONS】
車名:プリウス2.0Z 2WD(※[ ]内はE-Four)
全長×全幅×全高:4600×1780×1430mm
ホイールベース:2750mm
トレッド(前/後):1560/1570mm
車両重量:1420[1480]kg
最小回転半径:5.4m
乗車定員:5名
エンジン型式/種類:M20A-FXS/直列4気筒
内径×行程:80.5×97.6 mm
総排気量:1986cc
エンジン最高出力:112kW(152ps)/6000rpm
エンジン最大トルク:188Nm(19.2kgm)/4400-5200rpm
燃料タンク容量:43L
燃料:無鉛レギュラー
燃費 WLTCモード:28.6[26.7]km/L
駆動方式:前輪駆動/四輪駆動
フロントモーター型式/種類:IVM/交流同期電動機
最高出力:83kW(113ps)
最大トルク:206Nm(21.0kgm)
リアモーター型式/種類:1WM/交流同期電動機
最高出力:30kw(41ps)
最大トルク:84Nm(8.6kgm)
トランスミッション:CVT
サスペンション形式(前/後):マクファーソンストラット/ダブルウイッシュボーン
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ (前/後):195/50R19/195/50R19
車両本体価格(税込):3,700,000[3,920,000]円

【関連リンク】

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

トヨタ 新型プリウス特設サイト
https://toyota.jp/info/prius_special/

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この記事の著者

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、スーパー耐久やGT選手権など国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。
自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。clicccarでは自身のYouTubeチャンネル『StartYourEnginesX』でも公開している試乗インプレッションや書下ろしブログなどを執筆。
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