目次
■デート必須だった高級感とスポーティさを持つクルマたち
1980年代後半から1990年代前半のバルブ期に、一斉を風靡したのが「デートカー」。その名の通り、デートに行くために乗るクルマという意味で、当時の若者を中心に大ヒットしました。
主に4ドアのサルーンや2ドアクーペで、内外装に高級感を持たせたクルマが多く、別名「スペシャリティカー」とも呼ばれたモデルたちです。
今では、すっかり聞かなくなったデートカーという言葉ですが、当時はとにかく「彼女をデートに誘うには必須」だといわれていたほど。その時代に青春を送った旧車ファンなどでは、今でもデートに乗っていきたいクルマもあるようです。
では、実際に、どんなクルマが現在も高い人気を誇っているのでしょうか? カレント自動車が、旧車に興味のある213名を対象に行った調査結果があるので、ちょっと紹介してみましょう。
今回の調査は、2023年2月2日〜2023年2月13日の期間、インターネットによるアンケート形式で行われたものです。
●デートカーとはどんなクルマだった?
デートカーとは、前述の通り、1980年代後半から1990年代前半のバルブ期、若者を中心に人気があったモデルたちのこと。高級感あふれる内外装などにより、デートでは必須とまで言われたクルマを意味します。
経済的に豊かだったバブル期は、若者でもクルマを持つのは当たり前だった時代。さらに、女のコにモテるには、おしゃれなクルマでないとダメだと言われていたのです。
特に、当時は、いわゆる「女子大生ブーム」というものがあり、1983年に始まったテレビの深夜番組「オールナイトフジ」(フジテレビ系)などの人気もあり、女子大生のスターが数多く登場。
多くの男子たちが、どうすれば「女子大生とデートできる」のか躍起になっていた時代でした。
そんな時代だからこそ生まれたのがデートカー。当時流行のファッションを身にまとい、おしゃれなレストランやカフェなどへ女子大生たちをデートに誘うには、クルマもファッショナブルである必要があるということで、一斉を風靡したのです。
●1位:トヨタ・ソアラ
そんなデートカーのなかで、今でもデートに乗って行きたいクルマの人気ランキング1位になったは、トヨタ「ソアラ」でした。
初代モデルが1981年に登場したソアラは、トヨタ初の高級パーソナルカー。ロングノーズ&ショートデッキを採用した2ドアのノッチバッククーペです。
特に、デートカーとして人気だったのは、1986年に発売された2代目のZ20型。スタイルは初代モデルのイメージをキープしながらもリファインし、質感を向上したことが特徴でした。
また、電動パワーシートやデジタルメーターなど豪華なインテリアを備えていたことで、当時としてはかなりの高級感を持っていたことも人気の秘密でした。
しかも、走りもかなりよく、最上級グレードには、3.0L・直列6気筒ツインカムエンジンのターボエンジンを搭載。最高出力230psもの大パワーにより、余裕の走りを実現していました。
また、2.0L・直列6気筒エンジン搭載モデルもあり、ツインターボを含む3機種を用意し、豊富なラインアップを誇っていました。
さらに、足まわりには、4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、優れたコーナリング性能も発揮。電子制御サスペンション仕様やエアサスペンション仕様なども用意され、いずれも快適な乗り心地を実現していました。
●2位:日産・シルビア
2位には、日産の「シルビア」がランクインしました。
1965年に登場した初代モデル以来、2002年に7代目のS15型が販売終了となるまで、ロングセラーを続けたのがシルビアです。
特に、デートカーとして有名なのは、1988年に登場した5代目S13型でしょう。5ナンバーサイズのコンパクトで流麗な2ドアクーペのボディを採用。それに、ハイパワーを誇る2.0L・直列4気筒の「SR20型」エンジンを搭載(※前期型は1.8Lエンジンを搭載)することで、俊敏な走りも両立していました。
また、当時の高級車に設定の多かったマルチリンク式サスペンションをリヤに採用することで、乗り心地も抜群。
当時は、スポーツカーでデートをすることが最先端だったこともあり、時代にマッチしたモデルとして大ヒットを記録しました。
●3位:日産・レパード
3位は、同じく日産の高級パーソナルカー「レパード」。特に、2代目のF31型は、当時人気だったソアラの対抗馬として開発されたといわれており、こちらも大ヒットを記録しました。
1986年に登場した2代目は、初代モデル(1980年発売)に設定があった4ドアモデルを廃止し、2ドアクーペのみを設定。スタイルは、先代モデルがイタリア車を意識したデザインだったのに対し、クラシカルで高級感溢れるスタイルを採用しました。
搭載するエンジンは、V型6気筒で、排気量は3.0Lを頂点に、2.0LのターボやNA(自然吸気)などをラインアップ。特に、後期型に搭載された3.0LのVG30DETエンジン搭載車は、最高出力255psものハイパワーを発揮し、ライバルのソアラに負けない速さも実現していました。
ちなみに、2代目のF31型レパードは、刑事ドラマ「あぶない刑事」シリーズ(日本テレビ系)の劇中車として登場したことでも有名。当時、テレビドラマで颯爽と走るレパードの姿を見て、憧れた人も多かったのではないでしょうか?
●ホンダのプレリュードも人気だった
ちなみに、今回の調査で4位以下には、ホンダ「プレリュード」やトヨタ「セリカ」もランクイン。輸入車では、メルセデス・ベンツ「190E」やBMW「320i」などの名前も挙がったそうです。
いずれも、当時のデートカーとして人気だったモデルですが、大学生だった筆者的に印象深かったのはプレリュードですね。特に、1982年登場の2代目は大学の敷地内にあった駐車場で数多く停められていましたし、街でもよく見かけたものです。
ソアラやシルビア、レパードなどがFR(フロントエンジン・リヤドライブ)だったのに対し、プレリュードはFF(フロントエンジン・フロントドライブ)で、エンジンも2.0L・4気筒のみの設定。
最高出力も120ps〜125psと、ライバル車と比べるとスペック的なパワーなどはやや劣っていたものの、外観デザインはかなり秀逸でした。
FF車ならではの低いフロントノーズにワイド&ローを演出したボディ、スポーツカーの代名詞だったリトラクタブルヘッドライトなどを持つことで、まさに憬れの1台といえるクルマでした(買えませんでしたが)。
ともあれ、高級でスポーティな雰囲気が満点だったデートカーたちは、筆者を含めた当時を知るオジさんたちにとって、今でも思い出深いクルマであることは間違いないでしょう。
(文:平塚 直樹)
【関連リンク】
カレント自動車 公式ホームページ
https://www.currentmotor.co.jp/notice/news/6046/