ライバル不在のフォルクスワーゲン「ティグアンR」。733万7000円という価格でもコスパがいいワケとは?

■サイズ的に近いのは、同じ「MQB」プラットフォームを使う兄弟車のアウディQ3

フォルクスワーゲンの看板モデルであるゴルフ、ゴルフヴァリアントに「R」が加わり、すでにSUVのT-Roc、ティグアンにも「R」が設定されていることから、日本の「R」ラインナップが出揃ったことになります。

フォルクスワーゲン・ティグアンRの走り
フォルクスワーゲン・ティグアンRの走り

なお、フォルクスワーゲンのSUVで、最上位に君臨するトゥアレグにも「R」は設定されていますが、ご存じのとおり、トゥアレグは現在、日本には導入されていません。

ティグアンRのリヤビュー
ティグアンRのリヤビュー

以前お伝えしたように、ゴルフRを中心としたプレス向け試乗会で、ティグアンRとゴルフRを乗り比べる機会があり、ここでは改めてティグアンRの特徴をチェックしたいと思います。

現在、日本におけるフォルクスワーゲンのSUVで最上級に位置するティグアン。同グループで同じプラットフォームを使うモデルやライバル、弟分とボディサイズを比べてみます。

●ボディサイズ

フォルクスワーゲン・ティグアンR:全長4520×全幅1860×全高1675mm、ホイールベース2675mm

アウディ RS Q3:全長4505×全幅1855×全高1605mm、ホイールベース2680mm

ポルシェ・マカンT:全長4726×全幅2097×全高1606mm、ホイールベース2807mm(欧州仕様値)

メルセデス・ベンツGLA 35 4MATIC:全長4440×全幅1850×全高1585mm、ホイールベース2730mm

フォルクスワーゲンT-Roc R:全長4245×全幅1825×全高1570、ホイールベース2590mm

ティグアンRのフロントマスク
ティグアンRのフロントマスク

ドイツ勢を並べると、「BMWがない!」という声が聞こえてきそう。今回、BMWのSUVを俎上に載せなかったのは、ティグアンに近いサイズ感のモデルがないためです。メルセデス・ベンツGLAも全幅は近いものの、全長はティグアンよりも80mmも短くなっています。

ほかには、全長が4410mmと短いジャガーE-PACEなどもあるものの、サイズ的には1クラス下。同門の兄弟車をのぞくと、ティグアンRは、輸入車ではライバル不在というサイズ感になっています。

ティグアンRのサイドビュー
ティグアンRのサイドビュー

ティグアンRのボディサイズは、全幅が1860mmもあるため、狭い道などでは取り回し性に気を遣うシーンもありそう。ただし、ティグアンRには「プログレッシブ ステアリングシステム」が備わっています。

このシステムでは操舵角に応じてギア比が変化するため、駐車時などの操作フィーリングが軽くなり、Uターン時などでもスポーツ系SUVで、255/35R21という大径タイヤを履いているとは思えないほど、扱いやすい印象を受けました。

255/35R21タイヤを履く
255/35R21タイヤを履く

なお、最小回転半径は、ほかのティグアンと同じ5.4m。一方で、山道ではロック・トゥ・ロックが減ることでダイレクト感が増し、安定感のあるステアフィールを享受できます。

●ティグアンRに備わる「Rパフォーマンストルクベクタリング」

現行ティグアンRは、同SUVに初設定された「R」で、専用のエクステリアをはじめ車高が10mmダウンとなるアダプティブシャシーコントロールの「DCCスポーツサスペンション」や「Rパフォーマンストルクベクタリング」が付く4WDの4MOTIONが組み合わされています。

ティグアンRの走り
ティグアンRの走り

なお、以前お伝えしたように、弟分で後から追加されたT-Roc Rには、「Rパフォーマンストルクベクタリング」は備わりません。

ティグアンやゴルフの「R」に備わる「Rパフォーマンストルクベクタリング」は、「セレクティブ・ホイールトルク・コントロール」を備え、4WDの前後トルク配分だけでなく、リヤアクスルに配された2つの多板クラッチが左右の後輪間でも駆動力配分が可能で、操縦安定性や旋回性能の高さに寄与しているのが特徴です。安定性を俊敏さを兼ね備えているのがティグアンRの美点のひとつ。

2.0L TSIエンジン
2.0L TSIエンジン

ティグアンRのパワートレーンは、2.0L直列4気筒ターボと湿式の7速DSG(デュアルクラッチトランスミッション)の組み合わせで、最高出力320PS/5350-6500rpm、最大トルク420Nm/2100-5350rpmというスペック。

●エンジンスペック、車両重量

ティグアンR:最高出力320PS/5350-6500rpm、最大トルク420Nm/2100-5350rpm、車両重量1750kg

RS Q3:最高出力400PS/5850-7000rpm、最大トルク480Nm/1950-5850rpm、車両重量1740kg

マカンT:最高出力265PS/5000-6500rpm、最大トルク400Nm/1800-4500rpm、車両重量1940kg

GLA 35 4MATIC:最高出力306PS/5800-6100rpm、最大トルク400Nm/3000-4000rpm、車両重量1690kg

T-Roc R:最高出力300PS/5300-6500rpm、最大トルク400Nm/2000-5200rpm、車両重量1540kg

フォルクスワーゲン・ティグアンRのフロントシート
フォルクスワーゲン・ティグアンRのフロントシート

同じコースで乗り比べたわけではないものの、T-Roc Rは、高速道路の合流などで不用意にアクセルを踏み込むと、超が付くほどかなり強烈な加速を堪能できるのに対し、約200kg重いティグアンRは、そこまでピーキーな加速感はありません。

なお、パワーウエイトレシオは、ティグアンRが5.47kg/PS、T-Roc Rは5.13kg/PSで、軽さを武器に弟分が上回っています。それでもティグアンRは、マカンT(854万円)よりもスペックでは上回っていて、体感的には公道でパワー不足を抱かせるシーンはほとんどないはず。

フォルクスワーゲン・ティグアンRの走行シーン
フォルクスワーゲン・ティグアンRの走行シーン

さらに、別格のアウディ RS Q3をのぞくと、最大トルクも20Nm上回ることもあり、ターボの過給が始まる前からでも必要十分なトルク感を披露してくれます。とはいえ、「R」らしいハイパワーを堪能できるのは、ターボの加勢とともに、という印象もあります。

ティグアンRの乗り心地は、「R」であることから身構えて乗ってもそれなりにハードです。

先述したように、「アダプティブシャシーコントロール」の「DCC スポーツサスペンション」を備えているため、ドライブモードを「コンフォート」にすれば、大径タイヤであっても揺すぶられるような乗り味はある程度抑え込むことができている反面、「スポーツ」「レース」にすると、上下動がダイレクトに伝わってきます。255/35R21タイヤという大径タイヤは、大型ブーツを履いているような乗り味。

青いブレーキキャリパーもR専用
青いブレーキキャリパーもR専用

なお、「オフロード」「オフロードエキスパート」「スノー」も備わり、オフロードから雪上まで状況に応じた走りを引き出すことが可能です。スポーツ走行もスキー場への足としても対応できる存在になっています。

Rのロゴを随所に配置する
Rのロゴを随所に配置する

ブランド違いの同じプラットフォームを使うモデルをのぞき、ライバル不在といえるサイズ感を備え、マカンTよりもパワフルなフォルクスワーゲン・ティグアンRは、同ブランドらしくコスパのいいハイパフォーマンスSUVといえます。

「R」ならではの精悍なエクステリアと専用色「ラピスブルーメタリック」を設定するなど、「R」を名乗るにふさわしい仕様になっています。

●ティグアンR価格:733万7000円

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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