マツダの最新SUV「CX-90」がお目見え。3列シートSUVにロードスターと共通の「アレ」を付けた理由は?

■最新の「赤」塗装にも注目!のフラッグシップSUV

マツダCX-90のサイドビュー
マツダCX-90は、最大8名乗車に対応する3列シートSUV

マツダは2023年2月1日、北米で「CX-90」を初公開しました。

ワイドボディに3列シートを備えたフラッグシップSUVは、最大8名乗車に対応。直6ガソリンターボ+マイルドハイブリッド、もしくはプラグインハイブリッドというふたつのパワートレインを設定しています。

●ロードスターで採用した姿勢制御技術を共有

マツダCX-90のコクピット
マツダCX-90のコクピットは明るく広々とした雰囲気

マツダのCXファミリーの頂点に君臨するフラグシップSUV「CX-90」は、北米市場をメインターゲットに据えて開発されたモデルです。

現時点で日本への導入予定は無し、というのがなんとも残念ですが、注目ポイントがいくつも盛り込まれた意欲的な仕上がりになっているようです。

CX-90のベースになっているのは、後輪駆動ベースの新世代アーキテクチャー。マツダ車らしく、ビッグサイズのSUVであっても「意のままの走り」を味わえるよう注力されています。それを証明するひとつが、マツダの走りを象徴するロードスターに採用した「キネマティック ポスチャー コンロトール」の採用です。

マツダCX-90のフロントビュー
マツダCX-90はロードスターで採用された技術「キネマティック ポスチャー コントロール」を搭載する

「キネマティック ポスチャー コントロール」は、ブレーキを活用した姿勢制御技術。

ロードスターは、低速域でも独特の軽快さとヒラヒラ感を味わえる走りが特徴ですが、一方、高速域・高G領域ではわずかにリヤが浮き上がるような、フワフワとした頼りない感覚が生まれていました。

アクティブサスペンションなどの電制デバイスを採用すれば、問題は比較的容易に解決するようにも思えます。しかし、ライトウェイトを標榜するロードスターにとって車重増は致命的。

なんとか重量を増やさず、デバイスを追加したりせずに改善しようと試行錯誤した結果、生み出されたのが「キネマティック ポスチャー コントロール」だったのです。

マツダCX-90のセンターコンソール
マツダCX-90は直6マイルドハイブリッド、PHEVともに8速ATを組み合わせる

後輪左右の回転速度差をリアルタイムで検知し、Gが強めにかかるようなコーナリングの際には、リヤ内輪側をわずかに制動することで姿勢を安定させる「キネマティック ポスチャー コントロール」。これは、ブレーキをかけることでヨーモーメントを生み出すトルクベクタリングや、ブレーキをつまんでより曲がりやすくするタイプのLSDとはまったく別物です。

ブレーキをかけることで車体を引き下げる「アンチリフト力」が発生するロードスターのリヤサスペンション構造を活かし、“ちょこっとブレーキ”により、浮き上がりを軽減するというのがポイント。

オートバイでいうと、リヤブレーキを使って車両姿勢を安定させるテクニックに近いかもしれません。ロードスターでは、それを車両側が自動的に判断して行ってくれるんです。ちなみに「キネマティック ポスチャー コントロール」の搭載による重量増加は1グラムもないそうです。

そのロードスター由来の技術を、最大8人乗りのSUVにも採用したのはいかにもマツダらしい思想ですよね。

●最新の「匠塗」はボルドーワインのような赤

マツダCX-90のフロントビュー
マツダCX-90は容量17.8kWhのバッテリーを搭載するPHEVもラインナップ

CX-90のパワートレーンには、3.3リッター直6ターボ「e-Skyactiv」(マイルドハイブリッド搭載)と、2.5リッター直4+PHEVという2タイプを設定。前者は、マツダの量産ガソリンエンジン史上、最強の340hp/500Nmを、後者は323hp/500Nmを発生します。

内外装は最新のマツダのデザイン言語にもとづいたものになっています。ユニークなのは、ファブリック地を使ったダッシュボード。

他では目にすることのない独特のパターンがあしらわれていますが、これは日本の伝統工芸である「組紐(くみひも)」にヒントを得た意匠だそう。さりげなく和をにじませる、なんとも粋な仕掛けです。

マツダCX-90のリヤビュー
「匠塗」の集大成といえる新色「アーティザンレッド」を採用するマツダCX-90

さて、CX-90でもうひとつ注目したいのが、ボディカラーに採用された「アルティザンレッド」です。これは、マツダが10年前から導入してきた独自の塗装技術「匠塗(たくみぬり)」が放つ最新のバリエーションです。

匠塗は、“世界で最もエモーショナルな赤”を追求して、2012年に生まれた「ソウルレッド プレミアム メタリック」が元祖。「マツダ=赤」のイメージを構築する立役者となったボディカラーですね。

そして、第2弾の「マシーン グレイ プレミアム メタリック」、第3弾の「ソウルレッド クリスタル」、第4弾の「ロジウム ホワイト プレミアム メタリック」と、バリエーションを増やしながら進化してきました。

今回CX-90が採用したのは、匠塗10年目の集大成として登場した新色「アーティザンレッド プレミアム メタリック」。見る角度によっては漆黒にも見える、こっくりと深みのある赤はこれまでにない色合いです。

これまでのソウルレッドが「鮮やかに煌めく宝石のルビー」とするならば、アーティザンレッドは「熟成に熟成を重ねたボルドーワイン」に例えることができそうです。

「アーティザンレッド」はマツダのラージ商品群向けに開発された塗色で、カタログモデルとして採用するのはCX-90が初となります。ただし、CX-90の主要導入市場は「北米、そのほかの地域」のため、日本国内で購入することはできません。

日本のお客様でこの綺麗な赤がどうしても欲しい!とお考えの向きには、「アーティザンレッド」を特別に採用したマツダ6の特別専用車「20th Anniversary Edition」のチェックをオススメします。

CX-90を日本で買えないのは残念ですが、ご安心あれ。マツダでは「欧州、日本、そのほか地域」に展開予定のラージ商品群として、3列シートの「CX-80」をリリース予定。こちらは2023年中に導入される可能性が濃厚です。

三代やよい

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三代やよい

自動車メーカー勤務後、編集・ライティング業に転身。メカ好きが高じて、クルマ、オートバイ、ロボット、船、航空機、鉄道などのライティングを生業に。乗り継いできた愛車は9割MT。ホットハッチとライトウェイトオープンスポーツに惹かれる体質。
生来の歴女ゆえ、名車のヒストリーを掘り起こすのが個人的趣味。
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