日本のPHEVをリードする三菱「アウトランダーPHEV」誕生。「i-MiEV」に続いて三菱が放った電動車第2弾はPHEV【今日は何の日?1月24日】

■4WD SUVのPHEV(プラグインハイブリッド)として存在感をアピール

2012(平成24)年1月24日、三菱自動車から「アウトランダーPHEV」がデビューしました。電池容量の大きい(12kWh)リチウムイオン電池を搭載し、前後輪それぞれにモーターを搭載した4WDのSUVという新たなコンセプトが注目を集めました。

2012年にデビューしたアウトランダーPHEV
2012年にデビューしたアウトランダーPHEV

●環境性能だけでなく、4WDの走りも追求したPHEV

アウトランダーPHEVは、前後輪それぞれにモーターを装備した4WDのSUVで、環境性能だけでなく、力強い走りがアピールポイント。12kWhという容量の大きいリチウムイオン電池を搭載した、EVをベースにした“EV派生のPHEV”で、航続距離は60.2km(JC08モード)を達成しました。

アウトランダーのPHEVシステム構成
アウトランダーのPHEVシステム構成

PHEVのメリットは、市街地など比較的短距離走行ではEV走行、バッテリーがなくなれば通常のHEVとして走行できること、EVのバッテリー切れによる走行不能になるストレスから解放されることです。

アウトランダーPHEVの3つの運転モード
アウトランダーPHEVの3つの運転モード

そのため、運転状況に応じて3つの運転モードを巧みに使い分けます。

3つの運転モードとは、モーターで走行する「EVモード」、エンジンで発電した電気を使ってモーターで走行する「シリーズハイブリッドモード」、エンジンをベースにモーターでアシストしながら走行する「パラレルハイブリッドモード」です。

PHEVのパイオニア的なアウトランダーですが、現在国内で最も売れているPHEVであり、欧州では2015年から5年連続PHEVカテゴリーで販売トップを記録しました。

●プリウスPHVとクラリティPHEVとの違い

アウトランダーPHEV は、EVベースで電池容量を減らし、発電用のエンジンを搭載した“EV派生のPHEV”。一方、2代目プリウスPHEVと2018年にデビューしたホンダのクラリティPHEVは、両社が開発した高効率HEVシステムの電池を大容量化し、外部充電機能を付加した“HEV派生のPHEV”です。

2018年型アウトランダー
2018年型アウトランダー

最新の3つのモデルの仕様と性能を比較してみます。

・三菱・アウトランダー(2018年)は、前・後輪それぞれにモーターを搭載した4WD SUV
エンジン2.4L、電池容量13.6kWh、航続距離 65.0km、HEV燃費18.6km/L

2017年にデビューした2代目プリウスPHV
2017年にデビューした2代目プリウスPHV

・トヨタ・プリウスPHEV(2017年)は、HEVシステム「THS」をベースにしたFFセダン
エンジン1.8L、電池容量8.8kWh、航続距離 68.2km、HEV燃費37.2km/L

2019年にデビューしたクラリティPHEV
2019年にデビューしたクラリティPHEV

・ホンダ・クラリティPHEV(2018年)は、HEVシステム「i-MMD」をベースにしたFFセダン
エンジン1.5L、電池容量17kWh、航続距離 114.6km、HEV燃費28.0km/L

アウトランダーPHEVは、2モーターによるEV走行性能と4WD機能、さらに低燃費とのバランスをとった環境対応SUVで、他のPHEVとの差別化を図っています。

●新型PHVで大きく変貌する予定の次期プリウスPHV

新型プリウスが、昨2022年11月に発表(発売は今春)されました。

従来通り、HVとともにPHVも用意されていますが、いずれも燃費、性能とも現行プリウスに対して大きく進化。PHVは、エンジンとモーター、駆動バッテリーを増強して、最高出力233PSで0-100km/h加速6.7秒という圧倒的な動力性能をアピールしています。

またリチウムイオン電池を、現行(2代目)プリウスPHVの8.8kWhから13.6kWhへと55%増量し、EV航続距離は現行の68.2km(JC08モード)の50%以上向上とされているので、新型PHVのEV航続距離は102.3km以上。WLTCモードに換算(JC08モードの12%減と仮定)すると、90km以上となります。

次期プリウスPHVは、出力も大きく向上させながら、航続距離も延長するなど、大きく変貌していることが分かります。


アウトランダーPHEVも進化を続け、現行モデルでは航続距離を87km(WLTCモード)に伸ばし、国内PHEVの販売台数でトップを堅持しています。新型プリウスPHVの登場でトヨタの巻返しなるか、楽しみですね。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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