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■筒状の切符入れを巧みに操る車掌さん
●日本では懐かしい、バスの車掌さん
タイのバンコクは、今でも路線バスに車掌さんが乗っています。バスに乗ったら行き先を告げて、それに見合った料金を支払います。
2023年にめでたく還暦を迎える筆者の記憶では、子どもの頃、東京の路線バスにも車掌さんは乗っていて、デッカイ「がまぐち」のようなカバンを肩から掛けていて、その中に切符やらお金やらを収めていたはずです。
バンコクのバスの車掌さんが持っている、一見リレーのバトンか卒業証書入れの筒を派手にしたかのごとき切符入れは、縦に開閉する筒状のもので、その中にロール状になった切符が収められています。
料金を受け取ると、ロール状の切符を“ピッ”と切って渡してくれます。お釣りがある場合は筒の中から小銭も渡してくれます。お札はかさばるので筒の中には入れず、上手に折り曲げて指に挟みます。
●デジタル技術の進歩がアナログな交通機関を使いやすくする
バスという乗り物は、行き先(経路)を知っていれば便利なものですが、知らないとこれがけっこう難しいもの。
筆者はバンコクに行くようになって30年くらいになりますが、何度もバスに乗って失敗しています。入念に調べて乗っても、バス停が目的地から離れていたり、まったく違う場所に連れて行かれたりしましたが、今回はちょっと違いました。
現代とは便利なもので、スマホのアプリを使うことで便利に利用することができます。バンコクのバス経路を教えてくれるアプリなどもあるのですが、そうした専用アプリを使わずとも、「Googleマップ」に目的地を入力するだけで、快適にバス移動ができました。
Googleマップに目的地を入力すれば、現在地からどのバス停に移動して、何番のバスに乗って、どのバス停で降りればいいか、的確に教えてくれるのです。
タイは文字が独特で読むことが難しいのですが、スマホに表示された目的地を車掌さんに見せれば大丈夫。
●とはいえ、最後に大切になるのはコミュニケーション能力
私は何度かこの方法でバスに乗って、快適に移動することができました。が、一度困ったことがありました。
それは車掌さんがお年寄りで、「スマホの文字が小さくて見えない」という事態に。
このとき、私が取った行動は、隣に乗っていた若い人にスマホを見せて、目的地を読んでもらうことでした。
もちろん、言葉は通じませんので身振り手振りですが、ニコニコしながらお願いしたら、まったく問題なく協力してもらうことができました。
●自分で運転しないなら、バスでの移動が一番楽しい
海外にしろ、国内にしろ、移動は自分でクルマを運転するのが一番楽しいのですが、バスでの移動は車窓からの風景がよく見えて楽しいものです。
バンコクでは、バスの他にタクシーや高架電車、地下鉄、トゥクトゥク(3輪タクシー)、バイクタクシーなど、いろいろな移動手段がありますが、バスの移動は達成感が高いものです。
タクシーは流しのタクシーではなく、Grabタクシーというのを使い、アプリに目的地を入力すれば、ドライバーに目的地を告げる必要もなければ直接支払いをする必要もない(アプリ上でカード決済される)ので、楽は楽です。
でも、それだと旅を楽しんでいる気分は半減してしまうような気もします。マニュアル車のほうがAT車より楽しい…みたいな感覚かもしれません。
どうか機会があれば旅先でのバス移動を楽しんでみてください。
(文・写真:諸星 陽一)