四輪の感覚と真逆、「バイクのポジションは積極的に動くこと」に驚いた【バイクのコラム】

■久しぶりのライディングで違和感があったのは……

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いわゆるリーンウィズ的な乗り方であっても頭やお尻の位置を意識するだけで乗りやすさが変わるから不思議なものです(写真はホンダCB1000R)

いきなり個人的な話をすれば、日常的にバイクに乗っている生活にいったんピリオドを打ったのが24歳頃で、50歳を超えた2019年に大型自動二輪免許を取得したのを機にリターンライダーをしています。

昔取った杵柄といいますか、そもそも普通二輪免許は有していましたから、公道でバイクに乗る資格はあったのですが、久しぶりにバイクのライディングを楽しむようになって、あらためて四輪ドライビングとの違いとして感じたのは、ポジションについての考え方です。

四輪の場合はシートのホールド性が重視されますし、モータースポーツの世界では4点式以上のハーネス(シートベルト)で体を固定します。ドライビングにおいてはドライバーのポジションは動かないことが基本中の基本です。

ライダーとしてのブランク、ドライバー経験の長さゆえに、リターンライダーした直後はライディングにおいてもポジションはベストの位置に固定気味にすべきだという意識がどこかにありました。

かつて2サイクル250ccエンジンのレーサーレプリカに乗っていたときは無理やりに膝を擦ろうと大きなアクションを取っていたのに、リターンライダーした自分はシートの上で体を大きく動かすという意識がなくなっていたのです。心のどこかで「四輪と同様に、理想的な固定ポジションがあるはずだ」と思い込んでいたのかもしれません。

しかし、それでは上手くバイクを操ることができないのは自明です。

●コーナリングでのハングオンだけじゃない

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愛機であるCBR1000RR-R Fireblade SPに乗るとき、イメージはマルク・マルケスですが……そんな上手くいくわけがありません

バイクを操るときにポジションを大きく動かすというと、レースシーンで見かけるような体をイン側に大きく落とした姿勢を思い浮かべるかもしれません。

リターンライダー的にはケニー・ロバーツのハングオンを思い浮かべるのですが、最近では「肘すり」といってほとんどバイクにぶら下がっているようなポジションを取ることもスタンダードになっているようです。

それはさておき、公道ではハングオンのような大きな姿勢変化は必要ありません。

それでもコーナリングでは頭をイン側のミラー前くらいまで落とすようなイメージで姿勢を変えると、安定して曲がっていくことに気付きます。常に体を真っ直ぐにしているよりも、コーナーに合わせてアクションをしたほうが曲がりやすいですし、むしろ怖くなくなるというのが個人的な感想です。

●加減速でもポジション変化は重要

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スクーターに乗っているときも加速や減速に合わせて座る位置を変えると走りがよくなると感じます(写真はホンダの110ccスクーターNAVI)

ライディングポジションを変化させることでポジティブな効果が感じられるのはコーナリングに限った話でもありません。

直線を走っているシーンにおいても、加速と減速では異なる体重移動をすることで安定した走りにつなげることができるのです。

スクーターに乗っているときでも、加速時にはフロントに荷重をかけるイメージで前傾してやり、ブレーキングのときにはお尻でシートを後方に押し付けるようにすると姿勢が安定しているように感じられるはずです。

街乗りで限界性能を引き出す必要はありませんが、安定した姿勢は安全なライディングにつながります。

むしろ低速で走るスクーターのほうがポジションによる変化を試しやすい面もあります。そうして、日常の移動でアクションの方向性を探っていくのもリターンライダーのリハビリとしては役立つのではないでしょうか。

いずれにしても、バイクの種類やシチュエーションによって、理想のポジションは常に変わっていくという意識を持つことが重要だと感じています。ついつい、カタログに載っている写真のライディングポーズを理想としてイメージしがちですが、そうとは限らないというわけです。

自動車コラムニスト・山本 晋也

この記事の著者

山本晋也

山本晋也 近影
日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。