ホンダ「ZR-V」の乗降性、居住性、積載性を徹底チェック

■インテリアの見どころは、工夫が凝らされたフローティング式のハイデッキセンターコンソール

すでに先行受注が開始されているホンダの新型SUVの「ZR-V」が、2023年4月21日(木)に発売されます。CR-Vとヴェゼルの中間くらいのサイズ感で、国産SUVで大きさが近いのはマツダCX-5。全長4570×全幅1840×全高1620mm、ホイールベースは2655mmで、最低地上高は190mm。

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「X」はフェンダーアーチやボディ下部までボディ同色になる

エクステリアデザインは、別記事でご紹介しましたので、ここではインテリアについてピックアップします。

インパネは、シビックと同様に左右への広がりが感じられる横基調。Aピラーの位置と角度も工夫され、視界は良好。

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ZR-Vのインパネ

ホンダらしく、ワイドで水平基調なインパネ、ノイズレスなデザインにより、前方、左右の視界は良好です。

また、助手席側からセンターまで横に貫くエアコンアウトレット(メッシュ化)が配されるなど、シビックとの共通点を感じさせるディテールも目を惹きます。

ダッシュボードの造形は、シビックが助手席前まですっきりした横基調になっている一方、ZR-Vはメーターフードからの曲線が助手席前まで伸びていて、内装色が「マルーン」の場合だとその線を境に2トーンになっています。

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フローティング式のセンターコンソールを採用。USBジャックの位置を工夫して使い勝手に配慮

センターコンソールも印象的。いわゆるフローティング式のセンターコンソール(ハイデッキセンターコンソール)の上部に、シフト用スイッチ(ハイブリッド仕様のe:HEV)もしくはシフトレバー(純ガソリンエンジン車)、オートブレーキホールド機能付電子制御パーキングブレーキなどが配されています。

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ハイブリッド仕様のセンターコンソール

さらに、前方に横並びされた2つ分のドリンクホルダーが用意されていて、運転席側、助手席側からそれぞれ腕を伸ばしやすい位置に配置することで、パーソナル感も演出されています。

センターコンソール下側には、大きめのトレーが備わるほか、運転席側、助手席側を向いたUSBジャック(タイプAの急速充電対応式)/USBチャージャー(タイプCの急速充電対応式)の使い勝手も上々です。

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パドルシフトは、手の小さい人でも使いやすいように設計

フローティング式のセンターコンソールにあるUSB端子は、手探りでケーブルを差し込む際に見えにくく、脱着しにくい車種が多いですが、ZR-Vは位置と見やすさを工夫することで、使い勝手を高めています。

●セダンライクの着座姿勢

乗降性をチェック。着座感覚は、SUVであってもセダンっぽい印象で、乗降時によじ登るような感覚は皆無。それでいて、セダンのように低い位置に潜り込むような姿勢にもなっていません。

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ホンダZR-Vのフロントシート

サイドシルをまたぐ感覚は意識させられるものの、少し腰を上下動させるような感覚で乗り降りできます。着座位置へのこだわりは、クルマとの一体感が得られるためだそうで、ヒール段差を抑え、SUVに多いアップライトな運転姿勢にはなっていません。

前席は、ホールド性と乗降性のバランスを重視。シートハイトアジャスターは座面の前後別々に上下できます(「Z」系グレード)。

座面を最も低くすると、身長171cmの筆者の場合で頭上にこぶし2つ分くらいの余裕が残ります。もちろん、チルト&テレスコピックは全車に標準装備。「Z」系には、運転席8ウェイパワーシート+助手席4ウェイパワーシートが用意されています。

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ホンダZR-Vのリヤシート

後席もSUVとしては着座位置が低め。シートは座面の後傾角が少しついていて、背もたれも少し寝かされています。やや寝そべるような感覚です。後席足元は広大とはいえませんが、身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後方には、膝前にこぶしが縦に2つ弱入ります。

また、前席下への足入れ性は十分確保されています。頭上には、こぶしが縦に1つ半ほどのクリアランスが残ります。

●後席はダイブダウンでフラットに格納で、トノボードを床下に収納できる

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最大時のラゲッジスペース

ラゲッジスペースは、開口部がワイドで、開口部下側と床面との段差(掃き出し)も抑えられていて、出し入れもしやすい印象。

エクステリアデザインの記事でご紹介したように、テールゲートは中央部付近から前に大きく寝かされているため、荷室容量のみを追求したのではなく、デザインとのバランスも重視されています。

なお、通常時でも9.5インチのゴルフバッグが3セット収まるほか、長さ250×幅450×高さ670mmのスーツケースが3個収まります。

さらに、6対4分割可倒式の後席をダイブダウンすることで、ほぼフラットに拡大できるのが美点。シート部分との段差はほとんどなく、倒したシート部分もスロープのように高くなってしまうこともありません。長尺物や大きな荷物も出し入れしやすそう。

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トノボードを床下に収納できる

トノボードを荷室床下に収納できるのもうれしい点(タイプ別設定)。荷物が多い時や大きな物を積む際に、取り外したトノボードの置き場に困ることがありますが、スマートに収納できます。

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ハイブリッド仕様の床下スペース

なお、ハイブリッド仕様と純ガソリンエンジン車は、荷室アンダースペースのサイズが異なります。ハイブリッド仕様は、荷室床下の奥に駆動用バッテリーを積むため、純ガソリンエンジン車の方が広くなっています。また、フロアボードの形状(分割方法)も異なっています。アンダースペースも含めて積載量を最も重視するのなら、純ガソリンエンジン車が適任です。

●最新の「ホンダ・センシング」を標準装備

パワートレーンは、ハイブリッド仕様の「e:HEV」と、1.5L直噴VTECターボを設定。

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ハイブリッド仕様「e:HEV」の2.0Lエンジン

前者はシビックe:HEVで採用された新開発の2.0L直噴エンジンと2モーター内蔵電気式CVTの組み合わせになる「スポーツ e:HEV」で、SUVには初搭載になります。ハード、ソフトのアップデートにより、従来の「e:HEV」に対して燃費、排出ガスクリーン性能、静粛性を向上。3.0L V6エンジンに匹敵するモーターならではの力強い加速を実現しています。

純ガソリンエンジン仕様は、1.5L直噴VTECターボとステップ変速が付くCVTとの組み合わせで、2.4LのNAエンジンに匹敵する低速トルク、ホンダらしく高回転までスムーズに回るパンチ力が美点。

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1.5L直噴ターボエンジン

駆動方式は、e:HEV、1.5Lガソリンエンジン車ともに、リアルタイムAWDが全タイプに設定されます。前後駆動力配分の最適化によりタイヤがしっかり路面を捉えることで、雪上など滑りやすい路面でも安心して走行できることを目指したそう。また、積雪した坂道での発進時も、後輪駆動力を増大させたことで、安心感のある発進、加速を可能としています。

さらに、ドライブシーンによって選択が可能な走行モード「SPORT(ガソリンモデルの「X」をのぞく全タイプに設定 )」「NORMAL」「ECON」「SNOW」の4つのモードを用意。

日本向けのSUVで初採用となる「SNOW」モードは、アクセルペダルの踏み込みに対する駆動力を抑えることで、雪道などの滑りやすい路面でもスムーズな発進、加速をサポートするそう。なお、クローズドコースでの走りっぷりについては、こちらの記事をご参照ください。

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ガソリンエンジン車は、従来型のシフトレバーを採用

安全装備では、先進の安全運転支援システムである「Honda SENSING(ホンダ・センシング)」が標準化されます。フロントワイドビューカメラは、約100度の有効水平画角を持つ広角カメラと高速画像処理チップにより、衝突被害軽減ブレーキなどにおける対象物の検知精度を向上。さらに、前後バンパーに計4ヵ所設けられたソナーセンサーは、近距離における外壁やガラスなどを高い精度で検知し、踏み間違いなどによる誤発進の抑制や衝突回避に貢献するとしています。

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ホンダZR-Vのサイドビュー

また、リヤバンパーに内蔵されたレーダーで、車両の後側方25m以内に接近する車両を検知し、斜め後方の車両をドアミラーのインジケーターで知らせる「ブラインドスポットインフォメーション」も標準装備されます。

そのほか、滑りやすい下り坂で自動で速度を維持し、ハンドル操作に専念できる「ヒルディセントコントロール」「BOSE プレミアムサウンドシステム (Z系に標準装備)」を用意するなど、装備も充実しています。

●ZR-Vの個性を際立たせるホンダアクセスの純正アクセサリー

また、ホンダアクセスから純正アクセサリーパーツも設定されます。「人生謳歌」をコンセプトに掲げたZR-V用純正アクセサリーは、ZR-Vの個性と美しさを、より強調させるアイテムをラインナップ。

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ホンダアクセスの純正アクセサリー装着車

エクステリアアイテムでは「Premium Style(プレミアム・スタイル)」がコンセプトです。黒とガンメタリックを基調とした「LEDフォグライト&ガーニッシュ」と「フロントロアースカート」がフロントマスクを引き締めています。

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ホンダアクセスの純正アクセサリー装着車

また、フロントやサイド、リヤに「ロアガーニッシュ」を用意することで、スマートかつスタイリッシュなエクステリアに仕立てられています。

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ホンダアクセスの19インチアルミホイールの「MG-030(ベルリナブラック)」

さらに、足元には、ZR-V専用デザインで標準ホイールから1インチアップになる19インチアルミホイールの「MG-030(ベルリナブラック)」を設定。同ホイールにより、重厚感が増しています。

エクステリアアイテムは、ZR-Vの流麗さを活かしつつ、存在感をさり気なくアップさせる仕上がりという印象です。

インテリアには、イルミネーションアイテムを中心としたラインナップ。落ち着きのあるホワイトの点灯色が採用されています。「サイドステップガーニッシュ」は、ステップワゴンから用意されている中央から両端に向かって光が流れるシーケンシャル点灯タイプ。ZR-Vではさらに、 「リヤパネルライニングカバー」にもテールゲートオープン時にシーケンシャル点灯するLEDを用意。

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ホンダアクセスの純正アクセサリーの「ドアミラーカバー」

また、「パドルライト」は、ドアオープンやスマートキーでの開錠に連動してグラデーション点灯し、のびやかな光を放つ1本のラインが足元を照らします。

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ドリンクホルダーの奥にワイヤレスチャージングを装着できる

ZR-Vに設定されるボディカラーは、ホンダとして新色となる「プレミアムクリスタルガーネット・メタリック(6万500円高)」「ノルディックフォレスト・パール」の2色をはじめ、「プラチナホワイト・パール(3万8500円高)」「スーパープラチナグレー・メタリック(3万8500円高)」「クリスタルブラック・パール ・プレミアムクリスタルブルー・メタリック(6万500円高)」「ミッドナイトブルービーム・メタリック(3万8500円高)」の計6色です。

●車両価格
「e:HEV X」:329万8900円(FF)、351万8900円(4WD)
「e:HEV Z」:389万9500円(FF)、411万9500円(4WD)
「X」:294万9100円(FF)、316万9100円(4WD)
「Z」:354万8600円(FF)、376万8600円(4WD)

●主な純正アクセサリー価格
「フロントロアースカート(ダスクグレー・メタリック×ベルリナブラック 本体+ガーニッシュキット)」:5万9400円
「LEDフォグライト(クリア/色温度:5800K 本体+フォグライトガーニッシュ )」:6万500円
「LEDフォグライト(イエロー/色温度:2700K 本体+フォグライトガーニッシュ)」:6万2700円
「サイドロアーガーニッシュ(ダスクグレー・メタリック/左右セット)」:4万4000円
「テールゲートスポイラー(ベルリナブラック)」:4万1800円
「リヤロアーガーニッシュ(ダスクグレー・メタリック)」:4万9500円
「リヤライセンスガーニッシュ(ベルリナブラック)」:1万9800円
「ドアミラーカバー(クリスタルブラック・パール/左右セット)」:9900円
「ブラックエンブレム(Hマーク2個+車名エンブレム)」:1万1550円
「19インチ アルミホイール MG-030」:5万8300円/1本
「サイドステップガーニッシュ(フロント部 LED ホワイトイルミネーション )」:3万7400円
「リヤパネルライニングカバー(LED ホワイトイルミネーション)」:2万7500円
「パドルライト(LED ホワイト照明 )」:2万7500円
「ワイヤレス充電器(Qi規格/15W 急速充電対応)」:3万800円
「11.4インチ Honda CONNECT ナビ LXM-237VFLi」:31万200円
「9インチ Honda CONNECT ナビ LXM-237VFNi 」:25万5200 円

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)

この記事の著者

塚田勝弘

塚田勝弘 近影
1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。クルマ、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。