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■直通運転へ向けての重要な試運転
東急電鉄と相模鉄道は、2023年3月に開業する東急新横浜線、相鉄新横浜線・日吉〜羽沢横浜国大間を経由して相互直通運転を開始します。両線の線路はすでにつながっていて、東急目黒線3000系が10月30日に両線を自走して相鉄線内に入線。11月5日には相鉄の車両基地があるかしわ台に3000系が到着。相鉄線内での試運転を開始しました。
3000系が試運転を行う目的は、東急の車両が初めての乗り入れ先となる相鉄線の、地上設備に与える誘導障害などの影響の有無の確認と、その対策にあります。
現在の電車は、VVVFインバータ制御装置を始めとした電子機器を満載しています。新型車両には新しい技術を用いた電子機器を搭載することも多く、他社線からの新規に乗り入れる車両の場合も、従来と異なる仕様の電子機器を搭載していることが多いため、予期せぬ障害が発生する可能性があります。そこで、入念な試運転で初期トラブルを洗い出して対策する必要があるのです。
●相鉄車の試運転は第2段階に移行
初期トラブルの洗い出しと対策は、当然、相鉄車にも必要です。今回、相鉄からは20000系が東急東横線、21000系が東急目黒線に乗り入れます。東横線用と目黒線用で形式が違うのは、前者が10両編成、後者が8両編成という違いのほか、両線の設備・装備に違いがあるからです。
また、東急東横線は東京メトロ副都心線・東武東上線・西武池袋線に乗り入れ、東急目黒線は東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線・都営地下鉄三田線に乗り入れています。相鉄の車両がどこまで乗り入れるかはまだ発表されていませんが、乗り入れる可能性のある路線については、事前に初期トラブルの洗い出しをする必要があります。
相鉄は2021年9月下旬に、目黒線直通用の21000系を東急に貸し出しました。この時はまだ相鉄と東急の線路はつながっていなかったので、21000系は機関車に牽引され、JR経由で輸送されました。
東急に入線した21000系は、12月まで東急目黒線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線・都営地下鉄三田線の4社局で入念な試験走行を行った後、JR経由で返却されています。
東横線直通用の20000系は2022年1月にJR経由で輸送され、東急に貸し出されました。20000系は東横線と東京メトロ副都心線で試験を行ったほか、副都心線と一部の線路と車両を共用している有楽町線にも入線しています。
また、2022年3月31日には、東急の元住吉検車区で報道陣向けに「7社局撮影会」を実施。20000系も並べられました。
7月には21000系が再び東急に貸し出されました。
7月22日には、新横浜駅で東急新横浜線・相鉄新横浜線のレール締結式を挙行。これにより両線の線路がつながり、20000系は両線を経由して自力で相鉄に返却されました。
21000系は引き続き、東急目黒線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線・都営地下鉄三田線での試運転を実施しています。
●相鉄沿線から首都圏へのネットワークが充実
相模鉄道は、首都圏の大手私鉄で唯一、東京都に路線を持っていませんが、2019年11月30日に相鉄新横浜線・西谷〜羽沢横浜国大間が開業し、JR線との直通運転を開始。都心部の新宿方面に相鉄の車両が乗り入れるようになりました。
2023年3月の東急新横浜線・相鉄新横浜線・日吉〜羽沢横浜国大間の開業により、相鉄の車両は東急線経由で目黒・渋谷方面へ直通するほか、新幹線との乗換駅である新横浜駅にも直結するようになります。
東急にとっても新横浜駅に直結する意義は大きく、相鉄に乗り入れることで、神奈川県内のネットワークが拡充されることになります。直通運転開始までが待ち遠しいですね。
(ぬまっち)