国・北海道の支援を受けたH100形観光車両が登場。道東の釧路運輸車両所から第1弾が発車!

■北海道の自然イメージが盛られた観光対応車両に注目

●H100形の第1弾は道東向けの釧網線・花咲線ラッピング車両

JR北海道は10月30日(日)に、H100形観光対応車の第1弾として、釧網線・花咲線ラッピング車両をデビューさせました。

10月30日にデビューしたH100形ラッピング車両。1両目が花咲線ラッピングで2両目が釧網線ラッピング

H100形はJR北海道が、老朽化した国鉄形気動車を置き換えるために導入を進めている新型気動車です。2020年に函館本線長万部〜札幌間に投入されたのを皮切りに、2021年に室蘭本線長万部・室蘭〜苫小牧間と、宗谷本線旭川〜名寄間、石北本線旭川〜上川間に投入、2022年には根室本線新得〜釧路間に投入されました。

道内各地に導入が進んでいる新型気動車H100形

JR北海道はH100形のうち8両を国(鉄道・運輸機構)と北海道の支援により、観光列車に活用できる車両とする計画で、その第1弾として道東の釧路運輸車両所にH100-82と83の2両を配置しました。

H100-82は釧網線ラッピング車両、H100-83は花咲線ラッピング車両としました。ラッピングのデザインは車両毎に異なるほか、側面も山側と海側(釧路駅基準)で異なっています。

釧網線ラッピング車両は釧路湿原やタンチョウ、摩周湖および流氷を表現しています。

釧網線ラッピング車両の海側デザイン
釧網線ラッピング車両の山側デザイン

花咲線ラッピング車両はハマナスの花びらと雪の結晶を表現しています。このデザインは現在花咲線で運行しているキハ54形「地球探索鉄道」と同じデザインです。

花咲線ラッピング車両の海側デザイン
花咲線ラッピング車両の山側デザイン
大型テーブルを追加したボックス席


ラッピング車両の車内は、観光列車に使用することを考慮していて、ボックス席には北海道のタモ材を使用した脱着式の大型テーブルを追加しています。

北海道の自然や風景を取り入れた絵柄のシート生地

シート生地のデザインも一般車から変更していて、タンチョウやエゾマツなど、北海道の自然や風景をイメージした絵柄を取り入れています。

吊り手にも木材を採用しています

また、吊り手にも木材を採用して、北海道の自然をより感じられるように工夫されています。

釧網線・花咲線ラッピング車両は10月30日にサイクルトレインモニターツアー列車としてデビュー。釧路〜摩周間を1往復しました。今後は一般のH100形と同様に、根室本線新得〜釧路間で定期運用に就く予定です。

●支援を受けるのは特急車両5両とH100形8両

国(鉄道・運輸機構)と北海道が支援する観光車両は、H100形8両のほかに、特急車両のキハ261系5000番代「ラベンダー編成」5両を加えた13両となっています。いずれも北海道高速鉄道開発(道高速)が車両を取得して、JR北海道に無償貸与するスキームとなっています。

2021年から各地を走っているキハ261系「ラベンダー編成」
「ラベンダー編成」の1号車はフリースペースの「ラベンダーラウンジ」となっています

2021年度は特急車両キハ261系「ラベンダー編成」5両を導入しました。

2022〜2023年度はH100形を導入。2022年度は、今回デビューした釧網線・花咲線ラッピング車両2両のほか、石北線・富良野線ラッピング車両2両の合計4両を導入する予定。2023年度は、室蘭線・日高線・宗谷線・根室線ラッピング車両合計4両を導入する予定です。

支援を受けた観光車両13両をJR北海道がいかに活用して、沿線の活性化を図ることができるのか。今後が注目されます。

(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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