■航続距離は中国独自の走行モードで600km(CLTCモード)
2022年10月24日(月)、トヨタはバッテリーEV(BEV)の「TOYOTA bZ3」を発表しました。
第1弾のbZ4Xに続くTOYOTA bZ3は、トヨタと中国のBYDが合弁で設立した「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY カンパニー(BTET)」と一汽トヨタ自動車(一汽トヨタ)により共同開発されたセダンタイプのBEV。一汽トヨタが生産・販売する予定になっています。
開発に際して、トヨタのデザイン、生産、技術、品質管理などの分野から100名以上のエンジニアが参画し、BYDや一汽トヨタのエンジニアと一体になった体制の下で生まれた新たなBEVになります。
開発コンセプトは、「Family Lounge」。
「人はすべての原点」という考えのもとで、快適な室内空間を追求するとともに、情報化と知能化を推進し、快適なキャビンを実現したとしています。
TOYOTA bZ3に搭載されている電動システムは、BYDのリチウムイオンLFP電池(リン酸鉄リチウムを採用)をベースに、トヨタが長年、ハイブリッド車の開発を通じて蓄積してきた電動化技術と経験を融合。電池構造、冷却システム、制御システムと安全監視システムを新たに設計。高品質、高効率、先進的でかつ安心、安全なシステムとしています。
最長航続距離は、600kmを超えるそう(中国独自のCLTCモードに基づく測定、一回充電した航続距離。グレードにより、航続距離は異なります)。
電池の耐久性については、トヨタの電動化技術により「10年後でも90%の電池容量を維持すること」を開発目標に掲げ(電池セル単体を用いて、当社設定の平均的な使用方法を想定した試算値)、電池劣化抑制も重視されています。
プラットフォームは「e-TNGA」で、低重心と優れたハンドリングを備え、気持ちのいい走りが得られるそう。また、筋肉への負担が少ない運転姿勢を取ることが可能で、ロングドライブの疲労軽減に貢献するとしています。
「走る」「止まる」「曲がる」という走りの基本には、トヨタの80年以上のクルマづくりの経験、モータースポーツで培ってきたノウハウを活用。アクセルやブレーキ、操舵の特性が最適にチューニングされ、同乗者も含めて心地良い乗り心地を提供するそう。
エクステリアには、フロントにTOYOTA bZシリーズの特徴的なハンマーヘッド形状が採用され、BEV専用パッケージによるロングホイールベースとファストバックのロングキャビンが組み合わされた、伸びやかなサイドシルエットが目を惹きます。
ソリッドな力強さ、抑揚豊かな断面の変化が一体になった全体のフォルムにより、スピード感と流麗なエレガントさが具現化されています。
そして、バンパーのコーナー部分には、風の流れを考えたエアガイドとエアカーテンを強調し、フラットなドアハンドルが用意されたほか、アルミホイール、リヤバンパー周りは空気抵抗を減らす形状とすることで、Cd値0.218という秀逸な空力性能を実現。
一方のインテリアは、テスラが先行したような縦型の大型センターディスプレイが特徴となっています。
ディスプレイを取り囲むようにトレイ型のコンソールが一体化され、「デジタルアイランド」と命名されています。ワイヤレス充電のほか、スマホとマルチメディアとの連携機能も盛り込まれ、新しいデジタル体験を提供。
さらに、エアコンや音楽、トランク操作などが大型ディスプレイに集約され、音声認識機能も用意されていて、利便性と先進性も大きく高められています。
TOYOTA bZ3は、国策もあってBEV化が進む中国市場において、存在感を発揮できるか注目です。
●ボディサイズ:全長4725×全幅1835×全高1475mm
(塚田 勝弘)