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■英雄ロッシも手掛けるチームから参戦
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、市販車ベースの世界最高峰2輪レース「WSBK(スーパーバイク世界選手権)」に参戦中の野左根航汰選手が、2023年は「Moto2世界選手権」にフル参戦することを発表しました。
Moto2といえば、世界で最も権威がある「MotoGP」の登竜門として知られるレース。世界中の若手ライダーやトップライダーが凌ぎを削るホットなクラスです。
しかも、野左根選手が加入するのは、2021年に惜しまれながら引退した英雄バレンティーノ・ロッシ選手も関わる「ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム(Yamaha VR46 Master Camp Team)」。
9回のワールドチャンピオンに輝いた伝説のライダーも手掛けるチームで、野左根選手がどんな活躍をみせるのか期待したいところです。
●絶対王者を破り2021年から世界へ
野左根航汰選手は千葉県出身のレーシングライダーで、1995年生まれの26歳。2010年に全日本ロードレース選手権への参戦を開始し、2020年には国内最高峰クラス「JSB1000」で初のチャンピオンも獲得しています。
国内トップクラスのJSB1000で、2022年までに11回のチャンピオンに輝いている絶対王者の中須賀克行選手を2020年に破った野左根選手は、2021年からは新たなチャレンジとして欧州に拠点を移し、2輪市販車レースの世界最高峰であるWSBKに参戦。
WSBKの1年目はランキング14位、2022年シーズンは8戦を終えてランキング19位につけています。
●MotoGPライダー育成を目指す
そんな野左根選手が、2023年にチャレンジするのがMoto2クラス。市販車ベースのマシンで競うWSBKと違い、レース専用車で競う、まさに世界最高峰といえるレースMotoGPの登竜門と呼ばれているクラスです。
しかも、加入するのは、前述の通り、ヤマハVR46マスターキャンプ・チーム。このチームは、ヤマハが、バレンティーノ・ロッシ選手主宰の「VR46ライダーアカデミー(VR46 Riders Academy)」と一緒に行っている若手ライダー育成プログラム「ヤマハVR46マスターキャンプ」が基になっているチームです。
同チームは、VR46ジュニアチーム.S.R.L.の協力を得て2017年に設立。2018年まではFIM CEV Moto3(ジュニアワールドチャンピオンシップ)、2019〜2021年は、FIM CEV Moto2(ヨーロピアンチャンピオンシップ)に参戦。
2022年からは、世界各地で行われているヤマハライダーの育成プログラム「bLU cRU」と連動し、ライダーたちが世界選手権レベルでスキルを磨き、MotoGPを目指すプロジェクトとして取り組んでいます。
つまり、野左根選手は、あの伝説の英雄ロッシ選手も関わってるチームで闘うということです。ロッシ選手は、すでにMotoGPやMoto2で自身のチーム「ムーニーVR46レーシング」を持っていますから、どれほど同チームに関わるのかは不明です。ですが、若手育成に積極的なロッシ選手のことですから、いろいろと貴重なアドバイスなどはもらえそうですよね。
また、野左根選手が今回Moto2に参戦することに関し、ヤマハでは、「全日本選手権、WSBKとサポートを続けてきた野左根選手を、世界進出を目指す若手ライダーのロールモデルとして、来年以降も継続してサポート」すると言及しています。
ということは、もし2023年シーズンのMoto2で大活躍すれば、将来的にヤマハワークスでMotoGP参戦もある?
ともあれ、世界を舞台に活躍する日本人ライダーの躍進に期待大です。
(文:平塚 直樹)