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■愛らしいワーゲンバスが電気自動車になって復活
フォルクスワーゲンが2022年5月から本国ドイツで先行販売を開始した「ID.Buzz(アイディー バズ)」は、100%電気で走る新時代のミニバン。
ころんとしたモノフォルムの愛らしいスタイルは、かつてのワーゲンバスの再来といわれ、すでに大きな注目を集めています。
オフィスやリビング、ベッドルームにも変身するID.Buzzは、数年前から日本でブームになっているバンライフを変える1台になりそうです。
●航続距離421kmの5人乗りミニバンEV
ID.Buzzは、両側スライドドアを備える5人乗りミニバン。ボディ寸法は全長4712×全幅1985×全高1937mm、ホイールベースが2988mm。
国産ミニバンでいうと、トヨタ・ヴォクシーとアルファードの間くらいのサイズ感といえそうです。
容量77kWhのバッテリーをフロアに敷き詰めたID.Buzzの航続距離は約421km。最高出力150kW/最大トルク310Nmのモーターで後輪を駆動します。リヤエンジン・リヤ駆動というのも、オリジナルのワーゲンバスとの共通点ですね。
●ポップでエコフレンドリーなキャビン
もうひとつ、ワーゲンバスから受け継いでいるのがルーミーでポップなインテリア。2トーン配色を活かした明るいキャビンはいかにも開放的で、ダッシュボードやドア、センターコンソールなどあちこちに大量の収納スペースを用意しています。
使う素材にもこだわり、動物由来のレザーは一切不使用。ペットボトルや海洋プラスチックの再生材など、エコフレンドリーな先進素材をたくさん活用し、時代にフィットしたクルマづくりを追求しています。
●USBポートを8基搭載
室内の使い勝手も抜群。フロントシートは前後に24.5cm・高さ6.15cmの調整代を確保し、リヤシートも前後に150mmの移動が可能です。5人乗車時で1121リットルの容量を確保する荷室は、シートアレンジ次第で最大2205リットルまで拡張可能。ワーゲンファミリーの兄貴分、7人乗りミニバンのシャランと同程度の搭載力を確保しています(参考までに列挙すると、アルファードの荷室容量は最大2207リットル、ヴォクシーが最大1959リットル)。また、529kgの積載能力も自慢です。
アイドリングを気にせず停車時に電気を使用できるので、リモートワークやキャンプでも活躍できます。
車内に備えるUSB-Cポートの数はなんと8つ。コクピットや前後ドア、そして荷室にもポートが最初から準備されているので、家族全員のタブレットやスマートフォンを充電したり、荷室に寝転がってノートPCで作業したり、車中泊でUSB電気ブラケットを使用したりと、様々な使い方に対応します。
●フロントシートのみの商用バン仕様も
ID.Buzzは「はたらくクルマ」としての利用も見込んでいるため、「ID.Buzzカーゴ」と呼ぶ商用仕様もラインナップしています。
リヤシートを取り払い、固定式パーティション後方に容量3900リットルという広大な荷室を備えたモダンな商用バンは、日本での需要もおおいに期待できそう。ダブルベンチ式3座が標準ですが、独立2座も選択可能。また、リヤハッチをハッチゲート式から観音開き式ドアに変更することもできます。
ビジネスユースを想定し、フォルクスワーゲンの商用車部門が肝煎りで開発した純正アクセサリーも用意されています。「ID.Buzzボックス」は、運転席と助手席の間に固定できる脱着式のツールボックス。ノートパソコンや水筒、工具など様々な仕事用具を飲み込んでくれる大容量の引き出し付きボックスで、いざというときに役立つアイススクレーパーと栓抜きも標準装備しています。
●価格は日本円で約775万円から
ミニバン復権ののろしをあげ、かつ、EVの市民権を拡大するポテンシャルを秘めたまったく新しいミニバン、ID.Buzz。日本導入時期について現時点(2022年10月)では不明ですが、ドイツではこの秋からデリバリーをスタートする模様。
ちなみに本国車両価格は、商用バン仕様のカーゴが5万4430.60ユーロ(約775万円)から、乗用仕様が6万4581.30ユーロ(約919万円)から、となっています。
(三代 やよい)
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