松永 和浩 
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■上位陣の244号車がクラッシュでSC導入、潮目を分けたピット戦略
8月27日（土）、28日（日）に三重県の鈴鹿サーキットで開催の2022 AUTOBACS SUPER GT第5戦 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE。8月28日（日）に決勝レースが行われました。
スタート時には気温30度、路面温度40度と蒸し暑くなった鈴鹿サーキット。14時30分に三重県警察の白バイ7台、パトロールカー3台の先導による交通安全啓蒙のパレードラップが行われ、フォーメーションラップを経て決勝レースがスタートします。
ポールポジションの10号車 TANAX GAINER GT-Rがホールショットからレース序盤をリード。これに244号車 HACHI-ICHI GR Supra GTと88号車 weibo Primez ランボルギーニ GT3が続いきます。
スタートからペースが速いHACHI-ICHI GR Supra GTが徐々にトップを脅かしていき、10周目には10号車 TANAX GAINER GT-Rを抜いてトップに浮上。その後方では、ランキング1位でサクセスウェイト100kgの56号車 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rと、4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、55号車 ARTA NSX GT3が僅差で4番手を争います。
また、2回の給油を伴うピットインが義務化されている今回の鈴鹿では、52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GTや、2号車 muta Racing GR86 GTなど数台が1、2周目で燃料補給だけのピットイン戦略を行い、1回目のピットインを早々と消化。450kmという長丁場のために、各チームの戦略が注目されます。
グッドスマイル 初音ミク AMGとARTA NSX GT3は17周目、88号車も18周目で早めにピットインし、77周を約1/3で分ける23周目にピットに入ったのは、トップ争いのHACHI-ICHI GR Supra GTと10号車 TANAX GAINER GT-R、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rとなります。
各車が1回目のピット作業を終えると、トップはグッドスマイル 初音ミク AMG。僅差でARTA NSX GT3、muta Racing GR86 GTが続きます。
グッドスマイル 初音ミク AMGは、ピットインのタイミングを絶妙に仕掛けトップに躍り出てきました。その上、スタートドライバーの片岡達也選手がダブルスティントとなることで、ピット時間も短縮。そしてライバルチームよりも早めの42周目で2回目のピット作業を行って、谷口信輝選手が残りのスティントをこなしていくという作戦。
そんな中、GT300の44周目、GT500での49周にHACHI-ICHI GR Supra GTがアウトラップの130Rでコースアウト、クラッシュしたことで、コースにはセーフティカー（SC）が導入されます。
これで各車のマージンがリセットされ、この時点で2回目のピットインを延ばしてトップグループを走っていた11号車 GAINER TANAX GT-Rなどが勝負権を失ってしまいます。
●グッドスマイル 初音ミク AMG、5年ぶりの優勝
SC解除の後、全車が2回目のピットインを終えると、トップに立ったのはグッドスマイル 初音ミク AMG。僅差で10号車 TANAX GAINER GT-R、ARTA NSX GT3が続きますが、その差はじわじわと開いていきます。
そんな中、4番手のweibo Primez ランボルギーニ GT3がタイヤトラブルで離脱、3番手の55号車もスローダウンで自らコース外に出てマシンを止めてしまいます。
灼熱の長丁場のためか終盤にトラブルが続出する中、グッドスマイル 初音ミク AMGは危なげなく10号車 TANAX GAINER GT-Rとの差を最終的には3秒以上広げてチェッカーをくぐります。
暫定で1位となった4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝／片岡龍也）は、再車検でも合格し2017年第1戦岡山以来となる優勝を飾りました。また、2008年の初参戦以来、初めての鈴鹿優勝となります。
2位は10号車 TANAX GAINER GT-R（富田竜一郎／大草りき／塩津佑介）、3位は予選21位から追い上げをみせた30号車 apr GR86 GT（織戸 学／平良 響／上村優太）。今季デビューのTOYOTA GR86 GTにとって初の表彰台となります。
次戦は第6戦は9月17日（土）、18日（日）にスポーツランドSUGOで開催される300kmレース。魔物が棲むといわれるSUGOでは毎戦激しいドラマが展開します。今年はどんなドラマが待っているのでしょうか？
【SUPER GT2022 第5戦 鈴鹿 GT300 決勝結果】
順位 ゼッケン 周回数 車名 ドライバー
優勝 4 72周 グッドスマイル 初音ミク AMG 谷口信輝 片岡龍也
2位 10 72周 TANAX GAINER GT-R 富田竜一郎 大草りき 塩津佑介
3位 30 72周 apr GR86 GT 永井宏明 織戸 学 上村優太
4位 52 72周 埼玉トヨペットGB GR Supra GT 吉田広樹 川合孝汰
5位 6 72周 Team LeMans Audi R8 LMS 片山義章 R.メルヒ・ムンタン
6位 65 72周 LEON PYRAMID AMG 蒲生尚弥 篠原拓朗
7位 20 72周 シェイドレーシング GR86 GT 平中克幸 清水英志郎 山田真之亮
8位 2 72周 muta Racing GR86 GT 加藤寛規 堤 優威
9位 87 71周 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 松浦孝亮 坂口夏月
10位 60 71周 Syntium LMcorsa GR Supra GT 吉本大樹 河野駿佑
11位 9 71周 PACIFIC hololive NAC Ferrari ケイ・コッツォリーノ 横溝直輝
12位 7 71周 Studie BMW M4 荒 聖治 アウグスト・ファルフス 近藤 翼
13位 56 71周 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R 藤波清斗 J.P.デ・オリベイラ
14位 18 71周 UPGARAGE NSX GT3 小林崇志 太田格之進
15位 25 71周 HOPPY Schatz GR Supra 松井孝允 野中誠太
16位 11 71周 GAINER TANAX GT-R 安田裕信 石川京侍
17位 88 71周 Weibo Primez ランボルギーニ GT3 小暮卓史 元嶋佑弥
18位 61 71周 SUBARU BRZ R＆D SPORT 井口卓人 山内英輝
19位 5 70周 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 冨林勇佑 平木玲次
20位 360 70周 RUNUP RIVAUX GT-R 青木孝行 田中 篤 柴田優作
21位 22 69周 アールキューズ AMG GT3 和田 久 城内政樹
22位 48 69周 植毛ケーズフロンティア GT-R 井田太陽 田中優暉 甲野将哉
23位 50 68周 Arnage MC86 加納政樹 阪口良平 末廣武士
24位 55 63周 ARTA NSX GT3 武藤英紀 木村偉織
25位 96 59周 K-tunes RC F GT3 新田守男 高木真一
26位 31 53周 apr GR SPORT PRIUS GT 嵯峨宏紀 中山友貴
リタイア 244 43周 HACHI-ICHI GR Supra GT 佐藤公哉 三宅淳詞
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（写真：吉見 幸夫／文：松永 和浩）
