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■現在はシエンタとフリード2強が市場を独占
現在、新車で手に入れることができるコンパクトミニバンは、2022年8月23日(火)にフルモデルチェンジを行ったばかりのトヨタ・シエンタとホンダ・フリードが独占している市場です。
シエンタ、フリードともに全長4,300mm以下、全幅1,695mmという取り扱いしやすい5ナンバーサイズのボディに3列シートをレイアウトした優れたパッケージングが魅力となっています。
ここでは、全長4.3m以下で乗車定員が6人以上乗れるコンパクトミニバンを5台。そして6人以上の多人数乗車が可能なちょっと変わったコンセプトのコンパクトカーを紹介します。
●スバル・ドミンゴ
全長3,525mm×全幅1,415mm×全高1,925mm
1983年に登場したスバル初代ドミンゴは、軽1BOXのサンバートライをベースに、最高出力48psを発生する1L直列3気筒エンジンをリアに搭載し、RRの駆動方式を採用した7人乗りのミニバンでした。
1994年に11年振りにフルモデルチェンジを行ったドミンゴは、RRの駆動方式を採用したサンバーディアスをベースとした7人乗りのコンパクトミニバンです。
搭載されている1.2L直列3気筒エンジンは最高出力61psを発生。組み合わされるトランスミッションは5速MTとCVTの2種類。駆動方式は後輪駆動とフルタイム4WDを用意していました。
サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラット式、リアはセミトレーリングアーム式を採用。前後とも独立懸架というリッチな仕様となっています。
サンサンルーフと呼ばれるルーフサイドまで大きく回り込むワイドなガラスサンルーフを採用。またモデル末期にはアラジンというキャンパー仕様を用意するなど、快適性やアウトドアライフを追求したモデルでした。
●スズキ・エブリイ ランディ
全長3,710mm×全幅1,505mm×全高1,900mm
軽キャブオーバーワゴンのスズキ・エブリイをベースに、ボディを小型乗用車にサイズアップすると同時に、7人乗りの3列シート仕様としたコンパクトミニバンがスズキ・エブリイランディです。
エブリイランディは2001年5月に登場しますが、これは1999年に登場したエブリイ+(プラス)というモデルがマイナーチェンジを機に車名変更を行ったものです。
エブリイプラスはクラス初のインパネシフトを採用し、ランディに車名変更したマイナーチェンジの際には、メッキパーツを内外装に使用し高級感を演出しています。
搭載しているエンジンは、最高出力86psを発生する1.3L直列4気筒SOHCの1種類。組み合わされるトランスミッションは4速ATのみです。駆動方式はFRとフルタイム4WDとなります。
シートレイアウトはフロントシート2名、セパレートタイプのセカンドシート2名。そしてサードシートが3名の7人乗りとなります。上級グレードのXCには優れた乗降性を実現する電動オートステップ機構を採用しています。
●ダイハツ・アトレー7/トヨタ・スパーキー
全長3,765mm×全幅1,515mm×全高1,810mm
2000年に登場したダイハツ・アトレー7は、軽キャブオーバーワゴンのアトレーワゴンをベースに、全長を370mm延長し、7人乗りの3列シートをレイアウトしたコンパクトミニバンです。トヨタにOEM供給されスパーキーとして販売されました。両側スライドシートを採用し、フロント2名、セカンド3名、サード2名の合計7人乗車が可能となっています。
搭載しているエンジンは1.3L直列4気筒DOHCで、デビュー時は最高出力90psでしたが、2002年のマイナーチェンジで92psへとアップしています。組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速AT、駆動方式はFRとフルタイム4WDを用意しています。
セカンドシートは480mmのロングスライド機能を採用。また、セカンドとサードシートには、床下にシートを格納できるハイダウェイとよばれる機構を採用するなど、車中泊がしやすいように工夫が施されているのが特徴です。
●日産・キューブ キュービック
全長3,900mm×全幅1,670mm×全高1,645mm
2003年9月に登場した日産・キューブキュービックは、コンパクトカーの2代目キューブをベースに、7人乗りの3列シートをレイアウトしたコンパクトミニバンです。
全長4mに満たないコンパクトなボディに「キュービックパッケージ」と呼ばれる広い室内を確保し、サードシートまで快適な空間を実現しています。
6:4分割可倒式のセカンドシートは、左右独立スライド/リクライニング/ウォークイン機構によって、チャイルドシートを1脚装着したままでも、サードシートへのアクセスが可能となっています。
搭載されているエンジンは当初、最高出力98psを発生する1.4L直列4気筒のみでしたが、2005年のマイナーチェンジの際に、最高出力109psを発生する1.5L直列4気筒エンジンが追加されました。
組み合わされるトランスミッションは、1.4L、1.5L両エンジンともに4速ATとCVT。駆動方式は1.5Lエンジン搭載車に4WDが設定されています。
イギリスの雑貨ショップ、コンランとコラボした特別仕様車のプラスコンランは、現在でも中古車は高値が続いています。
●ダイハツ・ブーンルミナス/トヨタ・パッソセッテ
全長4,180mm×全幅1,695mm×全高1,620mm
ダイハツ・ブーンルミナスは、2008年12月に兄弟車のトヨタ・パッソセッテと同時には発表されたコンパクトサイズのミニバンです。
全長4.2m未満のコンパクトなボディに5人がゆったり、7人がしっかり乗れる広い室内空間と、女性にうれしい快適・運転サポート装備を凝縮されているのが特徴です。
1,630mmのゆとりの前後乗員間距離(フロントシート~サードシート間)に加え、150mmの分割シートスライドが可能なセカンドシートの採用や、サードシート足元の床面を低く設定するなど、様々な工夫が施されています。
フロントベンチシートなどの快適な室内空間を演出するアイテムとともに、家族でのお出かけを楽しく演出する快適装備や、気軽に運転を楽しめる運転サポート装備により、女性にうれしい充実のユーティリティを実現 。
また、ユーティリティの高さも備えていて、単操作でサードシートやセカンドシートを倒せば、広大でフラットなラゲージスペースを創出できるなど、乗車人数や荷物の大きさに応じた多彩なシートアレンジが可能です。
搭載しているエンジンは最高出力109psを発生する1.5L直列4気筒の1種類で、トランスミッションは4速ATが組み合わされます。駆動方式は2WD(FF)と4WDを用意しています。
現在では、シエンタとフリードしか残っていませんが、かつては3列シートをもつコンパクトなクルマはたくさん存在していました。ここから紹介するのは、3人乗りのシートを前後に採用し、6人乗りを可能としたコンパクトカー2モデルを紹介します。
●日産・ティーノ
全長4,270mm×全幅1,760mm×全高1,610mm
1998年に日産・ティーノは販売開始します。トランスミッションはコラム式を採用し、さらにフロントシートをベンチシートとすることで、フロント2人+1人、後席3人という6人乗りを可能としたコンパクトカーです。
ティーノに搭載しているパワートレインは、2L直列4気筒エンジン+CVTですが、2000年のマイナーチェンジの時に100台限定でハイブリッド車も設定されるなど意欲作でした。
また、マイナーチェンジで5人乗り仕様が追加され、6人乗車仕様には組込み型チャイルドシートを後席中央席に設定しました。
●ホンダ・エディックス
全長4,285mm×全幅1,795mm×全高1,610mm
2004年に登場したエディックスは、扱いやすいショート&ワイドなボディの中に、3席×2列の6座独立シート「3×2(スリーバイツー)」の革新パッケージを採用した新感覚のミニバンです。
エディックスが採用した3×2のパッケージのメリットは、短い全長ながら6名乗車時にも大容量のラゲッジスペースを確保できることが挙げられます。また3席×2列の6座を独立させ、前後センターシートをロングスライドさせるV字シートレイアウトにより、全幅を抑えつつ快適な横3人掛けが可能となっています。
搭載しているエンジンは、デビュー当初は1.7L直列4気筒と2L直列4気筒の2種類でしたが、2006年のマイナーチェンジで1.7Lエンジンが廃止され、2.4L直列4気筒エンジンが追加されています。
軽セミキャブワゴンベース、コンパクトカーベースなど、様々なコンセプトのコンパクトミニバンがラインアップされていました。しかし、現在販売されていないところをみると、ボディサイズが小さいからといって必ずニーズがあるわけではないようです。
(文:萩原 文博/写真:トヨタ、日産、ホンダ、スバル、スズキ、ダイハツ)