ヤマハ発動機の車両開発、開発ライダーが語る「サーキットからテストコース」にステージを移してのチャレンジ

■全日本ロードレース選手権で活躍する実力派のレーシングライダーが、車両開発、開発ライダーへ

ヤマハ発動機の広報グループが発信する今回の「ニュースレター」は、駆け出しの開発ライダーのお話です。

ヤマハ発動機
PF車両開発統括部車両実験部の中山愛理さん

ヤマハ発動機のPF車両開発統括部車両実験部の中山愛理さんは、入社3年目。入社の直前まで全日本ロードレース選手権で活躍する実力派のレーシングライダーで、女性ライダーとして史上初となるポールポジションの獲得、初の表彰台など、数々の記録が当時、大きな話題を呼んだことを覚えているファンの方も多いのではないでしょうか。

ヤマハ発動機内でも「あの中山選手が、なぜここに?」と社員たちがザワついたそうです。

中山さんは、「インターンでこの会社に来た時に、運良くテストコースで行われた走行実験に同行させていただきました。そこで、フィーリングやオートバイの挙動を見事に言語化する開発ライダーのスキルを目の当たりにして、私もヤマハ発動機で力を試してみたいと思いました。入社をきっかけに、レースの世界に別れを告げました。後悔はまったくありません。競争の世界はやりきった、という思いです」と語っています。

開発ライダーを務める中山さんは、「わかる人には、わかる。それは本当に素晴らしいことだと思います。でも、私はその価値の上に、わからない人にも感じられる違い、またがった瞬間に感じる期待を付け加えていきたいです。それを目指して頑張っていきます」と目標を明かしています。

ヤマハ発動機 
全日本ロードレース選手権J-GP3で、女性ライダー初の2位表彰台に(2019年)

入社後は希望する実験部門に配属され、工学部出身の彼女がまず担当したのは、評価解析のシステム開発だったそう。

「私の目標は、車両の物理的な運動と乗車感の評価を結びつけられるような人材になること。システム開発では、そのための知識を身につけられた」と話し、これから向き合う乗車業務では、「レーススキルだけでなく、市販車の評価能力を身に着けて今後の開発業務に反映させていきたい」と希望を膨らませています。

小学校入学前からポケバイレースで注目を浴び、小学生、中学生、高校生、そして大学生と、その生活の大半をレース活動に費やしてきた中山さん。

「一番大変だったのは中学時代。生徒会や部活動と並行して、毎日のようにコースに通ってクタクタでした。部活のバスケも練習のみ。試合のある週末、私だけはサーキットでした。生徒会長でもありましたので、学校生活はいっぱいいっぱいでした」

大学時代には、自らチームを発足してスポンサー獲得などに走り回った経験も持ち、社会人としての基礎を身につけたそうです。

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鈴鹿4時間耐久レースには、弟の耀介選手とペアを組んで出場した

中山さんは、さらに「弊社の走行実験には、先人たちの積み重ねによる伝統的な厳しさがあります。それをリスペクトしながら、でも私は私ならではの強みもどんどん発揮していきたいです」と、開発ライダーとしての決意を語っています。

中山さんは、レースでは身体が小さくて苦労してきたそうで、身体が小さいからこそ活かせるとも語っていたそうです。車両開発、乗り方開発を同時にこなす、新しいスタイルの開発ライダーが誕生するかもしれません。

塚田 勝弘

この記事の著者

塚田勝弘

塚田勝弘 近影
1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。クルマ、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。