ひとつのトンネルに名前がふたつで入口が3つ? 千葉の手掘りトンネル・その2【共栄・向山トンネル】

■手掘りトンネルの中でも変態度ではトップクラス

千葉県の数ある手掘りトンネルの中で、ひときわ異彩を放つトンネルが養老渓谷にあります。

向山トンネルの東側入口

それが共栄・向山(むこうやま)トンネルです。

アプローチは養老渓谷を通る県道81号線からが便利。レストラン「ラ・フランス」のある丁字路を曲がると向山トンネルの東側入口に到着します。

Google Mapより

向山トンネルの入口付近はコンクリートで補修されていて手掘り感はありませんが、中に入るとすぐ手掘りの壁面になります。

そして、このトンネルのハイライトは入口から91mの所。なんと、トンネルの上に、さらにトンネルの出口が見えてきます。実はこの向山トンネルは世にも珍しい2階建てトンネルなのです。ただし2階部分にこちらから登ることはできません。

インパクト抜群の2階建ての部分

1階のトンネルには手掘り感は全くありません。そのまま進んでいくと西側の入口となりますが、よく見ると共栄トンネルと書いてあります。

つまり、東側入口と西側入口でトンネルの名前が違うのです。

共栄トンネル西側の入口

向山トンネル東側入口の脇に、共栄・向山トンネルの説明板があります。

向山トンネルの入口脇にある説明板

それによると、元々は向山トンネルだけが手掘りで掘られていて、現在の2階部分に繋がっていたのだそうです。ただし、昭和40年代に向山トンネルの途中から下に向けて共栄トンネルを34m掘ってルートを変更。その結果、向山トンネルと共栄トンネルでひとつのトンネルとなりました。

また、向山トンネルの西側出口を塞がなかったので、現在のような2階建て構造となったそうです。

入口が3つあるトンネルはほかにも例がありますが、全く使えない入口があるのは共栄・向山トンネルぐらいではないでしょうか?

ぬまっち

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
続きを見る
閉じる