■手掘りトンネルの中でも変態度ではトップクラス
千葉県の数ある手掘りトンネルの中で、ひときわ異彩を放つトンネルが養老渓谷にあります。
それが共栄・向山(むこうやま)トンネルです。
アプローチは養老渓谷を通る県道81号線からが便利。レストラン「ラ・フランス」のある丁字路を曲がると向山トンネルの東側入口に到着します。
向山トンネルの入口付近はコンクリートで補修されていて手掘り感はありませんが、中に入るとすぐ手掘りの壁面になります。
そして、このトンネルのハイライトは入口から91mの所。なんと、トンネルの上に、さらにトンネルの出口が見えてきます。実はこの向山トンネルは世にも珍しい2階建てトンネルなのです。ただし2階部分にこちらから登ることはできません。
1階のトンネルには手掘り感は全くありません。そのまま進んでいくと西側の入口となりますが、よく見ると共栄トンネルと書いてあります。
つまり、東側入口と西側入口でトンネルの名前が違うのです。
向山トンネル東側入口の脇に、共栄・向山トンネルの説明板があります。
それによると、元々は向山トンネルだけが手掘りで掘られていて、現在の2階部分に繋がっていたのだそうです。ただし、昭和40年代に向山トンネルの途中から下に向けて共栄トンネルを34m掘ってルートを変更。その結果、向山トンネルと共栄トンネルでひとつのトンネルとなりました。
また、向山トンネルの西側出口を塞がなかったので、現在のような2階建て構造となったそうです。
入口が3つあるトンネルはほかにも例がありますが、全く使えない入口があるのは共栄・向山トンネルぐらいではないでしょうか?
(ぬまっち)