BYDが日本でEV乗用車を発売する「本気度」はウインカーからわかる?

■中国最大手の電気自動車メーカーが日本へやってくる

劉学亮氏(左)と東福寺厚樹氏(右)
劉学亮氏(左)と東福寺厚樹氏(右)

中国の最大手電気自動車メーカーであるBYDが日本でフルバッテリーの乗用EVを発売するということが話題となっています。

日本導入予定のBYD3車種
日本導入予定のBYD3車種

BYD(比亜迪)とは、中国・深圳に本社を構えるメーカー。元々は化学系の会社でバッテリーの製造で成長し、携帯電話用のバッテリーでは世界一のシェアだと言います。その後、プラグインハイブリッドなども含む乗用車の製造へ乗り出し、新エネルギー車(NEV)を含む自動車メーカーでは世界最大手の一つと言えます。特に、BYDの乗用車は2022年1~6月に約64万台を販売し、NEV販売台数世界No.1となったそうです。

2005年に設立したBYDジャパンは、国内でEVバスやEVフォークリフトなどを中心に事業を展開し、国内EVバスシェアは約7割、今回日本の乗用車市場への参入を決定したそうです。

BYD「ATTO 3」は右ハンドルを導入予定
BYD「ATTO 3」は右ハンドルを導入予定

最初にデリバリーが始まるのは「ATTO 3」というミドルサイズのSUV。もちろんフルバッテリーEVです。

「ATTO 3」は、2022年2月に中国で販売を開始し、シンガポールやオーストラリアなどでも販売されています。BYDの「ブレードバッテリー」を搭載したEV専用のプラットフォーム「e-Platform 3.0」を採用し、485kmの航続距離(社内計測WLTC値)を得ています。

スペック上は十分な性能を有して、デザインも魅力的であり、クオリティもそれなりに問題なさそうです。一時期の中国車のようなイメージとは違ってます。

2025年までに全国100ディーラー店舗展開し、電気自動車のSUV「ATTO 3」、コンパクト「Dolphin」、セダン「SEAL」を売っていくそうです。

しかし、海外の資本が入って日本に黒船のように入ってきたクルマは、かつてことごとく神風に追い返されるように撤退していったものを見てきました。そんな前例は百も承知でBYDは日本市場に挑んきているでしょう。

BYD「ATTO 3」のウインカーは右レバー
BYD「ATTO 3」のウインカーは右レバー

その本気度の表れが、ウインカーレバーです。

御存知の通り、日本車のウインカーレバーはほぼ間違いなく右側です。しかし、これは世界的には異例な話と言ってよく、例えば右ハンドル、左側通行のイギリス車は左ウインカーです。輸入車は右ハンドルでもまず左にウインカーレバーはあります。

国際的ルールでも左ウインカーに統一されるのでは、という時期もありましたが、現在では両方の存在が認められているものの、右ウインカーレバーは日本と日本車が多い東南アジアの一部というのが現状です。

そこにBYDでは右ハンドル、右ウインカーを導入するようです。

それだけ、日本市場を研究し、自らが合わせて来ているのです。

自動車に限らず、「中国製品」というだけでマイナスなイメージと受け取る人もまだまだ多い日本においても、知らないうちに中国製品は日常的に使っています。

自動車というパーソナルな高額商品で中国製品を買う人がどれほどいるのか疑問だ、というのは簡単ですが、クルマにこだわりを持っている人が減っているのも事実。

若い世代は不要なものは買わない、いいもので必要なら製造国など先入観なしに気にしないで購入するのが当たり前だ思います。

日本の経済発展と日本車の成長を見届け続け、先入観だらけの我々とは違う世代がBYDをどう見るのか、興味深さと少し怖さを感じました。

ただし、まだ価格については一切公表されていません。

(文・写真:クリッカー編集長 小林和久)

この記事の著者

編集長 小林和久

編集長 小林和久 近影
子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野でクルマが見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)クルマの知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端なクルマがホントは好き。