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■冬用タイヤはスタッドレスだけじゃない
本格的な夏がくるというのに、冬用タイヤについて書くなんて季節感がおかしいですよね。しかし9月にもなればもうタイヤメーカー各社から新作スタッドレスタイヤが発表され始めます。そんなタイミングだからこそ、愛車の年間タイヤ計画を練っておきましょう。というのも、真夏のドライブから冬場のちょっとした降雪まで、1年を通して履きっぱなしにできるタイヤが存在するからです。
それがオールシーズンタイヤです。日本では「冬季のタイヤ=スタッドレスタイヤ」のように考えられていますが、スタッドレスの源流を辿れば、スノータイヤに鋲(びょう)を打ち込んだスパイクタイヤに行きつきます。凍結路面では絶大なトラクション力を発揮しますが、舗装路面に対しての攻撃性が高く、削られたアスファルトによる粉塵公害も少なくありませんでした。
そこで、鋲のないタイヤが求められます。「鋲=スタッド」ですから、スタッドのないタイヤ、これこそがスタッドレスタイヤです。つまり、スタッドレスはスパイクタイヤの進化系であり、スノータイヤの1種と考えることができます。
●日本の「年に数回雪が降る」という地域にピッタリ
そして、スタッドレスを含むスノータイヤ界にあって、もうひとつ存在感を高めているのがオールシーズンタイヤです。日本ではなじみの薄い存在でしたが、ヨーロッパや北米では新車に純正採用されるほどの市民権を得ています。気候の変化が激しかったり、地続きで国をまたいでいきなり積雪地帯へ踏み入れるような大陸的な環境では、オールシーズンタイヤって重宝されるようです。
ここ日本は道路網が整備され、スマホを駆使すれば天気予報もリアルタイムでバンバン届きます。一部の地域を除けば通年を通して雪に備える必要はありません。しかしそれが裏目に出て、首都圏では年に数度のわずかな雪で交通機関が麻痺するほど脆弱な一面も。このため今では東京都内でも「冬はウインタータイヤへ履き替えて積雪に備えを」という世論になっています。とはいえ「年に数回しか出番のない、それだけのためにスタッドレスを買うのは財布が厳しい」と考えている方も多いでしょう。狭き日本なだけに、使わないタイヤを保管しておく場所だって考えなければいけません。
だからこそ、日本の、特に非積雪地帯に住むユーザーにとって、オールシーズンタイヤという選択肢はアリなのかもしれません。年に数度だけウインタースポーツへ繰り出すといった使い方もOK。積雪路や凍結路における絶対的な性能こそスタッドレスには及びませんが、そのことを頭に入れて安全運転すれば、道路が整備された日本では不便や危険を感じることはないでしょう。
●チェーン規制された道も走れるオールシーズンタイヤもある
ちなみに日本へいち早くオールシーズンタイヤを導入したのはグッドイヤーです。現在の代表的なモデルは「Vector 4 Seasons Hybrid(ベクター フォーシーズンズ ハイブリッド)」でしょう。従来、オールシーズンタイヤのイメージといえば「M+S(マッド&スノー)」というあくまでも浅雪用であり、本格的な雪では走れない気休めのようなもの、だったと思います。しかしVector 4 Seasons Hybridは雪道でのブレーキ性能やトラクション性能は立派に欧州で冬用タイヤの基準を満たしたと認定されて、サイドウォールには「M+S」に加えて「スノーフレークマーク」の文字が刻印されているのです。日本においてもチェーン規制の道も胸を張って通ることができて、肝心要となる雪上での走行性能も安心できるものです。
なにより速度域が高くて走行距離も多い欧州で鍛えられただけに、ドライ、ウェット問わず非積雪路面での性能もなかなかのもの。路面状況の変化に左右されない、安定した性能は「オールシーズンだから走行性能や質感は二の次」という先入観を覆してくれます。
今年の冬タイヤはどうしようか、と悩んでいる方。もし、サマータイヤ自体が履き替える時期に来ていたら、もう冬を待つこともありません。今からでもオールシーズンタイヤに履き替えて「まずは夏場の性能を試してみる」なんて、なかなかいい選択肢ですね。
(文:クリッカー編集部)
※この記事は2022年7月12日に再編集しました。
【関連リンク】
・グッドイヤー Vector 4 Seasons Hybrid 製品ページ
https://www.goodyear.co.jp/products/tires/4seasons/4seasons.html
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