■タイヤはサイズだけでなくロードインデックス(荷重指数)にも注目
用途やニーズを問わずクルマを安全に走らせ、その性能を最大限に享受しようと思ったら、適正な空気圧を常にキープしておくことが重要だということを過去の記事でお伝えしました。適正な空気圧は、車種やタイヤサイズによって異なるということも同様です。
純正サイズであれば、自動車メーカーがきっちり規定してくれているので、基本はそれに従えばまず問題ありません。ここで考えてみたいのはインチアップをした場合。
基本的にタイヤは、充填する空気の容積が大きいほどより大きな荷重に耐えられる傾向にあります。ということはインチアップに伴ってタイヤを低扁平率化した場合、タイヤ幅を拡げるにも限界があるため、クルマの荷重に耐えるための空気が不足しがちとなります。
そこでタイヤ選びの際に見たいのが荷重指数(LI=ロードインデックス)。サイズの後に続く2~3桁の数値がそれを示しており、たとえば195/65R15 91Hとなっていれば、荷重指数は91で、空気圧は230kPa、最大荷重(負荷能力)は600kgとなります。これをインチアップした際に荷重指数が低い銘柄を選んでしまうと、最大荷重が減ってしまうのです。たとえば215/45R17 87Wならば、91→87に伴って最大荷重545kgにまで減少します。軽量スポーツカーを17インチ化する程度なら大丈夫そうですが、例えば8人乗りのミニバンを15→17インチ化しようとすると注意が必要な領域です。
●負荷能力や耐空気圧を高めたXL規格に注目
必要充分な負荷能力を得るためのひとつの回答としては、空気圧を上げること。先述した195/65R15 91Hサイズの場合、空気圧を240kPaに上げれば最大荷重は615kgまでアップします。ただし、これにも限界があり、これ以上の空気圧アップはメーカーが推奨していません。
そこで、注目すべきはXL(エクストラロード)規格のタイヤ。一般的なJATMA規格のタイヤに比べて同じタイヤサイズであっても、負荷能力や耐空気圧を高く設定して作られているものです。とはいえ、単にXL規格を履けばOKというものでもありません。「高い空気圧に設定することができるから、そのぶん負荷能力に余裕を持たせることができる」と考えておいたほうが良さそうです。
引き続き195/65R15→215/45R17サイズを例に見てみましょう。両方とも荷重指数91だとして、215/45R17サイズをXL規格の銘柄から選んだとします。195/65R15は空気圧230kPaで負荷能力600kgで、215/45R17も同じ荷重指数91だからといって、XL規格の215/45R17を230kPaに設定すると、実は負荷能力510kgへと減少してしまいます。これを同等の負荷能力にまで持っていくためには、空気圧を280kPaまで上げる必要がある。つまり空気圧280kPaまで許容する耐空気圧こそXL規格の魅力です。
XL規格のタイヤを装着する際は、ただXLという刻印が付いているだけに満足せず、空気圧別荷重能力対応表をきっちりと確認して、正しい空気圧に導く必要があります。これは自動車メーカーが純正タイヤサイズで推奨する空気圧とは別のものです。
安全快適装備の拡充やハイブリッドカーやミニバンの普及など、クルマは日を追うごとに高重量化しています。例えばグッドイヤーではEAGLEシリーズやエフィシェントグリップシリーズなど主要銘柄の多くにXL規格がラインアップされています。インチアップする、しないに関わらず、乗員や荷物を含めて、普段、愛車がどれくらいの“重量”で走っているのか。それを検討しつつXL規格を視野に入れてタイヤ選びをすることが、安全快適なドライブには必要かもしれません。
(クリッカー編集部)
【関連リンク】
タイヤサイズの見方(日本グッドイヤー株式会社)
https://www.goodyear.co.jp/knowledge/size.html