目次
■最高峰4ドアセダンのスポーツグレード
イギリスのベントレーは、ドライビングをより楽しめる装備を搭載する同社の「S」シリーズに、最高峰の4ドアセダン「フライングスパー」をベースとする「フライングスパーS」を追加することを発表しました。
新グレードとなる同モデルには、4.0L・V8エンジンモデルのほかに2.9Lエンジンとモーターを組み合わせた初のハイブリッドモデルも設定。
6月23日(木)から6月26日(日)までイギリスで開催されるモータースポーツイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で初公開されます。
●ガソリン車には最高出力550psのV8搭載
ベントレーのフライングスパーは、5945cc・W12気筒ツインターボを搭載し、リムジンのような贅沢さとスポーツセダンの性能を合わせ持つ高級4ドアセダンです。
それをベースとするフライングスパーSは、よりスポーティな走りを実現する装備により、視覚・聴覚・触覚を刺激するドライビングを体験したいユーザーへ向けたモデルです。
主な特徴は、まずパワートレインで、ガソリン車とハイブリッド車の2タイプを設定します。ガソリン車では、最高出力550ps・最大トルク770Nmを発生する4.0L・V8エンジンを搭載。
0-62mph(約99.77km/h)までの加速はわずか4.0秒、最高速度は(制限速度内で状況が許せば)198mph(約318.65km/h)という優れた動力性能を発揮します。
また、独自のアクティブ・ロール・コントロール技術「ベントレーダイナミックライド」も標準装備。
48Vの電気式システムを採用するこの機能は、コーナリング時のロールを0.3秒以内という瞬時に抑え込み、タイヤの接地性を最大限に高めることが可能。キャビンの安定性と快適な乗り心地、優れた操縦性を実現することができます。
加えて、「エレクトロニック・オールホイール・ステアリング」も採用。低速時にはこのシステムにより後輪が最大で4.2度、前輪と逆方向に切られることで、回転径を小さくし敏捷性を向上します。
高速時には後輪が前輪と同じ方向に操舵されるため、車線変更や追い越しの際の安定性が確保され、ドライバーに自信溢れる走りを提供します。
●2.9Lハイブリッド車も登場
一方、ベントレー初となるハイブリッド車。街乗り中心や環境を重視するドライバーなどに向けて開発されたこのモデルは、パワートレインに2.9L・V6ガソリンエンジンと高度な電気モーターをマッチング。
システム最高出力544ps・最大トルク750Nmを発揮し、0-62mph(約99.77km/h)加速はV8モデルよりわずか0.1秒遅れの4.1秒で、加速性能も申し分ありません。
電気モーターのみで走るEV走行の航続距離は最長で41km、1km当たりのCO2排出量はわずか75g(WLTP)で、ベントレー史上最高の効率性を誇ります。
なお、これら2タイプは、いずれもスポーツエキゾーストの設計見直しによって、排気サウンドの質が向上していることも注目点。
特に、スポーツモード時におけるエンジンルーム内のサウンドにこだわった作り込みを行うことで、ドライバーの気分を盛り上げる音質を実現。加えて、リヤキャビンの静粛性を維持する工夫もなされています。
●各部にブラックが入った精悍な外観
エクステリアは、明るく輝くメタルパーツを減らすことにより、クルマのフォルムに自然と目線を惹き付け、より低くワイドな印象を与える演出が施されています。
また、グロスブラックのバンパーロアグリル、ダークティントのヘッドライトとリヤライト、ブラックのクアッドテールパイプフィニッシャー、そしてフロントフェンダーに設定された「S」バッジなどが、外観をぐっと引き締める効果を生んでいます。
さらに、トランクリッドには、ベントレーを象徴する「ウイングドB」のバッジと「BENTLEY」ロゴだけをブライトクローム仕上げとすることで、より特別感も演出しています。
ホイールは、ベースモデルが21インチなのに対し、22インチとより大径サイズを装備。Y字型の5本スポークの仕上げは「グロスブラック」または新登場の「ペールブロガーサテン」を選択できます。
加えて、グロスブラック仕上げとブライトマシニング仕上げを施した21インチのトライスポークホイールも、Sモデル専用として用意。
どちらを選んでも、標準装備されるレッドのブレーキキャリパーがホイールに映え、Sモデルのスポーティな魅力がさらに引き立ちます。
●内装にはハンドクラフトのレザーを装備
インテリアは、滑らかなレザーとソフトな起毛仕上げのダイナミカを組み合わせたことが特徴です。
レザーは、専門レザーショップでハンドクラフト。スエード調の素材であるダイナミカは、ヒーター付きステアリングホイール、ギアレバー、シートクッション、シートバックレストに配置されます。
また、全体的にブラックとレッドの配色が施されることで、フライングスパーSのハイパフォーマンスさを予感させる演出が施されています。
ドライバーインストルメントパネルは、モータースポーツとゆかりの深いクロノメーターからインスピレーションを得たデザインを採用。室内灯などと連動して文字が光るイルミネーテッド・トレッドプレートには「Bentley Motors Ltd」の代わりに「S」のデザインが刻まれます。
ちなみに、新型のフライングスパーSは、ベントレーによれば「Sシリーズの最後を締めくる」モデルだとか。先日発表された「コンチネンタルGT S」や「コンチネンタルGTC S」なども含めたスポーティグレードの大取を務めるクルマだそうです。
(文:平塚 直樹)