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■雨の日にクルマを利用するときはタイヤに注意
いよいよ梅雨の時期。コロナの状況は落ち着く傾向にありますが、通勤や生活に必要な買い物などでクルマを使う人は、雨で濡れた路面はスリップしやすいため、運転に十分な注意が必要です。
特に気をつけたいのがタイヤです。空気圧が不足していたり、摩耗が進んでいると思いがけない事故に繫がることがあります。そこでここでは、特に雨の日にタイヤ関連で注意したいポイントなどを紹介しましょう。
●タイヤのトラブルはJAFの出動理由の大きな要因
首都高速道路株式会社の調査では「雨天時は晴天時の約4倍も事故が起こりやすい」という結果が出ています。特に雨天時は「スリップによる事故」も多く、雨で濡れた路面は予想以上に滑りやすいといえます。
また、ロードサービスを手掛けるJAFによると、パンクや破裂などタイヤのトラブルに関する出動件数は、2007年度の28万6934件から、2017年度には39万1799件に増加。その後はやや減少したものの(2020年度は38万2439件)、依然として出動件数の大きな要因になっているようです。
そのため、JAFでは運転前のタイヤの点検を心掛けるように呼びかけています。同社によると、特にタイヤで気をつけたいのが「空気圧」と「残り溝」。JAFでは1か月に1度はこれらの点検をすることを推奨しています。
●タイヤの摩耗度合いで制動距離が1.7倍も伸びる
空気圧はクルマのモデル毎に適正な数値がメーカーにより決められていますが、少な過ぎるとタイヤに亀裂が入ったり、最悪の場合は走行中に破裂することもあり危険です。
また、燃費を上げるためなどの理由で空気圧を高くし過ぎた場合も、タイヤの中央部のみが摩耗してしまい、タイヤの寿命が短くなるなどの原因になります。
さらに、注意したいのが「残り溝」。
タイヤの溝がどれくらい残っているかを調べることで、摩耗の度合いが分かります。タイヤの摩耗は、雨の日に安全なドライブをするためには、非常に重要なファクターのひとつなのです。
前述のJAFが行ったテストによると、雨天時の制動距離は「タイヤの残り溝が浅くなるほど長くなる傾向がある」といいます。
テストでは、タイヤの溝の深さが
1:7.6mmの新品タイヤ
2:4.7mmの5分山タイヤ
3:3.1mmの2分山タイヤ
の3パターンで、100km/h走行から急ブレーキをかけた時の制動距離を計測(タイヤの山は新品の溝の深さから使用限度1.6mmを引いた数値を10分山として計算)。
結果は、乾いた(ドライ)路面での制動距離はいずれもほぼ同等。ところが、濡れた(ウェット)路面では、3番の2分山タイヤは1番の新品タイヤより約1.7倍も制動距離が長くなる(新品の制動距離47.6m→2分山タイヤの制動距離70.5m)ことが分かりました。
また、濡れた路面でハンドルを切って旋回しつつブレーキを踏むテストも実施。新品タイヤは最短距離で止まれたうえに旋回時の外側への膨らみ量が小さく、残り溝が浅くなるに従って制動距離が長くなり、旋回時の膨らみ量も大きくなることが分かっています。
これらを踏まえ、JAFでは、雨の日に多いスリップ事故を防ぐには、空気圧はもちろん、残り溝も調べて摩耗度合いのチェックも行うことを呼びかけているのです。
●雨の日はスピードの出し過ぎにも注意
雨天時のスリップ事故は、当然ながらスピードの出し過ぎも原因のひとつではあります。路面が乾いている時には問題なく走れるカーブでも、路面が濡れている時に乾いた時と同じスピードで進入すると、濡れた路面は滑りやすい分スリップしやすくなります。
ましてや、タイヤの空気圧が適正でなかったり、摩耗が進んでいる場合は特に注意が必要です。
ほかにも、スピードの出し過ぎは、高速道路を走行中に水溜まりの中に入ると、タイヤと路面の間に水の膜ができることで起こるハイドロプレーニング現象の原因にもなります。この現象が起こると、急にハンドルやブレーキが効かなくなるため、事故に繫がる可能性が非常に高くなります。
ただでさえ、コロナ禍の影響でストレスなどが溜まっている上に、雨天時にクルマの事故を起こしたら大変です。最悪の場合は、人命に関わるケースもあるのはご存じの通りです。
タイヤの点検を行うなどの自己防衛策をしっかりと行うことで、この状況を上手くサバイバルしましょう。
(文:平塚直樹/写真:JAF、平塚直樹)
※この記事は2022年6月10日に再編集しました。
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