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■1000台を超えるロードスターが集合
梅雨入り目前に開催されてきたロードスター軽井沢ミーティングは、2022年が記念すべき30回目です。今年もオープンカーのためにしつらえたような快晴の空の下、軽井沢プリンス駐車場へと、1000台を超えるロードスターが集結しました。
2020年、2021年は御存知の通り、コロナ禍の影響で各種イベントは大打撃を受け、多くは断念せざるを得ない状況を迎えていたわけですが、ロードスター軽井沢ミーティングは感染者数増減の谷間となった秋の開催が両年ともに可能となったのでした。
そして2022年、すべてのコロナが落ち着いているわけではありませんが、3年ぶりに以前と同じ5月の最終週末の日曜日に開催することができたのです。
■軽井沢ミーティング最大参加車は現行のND型、初参加も4割
ここで、軽井沢ミーティング2022参加者の実態を見てみましょう。厳密には数値は申込みベースで、ドタキャン数約30人、約20台あったそうで、実数は下記からドタキャンを減じた数字になります。
<参加人数>
参加者数 2182名
男女比 2:1
平均年齢 49.8歳
<ロードスター台数>
参加台数 1172台
<内訳>
NA 26%
NB 13%
NC 11%
ND 50%(内RF 8%)
それにしても1000台超、2000人超のイベントのドタキャンが2%未満とはすごい熱心なファンばかりだと想像できます。
さらに、初参加は、例年多くても33%程度なのに、今回は40%以上が日曜日のミーティング初参加。しかも、前日土曜日の前夜祭初参加は60%くらい。この状況について、ファンによる軽井沢ミーティングを支えてきたRCOJ(ロードスター・クラブ・オブ・ジャパン)の水落代表も驚いたといいます。
「この2年間は、(クルマを)手に入れてもイベントがほとんど中止で、参加できなかった人たちと、昨年末から990Sブーム(?)で初めてロードスターを入手した人たちにとっての初イベント受け皿としても機能した気がします」と水落さんは分析します。
ところでロードスターはバブル景気も手伝って初代であるNA型がたくさん売れて、今となっては貴重なリトラクタブルヘッドライトの愛らしいデザインとともに、多くのユーザーがいまだに乗っているイメージです。とくに、ミーティングに参加するような積極的なファンだったら尚更、と想像します。
が、しかし、数字でわかるように今回の参加台数の半分が現行モデルのNDだったといいます。
小さなボディに最低限の排気量である1.6リッターエンジンを搭載して登場したロードスターは、年を追うごと、モデルチェンジのたびに、大きなマーケットである海外の要望などに応えるべく、大きく、力強くなっていったのです。
しかし、NDは言わば原点回帰として登場します。それも、NA型のレプリカとかオマージュを持ってと言うわけでなく、新しいライトウェイトスポーツカーの現在の在り方を具現化したカタチで送り出してくれました。
これが再び日本のマーケットにウケている証明となった、とイベント参加者の比率を持って言って良いでしょう。
さて、そんな人気のNDですが、日本においては幌モデルとRFと呼ぶ電動開閉ハードトップモデルの2種類があり、全車は1.5リッター、後者は2リッターエンジンを搭載します。海外向けは幌でも2リッターがあります。
これについて、NDデビュー当初から議論の分かれるところでありました。前述の通り、初代の良さ、軽さ、平井初代主査の教えを受け継いだような、「足るを知る」モデルと言えます。「全開にできるシーンが多い」とも言い換えられます。
それに対し、動力性能に余裕のある2リッターエンジンが、単なる速さだけでなく、高速での静粛性、場合によっては燃費、マニュアルシフトで乗る場合のシフトチェンジ回数の軽減など考えれば、そりゃ良いシーンが多いに決まってる、との意見ももっともです。
●気になるロードスターのマイナーチェンジ、新型の情報は?
軽井沢ミーティング2022会場での午前のトークショーでは、現在のNDロードスターのチーフエンジニアである齋藤茂樹さん、プロジェクト・マネージャーの杉本学さん、国内商品マーケティング部の大関卓也さんらが登場。
2リッターの幌モデルの可能性についての質問が飛び出します。齋藤主査によると、「もちろん社内にもどちらの意見もある。個人的には(幌の2リッターバージョンを)追加したい」だそうです。
さらに次期型NEロードスターの開発は進んでいるのか、という質問には「色んな意味でロードスターのこれからの姿を研究、進化させているので具体的ではなくともそれが次期型の開発に繋がると言えるかも知れない。いずれにしても、次期型はなんらかで電動の要素が入ってくるだろうから、この純ガソリン車のNDを続けることも頑張っていきたい」とのこと。
確かに。「これが最後のガソリンロードスターですよ」と言われると、ついつい脊髄反射でハンコを押しちゃう気もします。そのへんも、自然とNDロードスターの人気につながっているのかも知れません。ちなみにデリバリーもいろんな影響でやや遅れ気味だとか。スポーツカーの供給が遅れているって、クルマ好きからすれば、響きとしては嬉しいものもありますね。
そして、午後はデザイン系のトークショーで、デビュー時のNDロードスターチーフデザイナーであり、マツダデザイン本部の本部長となった中山雅さん、現在のロードスターチーフデザイナーの岩内義人さん、カラーデザイン担当の狩野 梓さんらが登場し、トークショーとファンの疑問に答えます。
新チーフデザイナーの岩内さんは、中山本部長がデザインしたNDの「どこかを」変えるマイナーチェンジをしなくてはなりません。これについて、お二人でやり取り。中山さんが「自分が現行モデルで気に入らない部分があったら言ってくれ」と切り込みますが、岩内さんには先輩を目の前にしてそんなことは答えられません。
しかし、モデル途中で顔が変わったNB、NCに対し、NAはリトラクタブルのその顔を変えませんでした。それだけ完成度が高かったとも言えるのでしょうが、そういう意味でNDも小手先で違う顔にできるようにも思えません。果たして、岩内さんはどうしていくか、見守りたいです。
また、初代NA以来、赤、青、黄などの原色系ボディカラーが存在したロードスターですが、NDでは渋いカラー、メタリック系がほとんどです。これについて狩野さんは「いろんな色の提案もしているが、やはりトータルバランスでなかなか採用とまでは至らない」とのこと。おせっかいながら、私は初代RX-7SA22Cのイメージカラーであったグリーンのメタリックなら似合うのでは?と勝手ながらオファーしてみました。良いと思うんですけどね。
そんななごやかな雰囲気であっと言う間に時間が経っていったロードスター軽井沢ミーティング2022。ファン同士のコミュニケーションはもちろんですが、メーカーにとっても1000台のユーザーからの声が一度に聞ける大変貴重なイベントです。
平均年齢はギリ50歳以下とちょい高めとも思えますが、会場には若い世代も多くいました。そのキャラクターから子育て世代にはなかなか所有されにくいでしょうが、若い頃乗っていて一時期離れても、子育てが落ち着けばまた戻ってくる。そんな鮭の養殖のような事業をマツダはやっているのかも知れません。
それをバックアップする、RCOJ水落代表とともに、これからも、日本の自動車好きと自動車メーカーのとても上手く行った関係性を末永く続けていってもらいたい、と願うのでした。
(小林和久)
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