旧車の全塗装は「あり」「なし」どっちが多い? デメリットは?

■旧車の全塗装に関するアンケート調査

近年、スポーツカーを中心に国産車などの旧車が人気ですが、古いクルマの塗装は経年で少なからず劣化するもの。保管状況にもよりますが、塗装がはげたり、サビが浮いてきたりする場合もあります。

旧車の全塗装に関するアンケート調査
旧車オーナーにとって全塗装(オールペイント)はありか?(写真は日産・スカイラインGT-Rの歴代モデル)

そんな時は、ボディを塗り替える全塗装(オールペイント)を施すのも手ですが、一方で、旧車好きにはオリジナルのままで乗り続けたい人も多いようです。

特に、旧車の場合は、新車時と全く同じ塗料が現在は存在しないこともありますから、全塗装をすると微妙に色合いが変わってしまうこともありますからね。

では、旧車オーナーの多くは、愛車の全塗装についてどう思っているのでしょうか? 旧車に特化した買取サービス「旧車王」を運営するカレント自動車では、旧車に興味のある男女125名を対象に、旧車の全塗装に関するアンケート調査を実施。

その結果、旧車の全塗装は「あり」と答えた人は74.4%、理由は「新車当時の雰囲気を味わいたいから」が最多であることなどが分かりました。

●全塗装に肯定的な人が圧倒的に多い

今回の調査は、2022年4月28日〜2022年5月11日の期間、前述の通り、旧車に興味のある男女125名を対象に行われたものです。なお、ここでは、2010年以前のクルマを旧車と定義しています。

旧車の全塗装に関するアンケート調査
旧車の全塗装はありか?(出展:カレント自動車)

アンケートでは、まず「旧車の全塗装(オールペイント)はありか?」という質問を実施。結果は次の通りです。

・「あり」 74.4%
・「なし」 25.6%

意外にも、オリジナルの塗装のままで乗りたい人よりも、全塗装に肯定的な人が圧倒的に多いようですね。

●旧車の全塗装は「あり」の理由「新車当時の雰囲気を味わいたいから」

また、調査では、「あり」と答えた人に理由も質問(複数回答可)。結果(アンケート対象者125名中の割合)は以下の通りです。

1位:「新車当時の雰囲気を味わいたいから」 34.5%
2位:「傷や錆を隠したいから」 28.7%
3位:「色を替えたいから」 14.9%
「そのほか」 5.8%

旧車の全塗装に関するアンケート調査
旧車の全塗装が「あり」の理由(出展:カレント自動車)

納車当時のピカピカな状態を再現し、新鮮な気持ちを味わえるという意味でも「新車当時の雰囲気を味わいたいから」と考える人も多いようです。

また、「傷や錆を隠したいから」が2番目に多かったというのは、愛車を維持する手段として全塗装を行う人もいるということでしょう。

さらに、「色を替えたいから」が3位に入っていますが、これは旧車オーナーにも、元のボディカラーとは違う車体色にすることで、愛車の雰囲気を変えたいと思う人が一定数いるということが伺えます。

ちなみに、「そのほか」には、「ノーマルデカールを無くしたい」「メンテナンスのひとつだから」「錆をしっかり取って、下地処理と塗装をしたものなら全塗装は大歓迎(AE86のような錆びやすい車なら尚更)」「リフレッシュのため」などの意見があったそうです。

●旧車の全塗装は「なし」の理由

アンケートでは、旧車の全塗装(オールペイント)は「なし」と回答した人に、その理由も聞いています。結果(アンケート対象者125名中の割合)は次のようになりました。

1位:「オリジナルで乗りたいから」 17.9%
2位:「全塗装によって価値が下がると思うから」 6.7%
3位:「部分塗装で十分だと思うから」 6.0%
「そのほか」4.5%

旧車の全塗装に関するアンケート調査
旧車の全塗装が「なし」の理由(出展:カレント自動車)

「オリジナルで乗りたいから」が最多となったのは、やはり当時の「味」を感じられるよう、あえて手を加えないという選択をする人も多いことが伺えます。

また、2位の「全塗装によって価値が下がると思うから」については、確かに稀少なビンテージカーなど、車種によってはオリジナルの方が価値が高いという印象を受けるものもあるのは事実でしょうね。

旧車の全塗装に関するアンケート調査
トヨタ・2000GTなど稀少なビンテージカーは、オリジナルであることで価値がより高くなることも

また、全塗装では、途中の工程で部品の交換が必要となる場合もありますが、その際にオリジナルパーツが手に入らないケースもあります。

そうなると、アフターパーツなど代替品があれば使うことになりますが、それでは塗装だけでなく、部品も純正ではなくなる可能性もあり、その点も考慮する必要があります。

3位の「部分塗装で十分だと思うから」は、オリジナルを極力維持しつつ、やむを得ず手を加える人や、ボディ剛性や特徴によって部分塗装の判断になるケースもあるのかもしれません。

ちなみに、「そのほか」には、「車の状態がわからなくなるから」「塗装する費用よりもそのほか改造費に充てる」「本来の姿がわからなくなるから」などの意見があったそうです。

旧車に限らず、クルマの全塗装は費用もかかるため容易ではないのも事実。ですが、今回の調査をみた感じでは、旧車オーナーには、愛車を塗装のやれていない状態に戻すことで、新車当時の雰囲気を復活させて味わいたいと考える人が多いようですね。

(文:平塚 直樹 *写真はすべてイメージです)

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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