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■AT免許でOK
「エンジンがかかった時に“カラカラ”ってトランスミッションの音がするでしょ。ワタシ、あの音がけっこう好き」
彼女の感覚がマニアックなのは、根っからの乗り物好きだからだろう。
普通自動車免許だけでなく、2輪の大型免許や二級小型船舶免許を持ち、とにかく乗り物を楽しむ。ついでに言えば、看護師資格と保健師の資格も持っている。
「ちょっと運転させてよ。私も運転できるかな?」
R35型のGT-Rが過去の「スカイラインGT-R」に対して革新的なのは、単に300km/hを前提とした速さだけではない。トランスミッションがMTからAT(デュアルクラッチ)となり、ギヤチェンジやクラッチ操作が不要になったことだ。
だから超高性能車だからといって気難しさは微塵もなく、AT免許を取ったばかりの人でも気軽に運転できる。これって凄いことではないだろうか。
●不思議な加速
「鋭い加速だけど、信じられないくらい滑らかでスムーズ」
「とても速いのに、それを感じさせない安定感」
「余裕のある大人の走りって感じかな」
自分で操ってのドライブを終えた彼女は、GT-Rをそう評価した。
たしかに、GT-Rの加速感は不思議だ。とてつもなく速いんだけど、強引さや粗さは一切ない。そして、ドライビングプレジャーは決してアクセル全開時だけでなく、3000回転付近からゆっくりとアクセルを踏み込んだ時の、響き渡るような音色と鼓動も魅惑的だ。
生き生きと走るGT-Rは、実はエンジンの音とフィーリングが織りなす官能の塊といっても、それは決してオーバーな表現ではない。
●果たして?
ところでR35型のGT-Rは、もしかするとそろそろ役目を終えるのかもしれない。
「GT-R NISMO」が予定販売台数を受注してオーダーを終了し、限定車として発売された「プレミアムエディションT-spec」や「トラックエディション・エンジニアードby NISMO T-spec」が抽選販売を終えている。
しかしそれだけではなく、限定モデル以外の仕様も新規受注が止まっているのだ。いま、GT-Rは仕様を問わずオーダーできないのである。
このまま生産を終えるのではないか…という噂もあるが、果たして?
(文:工藤 貴宏/今回の“彼女”:RIHO/ヘア&メイク:則 めぐみ/写真:ダン・アオキ)