■カーボンニュートラルを目指し合成燃料e-fuelやバイオコンポジットを検証する次世代への開発マシン
3月5日、鈴鹿サーキット60周年ファン感謝デーの中で、株式会社日本レースプロモーション(以下JRP)は昨年から取り組んでいる日本のトップフォーミュラの次の50年を見据えた壮大な「SUPER FORMULA NEXT50プロジェクト」の技術検証などを行う開発マシンを発表しました。
会見会場でアンヴェイルされた開発マシンは2台で、それぞれ白にトラ柄がホンダエンジン、赤にトラ柄がトヨタエンジンを搭載しています。
開発メンバーは、ドライバーとしてホンダエンジン搭載車には塚越広大選手、トヨタエンジン搭載車には石浦宏明選手がハンドルを握ります。
テクニカルディレクターとして昨年までトヨタエンジンの開発責任者を務めてきた永井洋治さんが就任し、開発の指揮を執ります。
アンバサダーとして土屋武士さんも参加。スーパーフォーミュラのレース解説などもする土屋さんは、レーシングドライバーやエンジニアなど様々な立場から「いいことばかりを伝えるのではなく、このプロジェクトの課題なども正直に伝えていく、物言うアンバサダー」として参加するとのこと。
この開発マシンはカーボンニュートラルを目指す次世代への開発マシンとしてスーパーフォーミュラ全7戦の中でフリー走行日や予選日など各戦2日間の走行を予定しており、今後採用が考えられている合成燃料e-fuelやバイオガソリンなどのカーボンニュートラルな次世代燃料、原料段階からカーボンフリーを目指す植物由来のバイオコンポジットによるパーツの検証などを行っていくとのことです。
NEXT50プロジェクトのタイヤサプライヤーであるヨコハマでは、この開発マシンを通して、原料や構造、工程まで含めた環境に低負荷なタイヤを開発するためのテストを行っていくとのことです。
そしてレース展開をもっとスリリングにするために空力面も調整し、オーバーテイクの機会を増やしていくようなマシンづくりを行うことも検討されています。
これらの技術検証のデータはスーパーフォーミュラのマシンコンストラクターであるイタリアのダラーラ社と共有しながら次世代のスーパーフォーミュラマシンを作り上げ、カーボンニュートラルで環境に低負荷なレーシングマシンのグローバルな基準作りの先駆けとなるべく行動していくようです。
●スーパーフォーミュラ各戦で行われるエンターテイメントへの試策
スーパーフォーミュラ2022シーズンはこの開発マシンだけではなく、実際にレースを走るチームをも含めた壮大な施策が行われるようです。
2023年の実用化に向けて開発が進むスーパーフォーミュラ観戦アプリ「SF-GO」など主にエンターテイメント向けの試策として、参戦車両21台全ての相互データ通信のテストなどを行うとのことです。
実際に通信に使う回線などの発表はまだありませんでしたが、日本で一番速いレーシングマシンであるスーパーフォーミュラなので、5Gなどの高速通信でも果たしてアンテナ間の切り替えがうまく作用するかどうか、またサーキットごとに通信インフラをどう活用するかなどを今シーズンのレースを通じて検証していくとのことです。
シーズン後半にはドライバーとピットとの間の無線での会話をアプリやYoutube中継にどう活用していくかの接続実験も全車で行っていくとのこと。
マシン製作とエンターテイメントの両面からのテストがいよいよ始まっていく「SUPER FORMULA NEXT50プロジェクト」。今後の続報が期待されます。
(写真・文:松永 和浩)
【関連リンク】
スーパーフォーミュラ公式サイト
https://superformula.net/