カーナビ操作も道案内も音声、ドライブレコーダー記録はクラウドのまったく新たな会話するドライビングパートナー【パイオニア NP1】

■パイオニアから操作のすべてを音声認識で完結させる新発想の車載システム『NP1』を発表

音声で操作、案内するカーナビ、クラウド保存のドライブレコーダーなどを搭載するパイオニアNP1
音声で操作、案内するカーナビ、クラウド保存のドライブレコーダーなどを搭載するパイオニアNP1

●ドライビングパートナーとは?

パイオニアからカーナビやドライブレコーダー機能を音声で操作する、まったく新しい発想の車載システム『NP1』が登場しました。その基本コンセプトは“会話するドライビングパートナー”です。クラウドとつながることでドライバーの多彩なニーズに応えてくれるというこのシステム、NP1とはいったいどんなシステムなのでしょうか?

NP1はドライバー方向に会話用のマイク/スピーカーユニットを向けて取り付ける
NP1はドライバー方向に会話用のマイク/スピーカーユニットを向けて取り付ける

本体は真正面から見るとほぼドライブレコーダーにも見えますが、実はカーナビ機能やネットワーク接続するための通信機能などを内蔵したため、奥行きは93mmほどあります。そのため、サイズは小さめの弁当箱といった感じでしょうか。ここに前後2つのカメラを備え、車内側では音声でやり取りするためのマイクやスピーカーが内蔵されます。

これまでカーナビと言えば、ディスプレイ上に地図を表示してルートガイドするのが基本スタイルでした。そこでは地図がメインであって、音声はあくまでそれをサポートするというものです。しかし、機能が高度化すればするほどその操作は複雑化し、それがドライバーにとって大きなストレスとなっていたのです。

そのストレスを音声によって解決するのがNP1というわけです。

●お互いの「声」だけで完結させるコンセプト

NP1は操作も案内も会話のみで基本的に行う
NP1は操作も案内も会話のみで基本的に行う

その基本コンセプトは“会話するドライビングパートナー”。NP1ではクルマにあったら便利だと思われる機能をこの1台に集約し、それらを会話するように音声で操作できることを最大の特徴としています。音声を発してその反応を耳で確認しつつ、そこに通信が加わることでより便利な使い方が可能になるのです。その姿は、同乗した心強いパートナーと会話をしながらサポートを受けるというイメージに近いかもしれません。

その機能は大きく4つあります。

NP1との会話中はライトバーが白く光る
NP1との会話中はライトバーが白く光る

一つめは「スマート音声ナビ」で、音声を使って目的地設定や案内中の様々なリクエストに応えるというものです。目的地設定は施設名や住所に対応するほか、「○○が食べたい」「○系ラーメン店を探して」などと音声で発すると、その内容を理解して候補を即座にリストアップ。“Retty”を使った評判の良いお店を探せるのもこの機能のポイントです。さらに目的地設定後に追加すると、それは自動的に立ち寄り地点として登録されます。

ナビ案内は音声が基本だが同じ情報や地図をスマホにも表示可能
ナビ案内は音声が基本だが同じ情報や地図をスマホにも表示可能

ルート案内中のリクエストでは、「目的地まであとどれくらい?」と訊ねれば即座に距離と所要時間を答えてくれます。また、曲がるポイントは、距離だけでなく信号機の数でも案内し、複数車線のどこを走るのが最適なのかも案内してくれます。これにより、ドライバーは前方から視線をそらすことなく気持ちを集中させて運転に専念できるのです。

ただし、その道案内中の情報や地図などを専用アプリを使ってスマホに表示させることは可能。音声案内だけではなんとなく不安…という人にも安心です。

●保存ミスも最小限にするクラウド型ドライブレコーダー

NP1の前後カメラにはフルHD画質、STARVIS技術搭載SONY製CMOSセンサーを搭載
NP1の前後カメラにはフルHD画質、STARVIS技術搭載SONY製CMOSセンサーを搭載

二つめが「クラウド ドライブレコーダー」です。これは文字通りクラウドに接続するドライブレコーダーのことを指し、衝撃を検知して撮影した動画や静止画は自動的にクラウド側に保存されます。その容量は5GB。これによって、アクシデントに遭遇して慌てふためいている時でも映像の録り逃しはありません。

NP1の前後カメラの有効画素数は約200万画素、にはフルHD画質、レンズはF2.0
NP1の前後カメラの有効画素数は約200万画素、にはフルHD画質、レンズはF2.0

しかも、気に入ったシーンを動画や静止画で残すこともできます。その時は音声で「動画を撮って」「写真撮って」と告げるだけ。この場合も撮影した映像は クラウドに保存されますから、気に入ったシーンをシェアすることも簡単です。さらに駐車中に衝撃を検知すると、この映像も自動的に録画してクラウドに保存。その後で指定したスマートフォンにも通知されますから、トラブルへの対応も迅速に行えるというわけです。

●車内Wi-Fiや今後のアップデートでの発展も

三つめが車内Wi-Fiを実現する「クルマWi-Fi」です。これはNTTドコモのLTE回線を使う定額通信プラン「In Car Connect」に対応する機能で、専用のオプションプランを申し込むことで最大5台の端末で通信が使い放題となるものです。NP1ではこの機能を標準装備していますから、あとは使う時に必要に応じて料金プランを選べばすぐにサービスが利用できるようになります。

四つめが「もっとカーライフ++」。これはアップデートや学習によりNP1の機能をどんどん充実させていくというものです。アップデートはおよそ3ヵ月ごとに行うことになっており、発売直後の4月には早くも最初のアップデートでアマゾン・アレクサにも対応する予定。ニュースや天気予報はもちろん、音楽のストリーミング再生にも対応できるようになるんです。このアップデートは相当期待できる機能と言えるでしょう。

ドライブコール機能を使えば、離れた人に走っている映像を直接送り会話が可能
ドライブコール機能を使えば、離れた人に走っている映像を直接送り会話が可能

一方、発売時点で便利さを実感できる機能も搭載されています。その一つが「ドライブコール」です。これはNP1を通じて車内から車外の人とコミュニケーションが図れるサービスですが、この機能を活用することで道案内としても役立てられるんです。それはつながった相手の端末に車両側の動画映像と地図表示されているから。今までありそうでなかった機能がNP1なら体験できてしまうんです。

もう一つ、初めての場所に出掛けて役立ちそうなのが「ドライブトピック」です。これは、走行中に周辺にある様々なトピックを季節や日時なども考慮しながら適宜案内するサービス。観光に役立つ情報だけでなく、交通環境を示すトピックなども音声で伝えられます。状況がわかりきっている自宅周辺は案内が除かれる配慮があるのも見逃せません。

本体価格は以下の通り

●パイオニアNP1本体価格

ベーシックプラン
(通信+サービス利用料1年分付) 希望小売価格 65,780円 (税込)
バリュープラン
(通信+サービス利用料3年分付) 希望小売価格 93,500円 (税込)

なお、NP1は通信を使うことを大前提で設計されており、「サービス利用料」が必要となります。そのため、本体価格ベーシックプランには当初1年間の通信料が含まれており、2年目以降は有料での継続が必要となります。その料金は現時点で未定ですが、パイオニアによれば「負担を感じない設定にする計画」とのことでした。バリュープランには3年のサービス利用料が含まれており、こちらはパイオニア公式オンラインショップのみの販売です。

また車内をWi-Fiスポットとするためには、docomo in Car Connectを別途契約する必要があります(こちらの契約は拡張させるためであり、NP1の基本使用に必須ではありません)。

docomo in Car Connect利用料金は以下の通り

●docomo in Car Connect利用料金

1日(24時間):550円(税込)
30日:1,650円(税込)
365日:13,200円(税込)

これまでに無かったタイプの製品だけに、その使い方や本当の便利さがなかなか伝わりにくいもの。ぜひともNP1と直接「会話して」、これから先も進化を続ける魅力とともに存分に味わって見て下さい。

パイイオニアNP1は、2022年3月2日発売です。

(文:会田 肇/写真:高橋 学)

【関連リンク】
パイオニアNP1公式サイト https://jpn.pioneer/ja/np1/
パイオニア公式オンラインショップ https://shop.pioneer.jp/

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この記事の著者

会田 肇 近影

会田 肇

1956年、茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。新卒で自動車系出版社に就職した後、フリーランスとして独立。カーナビゲーションやドライブレコーダーなど車載電化製品を中心にレポートする一方で、自動運転をはじめとするITS分野での取材活動を行う。
読者の立場に立った分かりやすいレポートを心掛けている。趣味は車か飛行機を使った旅行。写真撮影。音楽を聴くこと。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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