【カーナビメーカーのナビアプリを試してみた】パイオニアのカーナビアプリは、機能と案内の親切さが別格だった!

■ついにカーナビメーカーがナビアプリをリリースした

ナビアプリを使うひとは増えていますよね。
ナビアプリを使うひとは増えていますよね。

2023年秋、老舗カーナビメーカーのパイオニアがスマートフォン用のナビアプリをリリースしました。さっそく使ってみたところ、やはり案内画面、音声案内の親切さ、わかりやすさは別格でした。


●パイオニアは市販カーナビの元祖

少し前に編集長から「パイオニアがスマートフォン用のナビアプリをリリースした」と聞きました。「おおっ」と気になったのは、一般市販カーナビ機器を発売しているメーカーが自社名で本格的なナビアプリを出すのは初めてじゃないかと思ったからです。

パイオニアといえば市販カーナビの先駆けで、長らく業界を牽引してきたメーカーです。逆に、スマートフォン用ナビアプリの主力といえば、Googleマップ、Yahoo!カーナビ、Apple純正マップ、NAVITIMEなど、いずれもカーナビメーカーではありませんでした。

そこにカーナビメーカーが参入してきたのです。これは気になります。というわけでさっそく使ってみました。

まず、このパイオニアのナビアプリ「COCCHi(コッチ)」ですが、無料版と有料版があります。いくつかのちがいがありますが、まず無料版を使ってみました。ところがすぐにつまづきました。

自分だったらけっして選ばないルート(ぜったいに渋滞するから)を選択したのです。うかつにもパイオニアが選んだルートだから行ってみようかと思って行ってみたのですが、ド渋滞にはまってしまいました。

というのは、無料版が使う交通情報はプローブ(走行している車両から収集した情報)のみのようです。プローブ情報だけでは渋滞回避能力がちょっと弱いんでしょうね。それが、有料版(月額350円)にすると、プローブに加えてVICS情報が活用されるようになります。

そこで、車を停めて有料版に加入したところ、瞬時に迂回ルートに切り替わりました。世の中カネですな。なお、有料版も1ヵ月間は無料で使えます(2023年11月下旬現在)。

●無難なルート選択

カーナビ機器、カーナビアプリ、各社それぞれルート選択の傾向は異なりますが、1〜2回の比較テストでは、傾向はかならずしもつかめないと思っています。そのときどきで、特徴が異なるルートを選択することがあるからです。

とはいえ、何回もいろんなルートを検索してみると、特徴はなんとなくつかめます。その点このCOCCHiは、かなり無難な、幅が広くて走りやすいルートを選択するような気がします。

Googleマップのように場合によってはけもの道みたいなルートを案内される心配はなさそうですが、新しい発見はありません。チャレンジングではありません。そこは好みが分かれるところでしょう。

といっても、広い道ばかり通ってやたら遠まわりをするということもなく、面白みはないけど、まずまず堅実なルート選択をするといえるのではないでしょうか。

●音声案内の細かさは別格

使ってみて、とにかく印象的なのは、音声案内の親切さです。どういう情報を与えたらドライバーがわかりやすいか、安心するかを熟知している気がします。いくつか例を挙げてみましょう。

「3つ先の信号を右です」

「左車線を進んでください」

「この信号をこえて70メートル、左側道です」

こんな具合です。状況によって変わってくるでしょうし、アップデートでも変わってくる可能性があるので、そこはご了承ください。ただ、ここまで丁寧な道案内をしてくれるナビアプリはそうそうないという印象です。

「国道254号線に入りました」と教えてくれました。
「国道254号線に入りました」と教えてくれました。
分岐も「直進」「左」だけでなく、進む方面も教えてくれます。
分岐も「直進」「左」だけでなく、進む方面も教えてくれます。

また、しばらく道なりに進む場合は「10分程度道なりです」と時間で知らせてくれます。これも感覚的にありがたいと感じるひとは多いでしょう。大きな通りに入ると「国道254号線に入りました」といった情報も知らせてくれます。

交差点の2画面表示は縦型のスマホ画面とも相性がいいです。
交差点の2画面表示は縦型のスマホ画面とも相性がいいです。
オービスを知らせてくれる機能もあります。
オービスを知らせてくれる機能もあります。

分岐に近づいたときも「1.2キロ先、板橋ジャンクションを東池袋、都心環状、中央道、東名方面、直進です」などと、詳細に説明してくれるので、迷う心配がかなり少なくなります。

これだけ音声案内がわかりやすいと、ナビ画面をちらちら見ることが減ります。これは安全のためには効果が大きいのではないでしょうか。

音声だけでなく、画面表示の道案内も親切です。交差点に近づいたときには2画面を使って拡大表示してくれます。こういった道案内のわかりやすさも、やはりカーナビ専用機を作っているメーカーならではだと思います。

駐車場を探したりガソスタを探したりといったお助け機能が搭載されているのもカーナビメーカーならではでしょう。一般的なスマホナビよりは、かなりカーナビ専用機に近い機能が採用されています。


いっぽう、細かいことですが、ちょっと残念なのは、経由地設定が5ヵ所までしかできないことです。

ドライブとなると「この道を通って、次はこの道を通って、ここに行きたい」ということも出てくるんですよね。そうすると、けっこうな数の経由地が設定できないと、計画したルートを通ることができない。これは同様のナビアプリも多いのですが、もっと経由地を多く設定できるようにしてくれると嬉しいです。

また、目的地検索機能はあまり優秀ではないと感じました。フリーワード検索においては、住所をコピペしても出てきてくれなかったり、GoogleやYahoo!カーナビでは出てきてくれるような施設名を入力してもヒットしなかったりします(ただし、Googleマップで検索した目的地を転送することはできます)。

●カーナビアプリは群雄割拠

上でも書いたとおり、これまでスマートフォンのナビアプリは、Googleマップ、Yahoo!カーナビ、Apple純正マップ、NAVITIMEあたりが主流だったと思います。しかし、そこにカーナビ機器メーカーが殴り込みをかけてきました。ドライバーにとってありがたい機能や、道案内のわかりやすさはナビアプリとしては群を抜いているといっていいでしょう。

ちなみに私はバイクに乗るときには、ナビアプリの音声だけをインカムで聞いて道案内してもらうということがあるのですが、そういった使いかたをするには大変ありがたい道案内の親切さです。しかも、現在バイク用ナビアプリを開発中のようなので、それも期待したいです。

このナビアプリ「COCCHi」ですが、都市部のユーザーだと無料プランはやや力不足かもしれません。有料プランの月額350円をどう考えるかにもよりますが、有料プランならCarPlayにも対応しています。従来のスマホナビアプリにはなかった、カーナビ専用機に近い機能も持っています。

狭い道が苦手で、親切な道案内に期待したいひとにはおススメといえるナビアプリです。有料プランも1ヵ月は無料で使えるようなので(2023年11月現在)、いちど試してみてはいかがでしょうか。

(まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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