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■ミニバン、スポーツカー、BEVまで続々登場
2022年の国産新車市場もいよいよスタートし、各社とも新年から激戦を繰り広げています。
2021年には、トヨタの「ランドクルーザー」や「カローラクロス」といったSUVのニューモデルを筆頭に、ホンダの「シビック」やトヨタ「アクア」など人気車種のモデルチェンジも数多く、魅力的なモデルが目白押しでしたね。
では、2022年はどうかというと、やっぱり「これは売れそう!」とか、「乗ってみたい! 」と思えるようなクルマが続々と登場します。
ここでは、それらの中でも、特に注目の5車種をピックアップして紹介しましょう。
●トヨタ・ノア/ヴォクシー
まずは、ミドルサイズ・ミニバンの超売れ筋車、トヨタの「ノア」と兄弟車の「ヴォクシー」。2022年1月13日に、4代目となる新型が発売されました。
新型は、先代でも存在感満点だったフェイスデザインをさらにグレードアップ。特に、グリルデザインは、より立体的な形状とするなどで、よりアグレッシブで「オラオラ感」を増したフォルムになっています。
近年のミニバンは、同じトヨタの「アルファード」や日産の「セレナ」など、大型フロントグリルを採用したモデルが人気ですから、新型のノア/ヴォクシーも、まさにその王道を追求した外観デザインとなっています。
パワートレインには、1.8L・直列4気筒と組み合わせたハイブリッド車と、2.0Lのガソリン車を用意。駆動方式には、いずれも2WDと4WD(ハイブリッド車は電気式のE-Four)を設定しています。
注目は、ハイブリッド車に採用した新世代ハイブリッドシステム。モーター・バッテリーの高出力化とシステムの高効率化など、すべての電動モジュールを刷新することで、より心地よい加速と優れた燃費性能を高次元で両立します。
なお、燃費は、WLTCモード総合で、ハイブリッド車の2WDが22.0〜23.4km/L、ガソリン車では14.3〜15.1km/Lです。
外観のイカつさとは裏腹に、内装やドアなどの使い勝手は、メインターゲットのファミリー層を意識して、さらにフレンドリーで便利な機能を備えています。
新型も、先代同様に7人乗りと8人乗りが設定されていますが、まず、7人乗り仕様車の2列目キャプテンシートには、クラス初となるオットマン機構とシートヒーターをオプション採用(オットマンは2WD車のみ設定)。また、折りたたみ式大型サイドテーブルなども装備し、室内での利便性を向上しています。
加えて、2列目シートのスライド量は、745mmものストレート超ロングスライドを実現。先代のロングスライド機構は、一旦シートを橫にしてから動かしていましたが、新型では橫スライドなしでも移動がOK。後ろ一杯まで下げれば、よりゆったりとした2列目スペースを実現します。
さらに、電動で動くパワースライドドア装着車には、ドア開閉と合わせて機械的にドア下部からステップを展開・格納できる「ユニバーサルステップ」(助手席側)を設定。ステップ高は2WDで200mm、4WDでは2225mmに設定し、子どもから高齢者まで家族みんなに優しい乗降性を提供します。
ほかにも、テールゲートには、開閉時にゲートを押すと好きな角度を保持できる「フリーストップバックドア」も装備。荷物積み卸し時の利便性も向上させています。
トヨタが「からくり」と呼ぶ自動機構を備えたこれら新装備も、新型モデルの目玉といえるもの。従来から定評があった高い機能性を、さらにアップデートしています。
先進安全装備についても、機能向上した最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を新型ノア/ヴォクシーから採用しています。
注目は、トヨタ初搭載の「プロアクティブ・ドライビングアシスト」。これは、「歩行者の横断」「飛び出してくるかもしれない」など、運転の状況に応じたリスクの先読みを行うことで、歩行者や自転車、駐車車両に近づきすぎないようにステアリング・ブレーキ操作をサポートする機構。また、先行車や前方のカーブに対して減速操作をサポートし、頻繁な踏みかえ操作を軽減する機能も搭載します。
加えて、高度運転支援技術「トヨタチームメイト」には、新機能として「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」「アドバンストパーク(リモート機能付き)」も搭載します。
アドバンストドライブは、高速道路などの自動車専用道路で渋滞時(0km/h〜約40km/h)に、いわゆる「手放し運転」も可能なシステムです。
車間を自動で保ちながら先行車を追従する「レーダークルーズコントロール」と、車線を維持するようハンドル操作のアシストなどを行う「レーントレーシングアシスト」の作動中に、ドライバーが前を向いているなど一定の条件を満たすとシステムが作動。クルマが認知、判断、操作を支援することで、ドライバーの渋滞時における疲労軽減に貢献します。
また、駐車時にスイッチを押すだけでハンドルやアクセルなどの操作を自動で支援するアドバンストパークも機能が向上。並列駐車時のアシスト機能を拡大し、従来のバック駐車に加え前向き駐車にも対応することで、前向き/バック出庫の両方が可能となりました。
さらに、ハイブリッド仕様車では、ドライバーがスマートキー携帯時に、車外から専用アプリをインストールしたスマートフォンを操作することで、駐車および出庫をクルマが自動で行うリモート操作の機能も採用します。
価格(税込)は、ノアが267万円(税込)〜389万円、ヴォクシーが309万円〜396万円です。
●ホンダ・ステップワゴン
ノア/ヴォクシーの対抗馬、ホンダの「ステップワゴン」にも、2022年春に6代目となる新型が登場します。こちらは、2022年1月7日のジャパンプレミアで概要が発表されましたが、価格など詳細はまだ未公表。今のところ(2022年1月20日現在)は、外観デザインやグレード展開、内装のグレードアップなどが分かっています。
まず、グレード展開では、デザインを刷新した2つのタイプ、シンプルで親しみやすい「ステップワゴン エアー(以下エアー)」と、高級志向の「ステップワゴン スパーダ(以下、スパーダ)」を設定します。
先代モデルが、標準モデルと、その上級グレードのエアロ仕様としてスパーダを設定していたのに対し、新型ではエアーとスパーダを並列グレードとして展開します。
外観は、いずれもシンプルながらミニバンらしいカタマリ感を演出したフォルムを演出。また、テールランプを縦型にするなどで、大人気だった1996年発売の初代や2001年発売の2代目などをオマージュしたデザインとなっています。
なお、先代は標準モデルが5ナンバーサイズ、スパーダが3ナンバーサイズだったのに対し、新型は全長や全幅を拡大させることで、全モデルが3ナンバーサイズに変更されています。
拡大した車体を活用し、よりゆったりとした室内も大きなトピックスです。しかも、2列目シートは、従来の前後スライドに加え、橫スライドも可能となり、特にシートアレンジがより豊富になりました。
2列目シートの橫スライド量は右側75mm・左側115mmに設定。前後スライド量も、シートをもっとも外側にした場合で610mm、もっとも内側にした場合には865mmを実現します。
左側の2列目シートがより移動量が多いのは、たとえば、小さな子どもをチャイルドシートに乗せる場合を考慮したものです。2列目の左側シートにチャイルドシートを設置し、最も内側で前に出せば、小柄な女性などでも停車中に運転席から子どもの世話がしやすくなります。
さらに、スパーダの2列目シートには、脚をゆったりと載せられるオットマンも装備。こういった快適装備も、まさにノア/ヴォクシーと真っ向対決といった感じですね。
このように、新型ステップワゴンは、子育て世代を中心としたファミリー層が、より使い勝手のよさを実感できる装備を備えているのが魅力です。なお、先代に設定されていた、橫と縦に開くテールゲート「わくわくゲート」は新型に設定がなく、かわりに電動で動く「パワーゲート」が装備されます。
こちらも、新型ノア/ヴォクシーと同様、開く角度を任意に設定できる機構を持つことで、さらに利便性を向上させています。
パワートレインには、ガソリン車と独自の2モーターハイブリッドシステム採用の「e:HEV」搭載車を設定します。詳細は未公表ですが、先代では、ガソリン車に1.5L・4気筒ターボを搭載。
ハイブリッド車には2.0L・4気筒エンジンと駆動用・充電用の2モーターを搭載し、状況に応じてモーターとエンジンの駆動を切り替えるハイブリッドシステムを採用していました。
新型には、どんなパワートレインが採用されるのかも注目点ですね。なお、価格や具体的な発売日も未発表のため、今後の動向が気になるところです。
●日産・フェアレディZ
50年以上の歴史を誇る日産のスポーツカー「フェアレディZ」。世界中に多くのファンを持つロングセラーの新型が、2021年8月にアメリカで発表されましたが、その国内仕様が、東京オートサロン2022(2022年1月14日〜1月16日・幕張メッセ)でお披露目されました。
外観は、歴代の「Z」へのオマージュを感じさせるデザインが特徴です。伝統のロングフードや低重心のリヤスタンスなどを採用、LEDヘッドライトのデザインは、1996年発売の初代240ZG(S30型)を彷彿とさせる2つの半円がイメージされています。
また、リヤビューは1989年発売の4代目Z32型を彷彿とさせるデザインが印象的です。特に、リヤコンビネーションランプは、Z32型をオマージュしたことが最もよく分かるポイント。新たに3DシグネチャーLEDテールランプを採用することで、クラシカルなデザインながら最先端の技術も盛り込んでいます。
パワートレインは、新開発の3.0L・V6ツインターボエンジン(VR30DDTT型)で、最高出力405ps/6400rpm、最大トルク48.4kgf-m/1600〜5600rpmを発揮。トランスミッションには、6速MTと新開発の9速ATを設定します。
なお、国内でまず発売されるのは、特別仕様車の「プロトスペック」。6月下旬頃に240台限定で発売され、価格(税込)は696万6300円です。
9速AT車は、Version STというグレードになるようで、発売時期は未発表ですが価格(税込)は同じく696万6300円です。通常の6速MT車の情報含め、こちらも今後が気になるモデルです。
●ホンダ・シビック タイプR
スポーツモデルでは、ホンダの新型「シビック タイプR」もプロトタイプが東京オートサロン2022で初公開されました。こちらも、詳細はまだ未発表ですが、2022年内に発売を予定していることが明かになっています。
シビック タイプRは、大衆車「シビック」をベースとしたスポーティバージョン。1997年に発売された初代モデル以来、こちらも世界中にファンを持つロングセラーモデルです。
特に、1980年代から1990年代頃に一世を風靡した「ホットハッチ」と呼ばれるジャンルを牽引したクルマのひとつがこのモデル。
ちなみに、ホットハッチとは、安価な大衆車をベースに、高性能エンジンなどで動力性能を高めたスポーツ車のこと。軽量な車体と相まった軽快な走りと、比較的リーズナブルな価格などにより、当時の若者を中心に大ヒットしたジャンルです。
当時は、他メーカーでも、たとえば、トヨタが「カローラレビン/スプリンタートレノ」といった、いわゆる「ハチロク(型式名AE86の愛称)」があったり、マツダ「ファミリア」やダイハツ「シャレード」、三菱「ミラージュ」などにもターボエンジンを搭載した高性能モデルが人気でした。
今では、ハチロクの末裔である「GR86」があるくらいで、ほとんどのモデルが消滅しましたが、シビック タイプRは、そんなホットハッチの数少ない生き残りだといえます。
6代目となる新型シビック タイプRは、2021年9月発売の11代目シビックがベースとなります。5ドアハッチバックモデルながら、クーペライクなフォルムとなったベース車と同様、タイプRでも流麗なフォルムが特徴です。
前述の通り、詳細はまだ明かされていませんが、前後バンパーやボディ橫のドア下にはエアロパーツを装備。リヤのハッチバックゲートにはウイングも設けられ、高い空力特性を持つことがうかがえます。
搭載するパワートレインも不明ですが、先代のシビック タイプRは、ベースのシビックが1.5L・VTECターボを搭載していたのに対し、専用設計の2.0L・VTECターボを採用。最高出力は320psを誇っていました。
ベースとなる現行シビックもエンジンは先代と同様で、最高出力182psを発揮する1.5L・VTECターボです。そう考えると、新型タイプRも、先代同様に排気量をアップするなどで、さらにパワーアップした仕様が搭載されることが期待されます。
具体的な発売時期や価格などもまだ分かりませんが、こちらも登場したら一度は乗ってみたい1台ですね。
●トヨタ・bZ4X/スバル・ソルテラ
世界的なEVシフトの潮流に対し、トヨタが新しく展開するBEV専用ブランドが「bZシリーズ」。その第1弾となるのが、ミディアムクラスのSUVタイプ「bZ4X」です。
また、専用プラットフォームをスバルと共同開発したこのモデルには、兄弟車としてスバル「ソルテラ」もあり、いずれも2022年の年央より世界各地で発売されることが発表されています。
外観で特徴的なのは、フロントビュー。従来のガソリン車やハイブリッド車は、特にグリルを強調したデザインが多かったのに対し、これら2モデルは、グリルはすっきりとした印象。テスラにちょっとだけ似ていますね。
代わりに、フロントには空力アイテムが織り込まれたコーナー部と、上下に薄いバンパー形状を採用。また、フードからヘッドランプ上部へと連続する、特徴的なハンマーヘッド形状などにより、BEVの独自性を表現しています、
パワートレインには、モーター、トランスアクスル、インバーターを一体化することで、搭載スペースを少なくできるe-アクスルを初採用。また、バッテリーに薄型大容量電池パックを床下・平置きで配置するなどで、車体の低重心化を実現します。
そして、こうした低重心化の恩恵は、余裕ある運転席・助手席、後席の居住空間などに貢献します。室内はDセグメントセダン並みのタンデムディスタンス(前後シート間距離)1000mmを確保。足元スペースも、前後ともミディアムセグメントSUVクラスではトップレベルの広さを誇り、ゆったりとした空間を演出します。
走行性能では、スバルのAWD技術、X-モードを採用。新開発のグリップコントロールも搭載するなどで、路面状況に応じた最適な4輪やブレーキなどの制御を行います。また、モーター駆動の特性を活かした素早いレスポンス、リニアな加速感、高精度な出力制御なども実現。
これらにより、日常ユースからライトオフロード以上の走行まで、幅広いレンジに対応する走りが魅力です。
従来、BEVは、バッテリー充電の際に、コンセントの規格が合わないと充電できなかったり、できても充電時間が長いという問題がありました。
その点、これらモデルは、世界各地域の高出力充電に対応。150kWのDC急速充電器を使うことで、充電量80%までを30分で充電できるといいます。
ほかにも、ルーフソーラーパネル装着仕様車も設定予定。これを付ければ、1年間で走行距離1万800kmに相当する発電量を生成することが可能となるなど、BEVに特化した実用性が高い装備が満載です。
一体、どんな乗り味を体感できるのか、登場が今から楽しみですね。
(文:平塚 直樹)