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■記念すべき40thとなった東京オートサロン2022は入場者12万人強
2022年1月14〜16日の3日間、昨年のブランクを跨いで2年ぶりとなった東京オートサロン2022は、無事に閉幕となりました。記念すべき40回目の開催でした。
そんな2022年のオートサロン会場は、入場時に検温やアプリ登録などのコロナ対策はもちろん、入場者数を絞ったり、チケットをすべて電子化したりといった主催側も新しいことだらけの開催でしたが展示内容も変わってきているのが目に見えてきました。
出展者数366社、展示台数712台で、3日間の来場者数は126,869人と発表されてますので、例年の30万人規模の半分以下に抑えましょうという目標はクリアしたと言えます。実際に会場内を見た印象では、ガラガラというわけではなく、展示会として見るには丁度いいくらいの人出だったと思います。例年は見えない・歩けない状態でしたからね。
そんな中から編集長小林のイチバン気になったクルマを3台選ぶわけです。自分でライターや編集部のみんなに振っちゃったので、自分もやることになっちゃいました。
●第3位はフィガロなのにS2000なサーキット仕様
で、選んだまず1台は、このS2000です。
は〜? どこがS2000やねん! どーみても日産がバブル時代に出して大ヒットとなったフィガロやないかーい。と関西弁でツッコミが入りそうですが、中身はS2000、そこにフィガロのボディを被せちゃったのがこのRFY Figaro GT 2000というわけです。
出展したR.F.Yamamotoの代表山本さんによると、元々はフィガロも好きで扱ったりもしたが、R.F.YamamotoはS2000やNSXのスペシャルショップ。そこの社長が普通にフィガロに乗っちゃあかんやろう、と思い立ち、S2000のフレームにフィガロのボディを載せてしまったのだそう。
フィガロはS2000よりホイールベースが短く、そのためプロペラシャフトを10cm短縮。エンジン搭載位置は極端なフロントミッドシップに、ドライバーはフィガロのリヤシートくらいに座るポジションとなっています。
結果的に座ってみた感じでは、意外に視界が良かったそうです。コーナーなどでもピラーが邪魔してしまうことはありますが、Aピラーからの距離が遠くなったことで見やすくなったとか。いまのところ少し走った感覚では、まあ、S2000そのまんま、だとか。ううーん、当たり前といえば当たり前か?
これから先は、オートサロン後にサーキットへと持ち込んで、その走りを確認しながらサーキット仕様に仕上げていくのだとか。
実は私、フィガロ持っているんですが、だから選んだというわけではありません。だって、自分のフィガロはノーマルのママ大事にしていきたいんだもん。基本、フィガロをこんな風にしてほしいってお客さんはいないでしょ。
つまり、商売のためにデモカーとして作った車両を展示したのではなく、趣味の延長で作ったような車両です。オートサロンの始まりはエキサイティングカーショーであり、せっかく作った自分のカッコいいクルマを見せ合おうゼ、ってノリが基本。そんなオートサロンの原点を思わせてくれたので選んだ今年の1台でした。
●第2位は、たった製作台数5台のために置いた巨大スクリーン!?
そして、次に気になったのが「ARTA MECHANICS(エーアールティーエー メカニクス)」の「LEGAVERO(リガヴェロ)」。
まあ、正直言うと、この車両が気になったというより、まずはその背後の巨大スクリーンが目を引いたわけです。
実際の車両の何倍にも映し出すその背景はこれまでに見たことのないサイズ。いや、野球場とかにあるのはもっと大きいのかもしれませんが、目の高さで手に触れることができる位置に展示してあるものでは最大級でしょう。だって、たったの3日しかそこで使わないんですよ。
その場にいらしたARTA PR担当の川野さんによると縦6m×横22mで800インチというサイズ! 我が家のテレビが40インチですから、20×20で400倍!? そのサイズは通常の映画館と同等かそれ以上の大きさだと言います!!!
そこで流れていたのはこんな動画です。
それだけの規模感で展示される車両は、言わずとしれた鈴木亜久里さん率いる「ARTA」の新ブランド「ARTA MECHANICS」が手掛けたホンダNSXがベース。
ドア以外の主な外装パーツのほとんどをドライカーボンでまとい、内装もオリジナルのスエード調に縫製し直したシート、新たに巻き直したステアリングホイールなど、ふんだんにオリジナルパーツに交換。
そのお値段は、ベースとなるNSXを除いたカスタマイズ費用だけで2530万円!しかも、受け付けるのは限定5台のみと言います。
なので、完売したとしても売上で1億円ちょっと。これを事業とするカー用品量販店の最王手のオートバックスを運営するオートバックスセブンとしても、このNSXのカスタマイズが大きな利益を見込んだプロジェクトではないはずです。
なのに、こんな巨大スクリーンを用意して来場者に見せようとしたのは夢でしょう。ARTAゆえにNSXであるのも当然と言えますが、第二弾はGR86で計画しているといいます。こちらはドリキン土屋圭市さんも開発に関わるんだとかでNSXより現実的で楽しみですね。
スポーツカーで運転を楽しむことを想像させるために創造する。オートサロンに来ているお客さんも出展者も主催者も、みんなが持っている希望を展示してくれたということで印象に残った一台でした。
●第1位は誰もが注目した日産フェアレディZ
そして、なんと言っても今回のオートサロンで推したいのが日産・フェアレディZです。
東京エキサイティングカーショーからその名を変えて東京オートサロンが始まって、しばらくはアングラな楽しみ、違法改造や暴走族と何が違うの?と理解されるのも難しく微妙で、自動車メーカー社員は出張や視察はもちろん、足を運ぶのはお忍びで会場に現れる、とさえ言われてました。
しかし、次第に市民権を得るようになり、日産が1995年にはBCNR33型スカイラインGT-R、1999年にはBNR34型スカイラインGT-Rの新車発表を行うなど、走り分野で特別なクルマのお披露目には自動車メーカーも利用することとなってきます。
さらに転機が訪れたのは2000年開催時のトヨタbBの出展あたりからでしょう。まだ発売されていないbBを、エアロメーカーを中心にパーツ開発を依頼し、カスタマイズ車両だけを展示するという異例の新車発表となったわけです。トヨタが、それも特に走りを楽しむってわけでもない車種ベースでどどーんと確か8台くらい丸く並べて展示したんですよ。
この年を境に「あー、普通のクルマベースでも出しちゃっていいのね、あのトヨタさんがやったんだもん、ウチもアリね」という他メーカーさんの声が聞こえてきそうな雰囲気で、年々自動車メーカーの出展規模は大きくなっていきました。
で、「ちょっと待った〜! オートサロンは元々スポーツカーをよりスペシャルに仕上げたもん出すのがキホンだろーが!!」と田村さんが言ったのかもしれませんが、日産は2022年、昨年ワールドプレミアしたただ新型フェアレディZを3台展示するだけでなく、その中の1台はカスタマイズバージョンまで世界初お披露目してくれたので、私が選んだ東京オートサロン2022の注目ナンバーワンは「FAIRLADY Z CUSTOMIZED PROTO」です。
屋外では田村さんとピストン西沢さんが、煙もくもく走る姿を見せてくれました。ちょっと長くなりましたね。
今回、コロナウイルスが猛威を奮ってからの最初の巨大展示イベント。何もかもが初めてであり、これからいろんなのあり方を考えさせられるものでした。電気自動車の展示も多くなりましたし、アウトドアブームに似合うような車両も増えていました。
多様化に対応しながら、開催方法も、受け入れ体制も、コンテンツも変化していくのに良いきっかけとなった開催だったと思います。
いずれにしても、来年もまた東京オートサロン2023が開催されることを願っております!
【関連リンク】
R.F.Yamamoto
https://www.rf-yamamoto.com/
ARTA MECHANICS
https://topics.artaracing.com/customcar/