HKSのGR86はストリートとサーキット、2つの仕様を展示 【東京オートサロン2022】

■車両本体はGR86を2台とGRヤリスを1台展示

日本のチューニング界を代表するパーツメーカーであるHKSは、東京オートサロン2022に2台のGR86とGRヤリスを展示するとともに、さまざまな新製品を所狭しと展示しました。

2021年のオートサロンが未開催だからここまで多いの? と思ってしまうほどですが、毎年この程度の規模の展示を行ってしまうところがHKSの底力といえるでしょう。

HKSブース
モノトーンでシックな印象だったHKSのブースデザイン

●サーキット仕様とロード仕様 2種のGR86を展示

HKSのブースには2種のGR86が展示されています。

HKS GR86 サーキット仕様
サーキット仕様のGR86。ボンネットの裏側を見ると、防音材などが一切ないことがわかる

HKSレーシングカラーをまとうモデルはタイムアタックを目的としたサーキット仕様です。2021年にノーマルエンジンの状態で筑波サーキットで1分1秒286を記録しています。

エキゾーストマニホールドはスーパーマニホールドRスペック、マフラーはスーパースペックL IIを装着。ミッションはプロトタイプが取り付けられています。エアロキットはボディキットタイプRを使用しています。

サスキットはハイパーマックスIV SP 改、ブレーキはエンドレスでフロントがMONO6TA、リヤがMONO4TA、アドバンレーシングGTビヨンドのホイールに295/35R18サイズのアドバンA050が組み合わされています。

今後はGT3-RSタービンを組み合わせ過給器仕様でタイムアタックをしていく予定とのことです。

ストリート仕様として展示されたモデルは、サーキットでの走行も含むオールラウンドなモデルというコンセプトです。ボディキットはタイプSで、これにフロントカナードとダックテールのオプションを追加しています。

HKS ストリート仕様 GR86
ストリート仕様とはいえ、迫力満点のエアロキットが装着されたGR86

ホイールはアドバンレーシングGTビヨンド、タイヤは235/40R18サイズのアドバンA090が組み合わされます。サスペンションはハイパーマックスS、ブレーキはエンドレスのM4システムインチアップキットII/52を使用します。

エンジンにはGT2スーパーチャージャーを装着、スーパーエアフィルターとインタークーラー、オイルクーラーも追加、マフラーはハイパースペックL IIとなり、パワーアップしたエンジンに対応するためLAクラッチも採用されています。

●ストリート仕様のデモカーGRヤリスはフルコン仕様にアップグレード

HKS GRヤリス
GRヤリスのエアロキットもかなりの迫力ものだ

すでにデモカーとしてチューニングが施されていたGRヤリスは、東京オートサロン出展に合わせてアップグレードしました。

このGRヤリスはパワーエディターというサブコンを装着して15馬力程度のパワーアップを実現していましたが、今回はGRヤリス専用品としてターボの負圧制御が可能なようにEVC-7とサブコンのF-CON isの組み合わせを開発。30〜40馬力アップを実現しています。

HKS EVC F CON is
EVCとF CON isの組み合わせによって、負圧制御が可能になり30〜40馬力のパワーアップが可能となった

また、エアインテークにフレッシュエアを積極的に取り入れるためのコールドエアインテークも装備されます。

●輸入車用のブランドとして新たにVIITSが始動

VIITSシリーズ
輸入車用のブランドとしてスタートするVIITSの商品群

従来、HKSは国産車を中心にパーツ開発を行っていて、輸入車用パーツには手をつけていませんでした。それが大きく変わったのがGRスープラ用パーツの開発でした。

GRスープラはトヨタのクルマですが、BMWの工場で製造されBMW Z4との共通性の高いモデルです。すでにGRスープラ用のマフラーなどが発売されていますが、とくに新しいブランドネームなどは使われていませんでした。

それが今回新たに輸入車用のブランドとして「VIITS(ヴィーツ)」というブランドを立ち上げることになったのです。

VIITS 可変排気システム
ノーマルの可変排気システムの制御を使って、アイドリング&低回転域の排気音ダウンさせる仕様とした

VIITSの第一弾としてリリースされるのはアバルト595用のパーツです。595はエンジン始動時の排気音が大きめで、これを抑えたいというニーズも多いとのこと。そこでHKSでは純正で採用されいてる可変排気システムの制御を使うことで始動時から低回転はジェントルなサウンド、高回転ではスポーティなサウンドを奏でるマフラーを開発しました。

VIITS強化タイミングベルト
フィアット系の弱点と言われるタイミングベルトの強化品も用意

さらにフィアット系の弱点と言われているタイミングベルトの寿命をアップする強化タイプや、サスペンションキットなどもラインアップ。今後はバリエーションを拡大していくことでしょう。

●直噴コントロールも可能にしたフルコンが登場

GR86やBRZに搭載されているF型エンジンなどはポート噴射とシリンダー直接噴射を併用しています。

HKS F-CON V PRO Ver.5.0
直噴領域のコントロールも可能としたF-CON V PRO Ver.5.0

従来のチューニング用フルコンピュータではこの2つの噴射システムのうち、ポート噴射しかコントロールができませんでしたが、新しいフルコンピュータである「F-CON V PRO Ver.5.0(プロトタイプ)」では、直噴領域についてのコントロールを可能にしています。

このフルコンはPROの名前が示すとおり、プロユースのモデルという設定でプログラムはされておらず、プログラミングして始めて機能する製品です。

HKS 汎用タービン
1000馬力以上のハイパワーに対応するタービンも新たに設定

今回の展示品にはHKSのラインアップから抜けていたドラッグや海外でのハイパワーチューン(500馬力から1000馬力オーバー)に対応する大型のタービンや、大容量インジェクター、サーキットでのラップタイムを計測するカウンター、ハイパーマックスSにヤマハ製パフォーマンスダンパーとアイシン製のドアスタビライザーを組み合わせた新しいサスキットなども展示されました。

HKS サーキットアタックカウンターII
無線化されたマグネットセンサーによって正確にタイムを計測。オプションのGPSと組み合わせればコースインで自動計測開始するなど、拡張性の高いモデル
新ハイパーマックスSキット
パフォーマンスダンパーとドアスタビライザーを追加した新しいハイパーマックスSのサスキット。ショックアブソーバー、パフォーマンスダンパーともに新たにセッティングされている。写真はアルファード用

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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