大晦日(おおみそか)/ゴーン氏が海外に逃亡/排ガス規制の先駆け「米国マスキー法」が制定【今日は何の日?12月31日】

■いよいよ今年も今日で終わり

今年も新型コロナに振り回された1年でしたが、今日で終わりですね。

除夜の鐘
除夜の鐘

大晦日の夜は、除夜と呼ばれ、そばを食べ、除夜の鐘を鳴らすのが、古くからの習慣です。そばには、“来年も細く長く幸せをソバ(傍)からかきいれる”との願いが込められており、残さずに食べきるとより多くの幸せに恵まれるそうです。また、除夜の鐘が108回撞かれるのは、人間の百八の煩悩を洗い清めるという仏教の教えからきています。四苦八苦を(4×9)+(8×9)と置き換えて、足したら108だからという話を聞いたことがありますが、単なる語呂合わせでしょうか。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょう?

●カルロス・ゴーンがレバノンに逃亡

2019年12月29日にレバノンに逃亡したカルロス・ゴーン
2019年12月29日にレバノンに逃亡したカルロス・ゴーン

2019年の大晦日に、日産カルロス・ゴーン元会長の「私は今レバノンにいる」という衝撃的なニュースが飛び込んできました。実際に日本を出たのは12月29日で、レバノンに到着したのは12月30日だったようですが、まるで映画のような逃亡劇に、日本中から驚きの声が上がりました。その後もゴーン氏は、本を出版したり、ドキュメンタリー映画を配信するなど、無罪を主張しながら金儲けにもご執心のようです。さすがに2年経つと話題にも上がらなくなりましたが、政情不安のレバノンの中で閉じこもっているので、「逃げたもん勝ち」なのかどうかは、微妙ですね。

●自動車業界を震撼させた米国マスキー法が制定!

マスキー法を提案したエドマンド・ハスキー米国上院議員
マスキー法を提案したエドマンド・ハスキー米国上院議員
1972年発売の初代シビック、翌年にCVCCエンジンを搭載
1972年発売の初代シビック。翌年に副燃焼室を持つCVCCエンジンを搭載

1970(昭和45)年の最終日、大気浄化法改正法が米国上下院で可決され、ニクソン大統領がこの法案に署名して制定されました。この改正法は、エドマンド・マスキー上院議員が提案したことから、通称「マスキー法」と呼ばれています。

マスキー法の内容は、1975年以降に製造される自動車の排ガスを、1970年~1971年基準の90%以上減少させることでした。この規制は、世界の自動車業界に衝撃を与え、当然のことながら米国の自動車メーカーは実現困難と主張し、施行される段階で紛糾。内容の修正が続き、1973年には実質的な廃案に追い込まれます。メーカーの大反対に加え、1973年に起こったオイルショックが規制廃止の追い風になったのです。

193年に世界で初めてマスキー法に適合したホンダCVCCエンジン
193年に世界で初めてマスキー法に適合したホンダCVCCエンジン

いっぽう日本では、ホンダのCVCCエンジンの「シビック」が初めてマスキー法をクリアして、世界を驚かせます。また日本は、米国で廃案同然となったマスキー法と同レベルの排ガス規制を実行。1973年から本格的な排ガス規制が施行され、1978年にはマスキー法と同レベルの「昭和53年規制」がスタート。排ガス規制によって一時的に性能が低下するということがありましたが、日本の各メーカーは、独自の技術開発によってこの規制を乗り越えてしまいました。

日本だけ真摯に排ガス規制に取り組んだことになりましたが、結果的にはこれによって日本車は技術が高く、排ガスもきれいであることが実証され、日本車が米国で大躍進を遂げる契機になったのです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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