新車の騒音規制強化でスポーツカーが絶滅!? クルマの音はうるさい?うるさくない?

■全国2012名へ騒音規制について意識調査。クルマの音が必要だと思う人は約8割

最近のクルマは、昔のタイプと比べるとずいぶん静かになりました。

特に、ハイブリッド車などは、モーターだけで走るEV走行時に出す音がかなり少なく、耳が不自由な人などに近づいてきたことが分からない可能性があるため、わざわざ疑似音を出しているほどです。

それでも、近年は新車に課せられる騒音規制が強化される方向で、現在は2020年に施行されたフェーズ2という基準ですが、2024年にはさらに厳しいフェーズ3へ移行される可能性があるといいます。

こういった騒音規制は、欧州など国際社会の基準を日本にも取り入れているもので、適応するには、マフラーの排気音はもちろん、走行中のエンジンやタイヤなど、より細部について騒音対策が必要となります。

新車の騒音規制について意識調査
ホンダのNSXやS660など生産終了になるスポーツカーも近年多い

自動車メーカーとしては、基準が厳しくなっても対応しないと新車が販売できないため、対応に四苦八苦しているのが現状。

それでも、もしフェーズ3が導入されると、特にスポーツカーなどは対応が難しく、今後販売できなくなるのでは?といった声も聞かれます。

そんな中、一般ユーザーは、クルマの音に対してどんな意識を持っているのでしょうか?

定額カーリース「おトクにマイカー 定額カルモくん」を運営するナイルでは、全国の男女2012名を対象に、騒音規制についての意識調査を実施しました。

その結果、生活の中で、クルマの音をうるさいと感じる人は40.1%、一方で少しはクルマの音は必要と思う人が83.1%いることなどが分かりました。

●59.9%がクルマの音は「うるさくない」

今回の調査は、2021年11月18日〜11月22日の期間、インターネットによるアンケート形式で行われたものです。

まず、調査では、「クルマの音はうるさいと感じますか?」と質問。その結果、

新車の騒音規制について意識調査
クルマの音はうるさいと感じるか(出展:ナイル)

・「はい」 40.1%
・「いいえ」 59.9.%

と、約6割の人が「クルマの音はうるさいと感じない」と回答。生活をするうえでクルマの音は「騒音」とは感じない人が多数のようです。

●クルマの音は必要?

また、調査では、「クルマの音は必要だと思いますか?」といった質問も実施。結果は

・「必要だと思う」 83.1%
・「必要ではない」 16.9%

と、前述の通り、8割を超える人が「クルマの音は必要だと思う」と回答。

新車の騒音規制について意識調査
クルマの音は必要か(出展:ナイル)

調査を行ったナイルでは、これについて

「クルマの音がしないと、クルマが近づいても気づくのが遅れるなど、静音に対してのリスクともとれる意見が多く見られました」

と分析しています。

●スポーツカー乗りのカスタム比率

次に、調査では、スポーツカーに乗っている人152名に対し、「音が大きくなるようにカスタマイズしましたか?」といった質問も実施。結果は

新車の騒音規制について意識調査
クルマの音についてカスタマイズしているか(出展:ナイル)

・「はい」 70.4%
・「いいえ」 29.6%

と、7割以上がカスタムを実施。

スポーツカーをカスタマイズして楽しむユーザーが多いことが分かりました。

●騒音規制を寂しく思うユーザー多数

また、アンケートでは、同じスポーツカーを所有する152名に「騒音規制が入ることは寂しいと感じますか?」といった質問も行っています。結果は以下の通りです。

・「はい」 79.6%
・「いいえ」 20.4%

新車の騒音規制について意識調査
クルマの音についてカスタマイズしているか(出展:ナイル)

大多数が騒音規制について寂しさを感じているようです。

ただし、この調査をみる限りは、スポーツカーを所有していても騒音規制について寂しいと思わないユーザーも2割程度いるため、人によって感じ方や楽しみ方は違うことも伺えます。

●スポーツカー乗りは音好きが多い

最後に調査では、スポーツカーを所有していて「騒音規制が入ることが寂しい」と回答したユーザーに、自由回答で理由も聞いています。結果は次の通りです。

・「音が好きだから」 60.8%
・「楽しみがなくなるから」 17.6%
・「そのほか」 21.6%

新車の騒音規制について意識調査
騒音規制が入ることは寂しいと感じる理由(出展:ナイル)

「音が好き」と答えたユーザーが過半数以上いることから、やはり、スポーツカーは、アクセルを踏み込んだ時に出る排気音やエンジン音も魅力なようです。

新車の騒音規制について意識調査
走りを楽しみたいユーザーも多いトヨタのGR86

前述の通り、騒音規制は今後も基準が強化されることが検討されており、実施されれば、ただでさえ販売台数が少なくなっているスポーツカーは存続の危機だという声もあります。

一方で、カーボンニュートラル対策で自動車の電動化なども進んでいますから、今後はスポーツタイプのEVなどの登場も期待できます。

そういったモデルなら少なくともエンジン音がしないため、対応は比較的やりやすいのかも。

ミニバンや軽自動車などのユーザーと比べると、数こそ少なくなったスポーツカー愛好家。ですが、そういったユーザーは根強く、一定数いることも確かです。

今後もそういった愛好家たちが楽しめる、スポーティさや操る楽しさを持ったモデルが出ることを期待したいものです。

(文:平塚 直樹 *写真は全てイメージです)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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