■2つのSCR触媒コンバーターからアドブルーを注入
8代目フォルクスワーゲン・ゴルフに、最新世代のディーゼルエンジンを積む「TDI」モデルが設定され、2022年1月7日(金)から発売されます。
ツインドージング(デュアル・アドブルー噴射)システムが搭載された2.0Lディーゼルは、窒素酸化物(NOx)の排出量を抑えながら(先代から最大80%削減)、従来よりも最大トルクを厚くした最新世代。
筆者が乗ったのは、新設された「TDI Active Advance(398万9000円)」。LEDマトリックスヘッドライト「IQ.LIGHT」、ヘッドアップディスプレイ、純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」なども標準装備された充実グレードです。実際の走りは、言われなければディーゼルとは気がつかない人もいそうな音・振動性能も備えています。
アイドリング時では、それと分かる音や振動が若干進入してくるものの、ネガといえるレベルではなく、購入をためらう要素にはなり得ないといえます。また、従来のTDIは、ディーゼルエンジンの割に低速域のトルクが細かった印象がありましたが、従来のTDIエンジンよりも最大トルク、最高出力の発生回転数を低くしたことで、力強さを実感できる速度域が低くなっています。
街中から山岳路、高速道路まで走らせると、シーンを問わず力感が増していて、ディーゼルの美点を享受できます。最高出力は150PS/3000-4200rpm、最大トルクは360Nm/1600-2750rpm。1460kgの車両重量には360Nmの最大トルクは、十二分以上で、本国に設定されている「GTD」は日本に導入されないようで、この「TDI」でも動力性能は十分でしょう。なお、WLTCモード燃費は、20.0km/L。
組み合わされるトランスミッションは、7速DSGで、極低速域のマナーも年々改善していて、欠点はほとんど感じられず、ダイレクト感のあるシフトフィールも美点です。さらに、ゴルフ8の美点であるアイドリング時以外の静粛性の高さ、乗り心地の良さ、高速道路のレーンチェンジでも絶大な安心感もディーゼルモデルでも享受できます。
また朗報なのが、1.0Lガソリンエンジン車(TSI)の16インチタイヤ装着車(eTSI Active)と乗り比べると、素のTSIはパワステの手応えが軽すぎるように感じられるのに対し、しっとりした重さもあり、山岳路でもより安心してハンドリングを楽しめること。
もちろん、高速道路を矢のように直進する安定性の高さも長所で、とくにロングドライブの多い方に最適なゴルフといえますし、8代目ではベストチョイスでしょう。価格は装備差があるため、ガソリンエンジン車のTSIとは単純比較できないものの、R-Line同士で、30万円近い差があります。
それでも、その価値は十分にあり、先述したように、長距離移動の多い方にはとくにオススメできます。
ほかにも、同一車線内全車速運転支援システムの「Travel Assist」やデジタル化されたインパネの操作部、デジタルメータークラスター(メーターパネル)などもエントリーグレードから標準装備。さらに、走行モードの切替が可能な「ドライビングプロファイル」、シートヒーターなども全車化標準されています。
●ボディサイズ:全長4295×全幅1790×全高1475mm
●価格
・TDI Active Basic:344万4000円
・TDI Active Advance:398万9000円
・TDI Style:403万8000円
・TDI R-Line:408万8000円
(文・写真:塚田 勝弘)