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■初のフルモデルチェンジ後、1か月半の先行予約で6915台を受注
●83%のユーザーが7人乗りを選んだ
歴史の長さでも、販売台数の面でも世界で最も実績のあるプラグインハイブリッド車といえるのが三菱自動車のアウトランダーPHEV。2021年10月28日から先行予約が始まっていましたが、12月16日ついに正式に販売開始となりました。
アウトランダーPHEVとして初めてのフルモデルチェンジとなる本モデルは、三菱自動車が鍛え上げてきた2モーターによるプラグインハイブリッドシステムのノウハウと、ルノー日産三菱アライアンスによるプラットフォームが組み合わさった初めてのモデルとなります。
あらためてグレード構成とメーカー希望小売価格を整理してみましょう。
スタンダードモデル:M 462万1100円(5人乗り)
ハイグレードモデル:G 490万4900円(5人乗り)/499万6200円(7人乗り)
最上級グレード:P 532万700円(7人乗り)
●432万1100円のグレードは1%しか売れていない
いずれのグレードも、2.4Lエンジンにフロントモーター(85kW)とリヤモーター(100kW)を組み合わせた走り重視のプラグインハイブリッドシステムが与えられています。駆動用バッテリーは20kWhのリチウムイオン電池、EV走行距離は99~103km(JC08モード)となっています。
日常的には、ほぼ電気自動車として走ることができ、遠出のときにはガソリンエンジンを使うことでトータルでの航続距離を伸ばし、またガソリンを補給することで充電待ちをすることなく、どこまで走行可能というのはSUVとしてのアクティブなキャラクターにマッチしたものといえます。
さらに給電機能もありますから、休日にはアウトドアレジャーで家電を使うことができますし、万が一の災害時にも役立つというのは、日本のユーザーニーズを満たしたものです。
そんなアウトランダーPHEVの初期受注において、もっとも人気なのは最上級グレードのPになります。グレード別構成比では76%と圧倒的です。先行予約をするようなロイヤリティの高いユーザーは最上級グレードを選ぶ傾向にあるのはアウトランダーPHEVに限った話ではありませんが、それにしても高い支持を集めています。
たしかに532万700円という価格は安くはありませんが、その内容を考えるとコスパがいいと感じたユーザーが多いということなのでしょうか。
それ以外の初期受注におけるグレード構成比は、G(5人乗り)が16%、G(7人乗り)が7%、Mは1%となっています。
たしかにMグレード以外は20インチタイヤ仕様となり、ルックスでの差も大きいのですが、ベーシックなMグレードでもLEDアダプティブヘッドライトや1500W対応の電源、レーダークルーズコントロールシステム、スマートフォン連携ナビゲーションなど必要十分な機能を備えています。
18インチタイヤゆえにEV航続距離が長いなど環境性能には有利なMグレードは、もっと選ばれてもおかしくないと思う部分もありますが、そうした判断をするユーザーはこれから増えてくるのでしょうか。
●現時点でのインフラではPHEVが最適解
さて、三菱自動車では『環境負荷が少なくインフラ依存も低いPHEVを長距離移動も多いミドルクラス以上の最適解』としています。
たしかに充電インフラとガソリンスタンドの普及具合を考えると、現時点で日本で乗る環境車としてはプラグインハイブリッドは非常にいいバランスにあるといえます。
世界的には完全にゼロエミッションの電気自動車へ進んでいるのも事実ですが、現時点で便利に乗れて、なおかつ環境負荷を抑えたパワートレインとしてプラグインハイブリッドには高い価値があるというわけです。
新型アウトランダーPHEVの初期受注が、月販目標(1000台)の7倍近い数字となったのは、日本のユーザーが電気自動車ブームに踊らされることなく、ロジカルに最適解を求めた結果といえるのかもしれません。