駐停車中の暖房使用は要注意!?アイドリングストップを正しく知ろう

■駐停車の際の暖房使用は要注意 「アイドリングストップにご協力を」

●アイドリングストップとはどのような状況?

アイドリング禁止の看板イメージ
コンビニや公共施設の駐車場には「エンジンを切ってください」「アイドリングストップにご協力ください」といった看板が設置されている場合があります

冬が近づいて寒くなると、クルマで暖房を使用して暖かい車内で過ごしたいと思いますよね。

とくに、仕事の関係で駐車場などにクルマを止めて車内で食事をする人や、休憩のために駐車した際は、暖房で暖まりながら過ごしたいと考える人も多いかもしれません。

しかし、コンビニや公共施設の駐車場には「エンジンを切ってください」「アイドリングストップにご協力ください」といった看板が設置されている場合があります。

そもそも、この「アイドリングストップ」とは、どういった状況を指しているのでしょうか。

アイドリングストップとは、クルマを駐停車させた際にエンジンも切った状態のことで、アイドリングストップ中はもちろん暖房やエアコンなどが使用できません。

また、鍵を一段階回した状態であるアクセサリーモードの場合も、エンジンが停止しているため、送風自体はおこなえるものの、温度の調整はできません(一部のHV、およびBEV/プラグインハイブリッド車を除く)。

●覚えておきたい「アイドリングストップ条例」

赤信号
信号待ちや渋滞、乗降など、アイドリングストップの義務が適用されないシーンもあります

では、駐車中にエンジンをかけたまま、暖房を使用することはできるのでしょうか。

エンジンを稼働したままクルマを停車させているアイドリング状態は、近隣住民への迷惑や、環境への配慮という面でデメリットも多いのが実情です。

そこで、各都道府県では、停車中のアイドリング状態を原則的に禁止する「アイドリングストップ条例」というものを制定している場合があります。

条例の内容は、各都道府県によって異なりますが、たとえば東京都の場合では「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の52条から54条に、エコドライブについて定めた項目があり、そのなかでアイドリングストップの義務が定められています。

具体的な内容としては、第52条において「自動車等を駐車し、又は停車するときは、当該自動車等の原動機の停止(アイドリングストップ)を行わなければならない」とされています。

このように、運転者にはアイドリングストップが義務付けられていますが、例外ケースもあり、「信号待ち」「渋滞」「乗降のための停止」「冷凍車・医療用車・清掃車などの動力としてのエンジン使用」「緊急自動車が用務のために使用」している場合などは対象から除外されます。

これはあくまで東京都の条例ですが、とくに冬の寒さが厳しい北海道や、夏の暑さが激しい沖縄県ではどうでしょうか。

北海道や沖縄でも、東京同様にアイドリングストップを推し進めていることには変わりありません。

北海道では「北海道地球温暖化防止対策条例」のなかでアイドリングストップを定めています。沖縄県でも「沖縄県生活環境保全条例」のなかで「環境への負荷の低減」として、アイドリングストップを義務付けています。

駐停車している車内のイメージ
運転者、事業者、駐車場の設置者・管理者へ、それぞれアイドリングストップに関するルールが定められています

このように、各都道府県や自治体によって内容に差があるので、自身の居住地域の制定内容をしっかりと確認する必要があります。とはいえ、ルールや看板等に従うのはもちろん、近隣住民への迷惑や環境への配慮という面からも、駐車場での「不用意なアイドリング」は避けたいところです。ひと休みしたい時は、クルマを停め、休憩が可能なお店や施設、イートインスペースを利用しましょう。

なお、大雪による立ち往生や、故障してしまった時などの例外においては柔軟な判断と対応が必要です。クルマを停めたまま車内空調を利用して暖をとる必要がある際には、周りの状況に合わせて正しい行動を心がけましょう。

※2021年12月9日の記事を2023年1月23日に追記・再編集しました。

梅村 ゆき