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■タイカン・ベースのアウディ電気自動車「Audi e-tron GT」のデザインを深掘り!
今年2021年4月に日本で初公開され、いよいよ11月18日に発売となった「Audi e-tron GT」。電気自動車の第2弾として、アウディの新しいブランドアイコンとなる同車のデザインの魅力について、あらためてチェックしてみたいと思います。
●低く、広く、伸びやかな4ドアを
スポーティなエレクトリックカーとして、ポルシェの「タイカン」をベースとすれば、それ相応の挑戦的なスタイルになることは必然。けれども、日本公開に先立つ2月のワールドプレミアでは、想像を遙かに超える反響を呼びました。
何しろ、スーパースポーツである「R8」と比べても、全高こそ175mm高いものの、全長は560mm長い4990mm、全幅で25mm広い1965mm、そしてホイールベースは250mmも長い2900mmに。これでドアを4枚持っているのですから、並のスペシャル感ではありません。
フロントフェイスの基本は最新のアウディルックですが、EVらしくグリルをボディ色のパネルに。これ自体は他社でも見られる表現ですが、パネルを前に突き出すことで前進感を生み、グリルやランプ回りをブラックのパネルで囲むことで強いコントラストを生み出します。
サイドビューはさらに見所満載です。最近のアウディは往年の「クワトロ」をモチーフとした前後フェンダーが特徴ですが、e-tron GTのそれはいわゆるブリスターの域を超え、大きく突き出した庇(ひさし)形のショルダーがボディに突き刺さるような表現に。
ちなみに、よく見るとその庇の峰は二重線で分厚い「カタマリ」を表現しています。
しかも、そもそも大径タイヤによってホイールアーチは豊かなフレアを持っていますから、そこにこの巨大なショルダーが被さることで「クワトロ効果」は数倍に跳ね上がります。
その前後フェンダーは、ドアハンドルの高さに沿ったショルダーラインで結ばれていますが、たった1本のシンプルな線でありながら、実車を見るとその「折れ」の鋭さ、プレスの精度の高さが強い緊張感を生んでいることがわかります。
サイドでは大きなエアアウトレットも目立ちますが、ここではフロントフェンダーとドア断面の「高低差」だけで構成され、整流板など別パーツは一切使わず実にシンプルな見せ方です。
リアでは、ガラスルーフからリアガラスへの美しい流れに加え、ガーニッシュ一体のランプとトランクリッドのラインが作るシンプルな六角形が、さりげなくフロントグリルとの近似性を感じさせます。
●美しさと機能性の両立に限界はあるか?
2014年にアウディに着任したデザイン責任者のマーク・リヒテ氏は、初めての仕事として新世代のアウディデザインを予兆する「Audi prologue」をまとめました。しかし、e-tron GTはそれを遙かに超えるエモーションを備えての登場となったのです。
氏は、長いホイールベースに短いオーバーハング、低くワイドなボディに巨大なタイヤという、デザイナーが夢見るであろうプロポーションをすべて出し切ったと語っています。ただ、同時にその美しさと機能性の両立に苦心したとも。
まるでスポーツカーの理想型のようなスタイルにEVとしての必然性があるのか? そんな疑問に対する氏の答えが、このエレクトリック・4ドアグランツーリスモという佇まいなのかもしれません。やっぱりクルマはデザインです!
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