フェラーリIconaシリーズの新モデルであるデイトナSP3をムジェロ・サーキットで公開!

■1960年代のプロトタイプスポーツカーをオマージュしたV12エンジン搭載のタルガモデル

●伝説の1967年デイトナ24時間レースを想い

2021年11月20日、フェラーリはイタリア・トスカーナにあるムジェロ・サーキットで行われた、2021年フェラーリ・フィナーリ・モンディアーリの一環として、フェラーリIconaシリーズの新モデルであるデイトナSP3を公開しました。

デイトナSP3外観08
ムジェロ・サーキットを走行するデイトナSP3

フェラーリIconaシリーズは、1950年代の競技用のバルケッタをインスピレーションとしたモデルです。フェラーリ屈指のアイコニックなモデルのタイムレスなスタイリングを、大胆かつ現代的に再解釈。

現在利用できる、最も革新的な素材やテクノロジーを駆使して、フェラーリの歴史を称えて、2018年に登場したフェラーリモンツァSP1とSP2で始まりました。

デイトナSP3外観09
2018年に発表された、モンツァSP1とSP2

今回、Iconaシリーズに加わった限定モデルのデイトナSP3は、伝説のレースがルーツとなっています。そのレースというのが、1967年2月6日フェラーリがその年の国際スポーツカー選手権の初戦であるデイトナ24時間レースです。

デイトナSP3外観10
3台のフェラーリが横並びでゴールしたシーン

このレースで1位のフェラーリ330P3/4、2位の330P4、そして3位の412Pが横一列に並びゴールインし、トップ3を独占するというフェラーリの長い歴史の中でも屈指の離れ業を成し遂げました。

デイトナSP3は、これら1960年代に活躍した伝説のスポーツプロトタイプをインスピレーションとするタルガモデルです。

デイトナSP3外観02
デイトナSP3のフロントスタイル

デイトナSP3のシャシーとボディシェルはすべてコンポジット製で、これはF1から取り入れられた技術により、軽量で構造的な重量剛性比に優れているのが特徴です。

使用されたコンポジットの中で、T800カーボンファイバー製のタブは、各部分の炭素繊維量を正確にするため、ハンド・レイアップで作られています。

●空力重視のフェンダーミラー仕様

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デイトナSP3のサイドビュー

デイトナSP3の外観デザインは、1960年代のレーシングカーのスタイリングをインスピレーションしているとはいえ、独創的でモダンなフォルムとなっています。ラップアラウンド式のウィンドウスクリーンを先端とするデイトナSP3のキャビンは、官能的な彫刻に埋め込まれたドームのように見えて、その両端にしなやかなフェンダーが大胆に立ち上がっています。

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デイトナSP3のリアビュー

頂点が2つあるフロントフェンダーは、512Sや712Can-Am、312Pといった過去のフェラーリ・プロトタイプの彫刻的エレガンスを参考にしています。

また、フェンダーミラーの位置はドアの前方からフェンダーの頂点へと移動しました。これも、1960年代のスポーツプロトタイプをイメージさせます。この位置となったのは、視認性を高めるだけでなく、ドアインテークへの気流に及ぼす影響を減らすためとなっています。

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デイトナSP3のリアスタイル

斜め後ろから見たリアスタイルは、デイトナSP3の独創的なスタイリングがハッキリと見えます。ドアのボリュームは彫り込まれていて、リアフェンダーのふくらみとの相乗効果によって、くびれたウェストのような全く新しいスタイルとなっています。

またデイトナSP3のインテリアも、330P3/4や312P、350Can-Amといった、歴史的フェラーリをインスピレーションしています。インテリアはレーシングカーに典型的なスタイリング要素を生かして、ドライバーとパッセンジャーがくつろげるドライビング環境を目指しました。ダッシュボードと2個のシートを明確に分離し、キャビンの横幅を広く見せています。

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デイトナSP3のコクピット

デイトナSP3のステアリング・ホイールは、最新モデルである296GTBなどに導入されているヒューマン・マシン・インターフェースを採用。フェラーリの「手はステアリング・ホイールに、目は路上に」の哲学を継承し、タッチコントロール式のスイッチを採用することで、ドライバーは手を動かすことなく、デイトナSP3の機能の80%を操作でき、16インチの曲面HDスクリーンには、ドライビングに関するすべての情報が表示されます。

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デイトナSP3のシート

シートはシームレスに連続する質感の一部となっており、そのトリムはドアにまで拡大されてスポーツプロトタイプのエレガントな機能性を再現しています。スポーツプロトタイプでは、シートのクッションが直接シャシーに接着されていましたが、それを現代的なシートに変貌させてボディと一体化。周囲のトリムとのシームレスな質感の連続性を作りだしています。

●6.5L V12ミッドシップで840ps、最高速は340km/h!

デイトナSP3に搭載されるエンジンは、812コンペティツィオーネに搭載されている6.5L V型12気筒自然吸気がベースとなっています。このエンジンをミッドシップに搭載し、吸排気レイアウトと液体力学上の効率性を最適化し、最高出力840ps、最大トルク697Nmまで向上しています。

組み合わされるトランスミッションは7速デュアルクラッチギアボックスで、駆動方式は後輪駆動となります。

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デイトナSP3のフロントビュー

最高速度は340km/h、0-100km/h加速はわずか2.85秒という圧倒的なパフォーマンスを発揮します。まさにレーシングカーのDNAを継承しているデイトナSP3。

このモデルを手に入れられるのは、フェラーリ最上位のユーザーやコレクターといった誇り高いアンバサダーだけとなっています。一体、何台のデイトナSP3が日本に上陸するのでしょうか…? 一度で良いので、実際にクルマを見てみたいです。

(文:萩原文博/写真:フェラーリ・ジャパン)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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