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■ブレーキをAIでデジタル制御
イタリアのブレーキメーカー「ブレンボ」は、AI(人工知能)の搭載により先進的な機能を実現する次世代ブレーキシステム「SENSIFY」を発表しました。
ブレンボが、「もはやパーツの集合体ではなく、ひとつの生態系」と豪語するこの新システムは、一体どんなブレーキなのでしょう?
●快適なドライビング体験を提供
SENSIFYは、ブレーキキャリパー、ブレーキディスク、摩擦材などにデジタル技術とAIを組み合わせたシステム。名前の由来は、人間が外部信号や刺激を感じ取る能力であるSENSE(感覚)と、製品と車両をシンプルに調和させる意味のSIMPLIFY(単純化)を組み合わせた造語です。
主な特徴は、ソフトウェア、予測アルゴリズム、データ管理を含む、柔軟かつ画期的なプラットフォームを構築することで、ブレーキシステム全体をデジタル制御すること。
また、走行中などのデータを収集することで、ドライバーに応じた快適なドライビング体験を提供。加えて、システム自体を常に最新の状態に更新することができるといいます。
●4輪をそれぞれ制御
具体的なシステム構成は明らかになっていませんが、アクセルとブレーキなどの専用ペダルボックスと前後ブレーキのキャリパーなどを、アクチュエータを介して2つのコントロールユニットに連結。おそらく、コントロールユニットにAIを搭載するなどで、前後ブレーキをデジタル制御するシステムのようです。
また、4輪それぞれのタイヤ毎に制御が可能なデジタルブレイン(AI)とセンサーも搭載。これらを組み合わせることで、ハンドリングの精度を高めると共に、パフォーマンスと信頼性も向上し、独自のドライビング体験を提供できるといいます。
さらに、ブレンボは、これらシステムにより、従来は相反するとされてきた「走る楽しさ」と「安全性」「直感的な高レスポンス」と「なめらかさ」などの要素をすべて合わせ持つことも可能といいます。また、ドライバーが必要としたその時に、高いコントロール性と期待どおりの性能を発揮するといった効果も生むと自負します。
さらに、環境に優しいこともメリット。タイヤ毎にブレーキ制御を最適化し、ブレーキパッドとブレーキディスク間で発生する引きずりトルクを低減させることで、ブレーキダストなど排出物の量を最小限に抑制する効果も生むといいます。
なお、SENSIFYは対応車種も豊富。電気自動車・エンジン車両を問わず採用可能なだけでなく、高級スポーツカーからコンパクトなシティーカー、商用車まで、さまざまなモデルに搭載できるのも注目点です。
発売は、2024年初頭を予定。実際に、どんなブレーキシステムになるのかや、カーメーカーが採用し市販車にも搭載されるのかなど、今から気になるところです。
(文:平塚直樹)
【関連リンク】
Brembo公式YouTubeチャンネル
「SENSIFY: the intelligent braking system brings the driving experience into the future」