ドレスアップのナンバーフレームやボルトが違反の対象になる? 知らなきゃダメな「ナンバープレート新基準」を解説

■2021年10月からナンバープレート表示や位置に新しい基準が適用!新基準を解説します

クルマの前後に取り付けるナンバープレート(バイクは後方のみ)は、正しく取り付けを行わないと「番号表示義務違反」という立派な交通ルールの違反を起こすことになります。違反点数は2点、反則金は自動二輪車のみ6,000円となっており、大型車や普通自動車では道路運送車両法違反になり、刑事処分の対象(罰金刑)となってしまうのです。

知らなかったでは済まされないナンバープレートの表示基準が、2021年10月から新しくなります。新基準を解説し、意外と多いナンバープレートに関する違反を紹介していきます。愛車のナンバーは、正しく取り付けられていますか?

●2016年から変わった、ナンバープレート表示義務

5年前に遡りますが、2016年4月1日以降、ナンバープレートをカバーで被覆することやシール等を貼り付けること、回転させて表示させること、折り曲げることなどが明確に禁止されました。ナンバープレートは誰がどこから見ても「見やすいように表示しなければ」一般道を運行してはならないという、道路運送車両法の規定が明確化されたのです。

ナンバー見やすく表示
まだ、街中でちらほら見かけるナンバーカバーと、番号や文字を隠したフレームの取付。これらは車種年式に関わらず、全て違反行為です。

ナンバープレートカバーは装着禁止となります。無色透明なカバーでも装着していること自体が違反です。ナンバーフレーム等でドレスアップする際にも、ナンバープレートの全ての文字が判読できないと違反となり、フレームの大きさなどに対して、細かなルールが定められました(後述の新基準)。

バイク等で行われていたナンバープレートを縦に取り付ける方法や、折り返して取り付ける方法も全て違反の対象となります。

この改正は平成28年(2016年)4月1日に施行されており、すでに禁止行為として定められています。ディーラーでの点検を受ける際などに、指摘された方も多いのではないでしょうか。

これに加えて、2021年10月1日から、ナンバープレートの位置や取り付け角度などに対しても、明確な数値が規定されています。知らなかったでは済まされない、新基準を確認していきましょう。

●ナンバープレートの表示にかかる新基準

ナンバープレートの角度については、新基準では細かな数値が規定されています。これまでは、「自動車の運行中番号が判読できる見やすい角度」、フレームについては「番号を被覆せず、自動車の運行中番号の判読ができるもの」という曖昧な表記となっていたものが改正されています。

ナンバープレート新基準
曖昧な表現だった部分が全て数値化され、取り締まりにも主観はなく、絶対的な数値で行われます。

前面のナンバープレートでは、上下向きが上向き10度~下向き10度の間、左右向きが左向き10度~左右向き0度の間となりました。

後面のナンバープレートでは、ナンバープレートの上端が1.2m以下の場合、上向き45度~下向き5度、ナンバープレートの上端が1.2m超の場合、上向き25度~下向き15度で取り付ける必要があります。左右向きに関しては、どちらの長さも左向き5度~左右向き0度で取り付けます。

バイクのナンバープレートは、上向き40度~下向き15度、左右向きは0度で取り付けることが規定されました。

前述の通り、回転して取り付けることは禁止され、封印・検査標章・保険標章・規定内のフレームやボルトカバーを除いたものでの被覆や汚れ、物品の取り付けなども禁止です。

ナンバーフレームは、幅が上部10mm以下、左右18.5mm以下、下部13.5mm以下で、厚さが上部6mm以下(上部の幅が7mm以下の場合は厚さ10mm以下)、そのほかの厚さは30mm以下で脱落するおそれの無いものと規定されました。

ボルトカバーは、直径が28mm以下で番号に被覆しないもの、厚さが9mm以下のもの、脱落するおそれがないものとなっています。

ナンバープレート基準適用について
新基準は、10月以降に新規登録されたクルマから、順次適用されていきます。

これにより、大きく文字の入ったナンバーフレームや、海外製の太いナンバーフレームは装着できなくなりました。また、キャラクターが配置してあるナンバーフレームも、大きさの規定に抵触する場合は、装着することができません

ボルトカバーに関しても同様で、キャラクター付きのボルトカバーは直径28mm以下という基準に抵触する可能性があります。

なお、この新基準は2021年(令和3年)10月1日以降に初度登録されたクルマに対して適用されるものです。新基準が適用される前に登録されているクルマに対しては、これまでの「番号が判読できる見やすい角度・フレーム」の基準が適用となります。

●機械が読み取りやすいナンバープレートへ

道路上に設置してあるNシステムや、ETCレーンに装着されたナンバー読み取り装置など、今や機械がナンバープレートを読み込むことが当たり前となりました。読み込みエラーなどを無くすためにも、視認性の高いナンバープレートへ変えていくこと、またユーザーが勝手に見えにくいナンバーに出来ないようにすることが重要です。

すでに導入されていますが、ITSを使った交通システムが今後さらに普及していくことでしょう。信号機ごとにナンバーを読み取り、渋滞予測などを正確に行っていく未来も近づいています。

カーディーラーでも、駐車場の入り口にナンバー読み取り装置を設置し、顧客の来店管理に使用するお店も増えてきました。クルマ社会のハイテク化、高度化のためにも、読み取りやすいナンバープレートにすることは必須です。

今回の細かな数値化が行われた新基準の策定は、技術進化を進めるための、一つの施策といえるのではないでしょうか。

●まとめ

ナンバープレートのドレスアップに待ったをかける、今回の新基準。違反した場合には、知らなかったでは済まされないほどの重大な罰が待ち受けています。

10月以降に新車が登録・納車されるユーザーは特に気を付けて、ナンバープレートの表示に気を配ってください。

(文:佐々木 亘

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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